文具で楽しいひととき
ラミー
ラミー2000ペンシルなど
これまでのペン人生を振り返ってみると、その時々でよく手にするペンは違う。いろんなペンを私は使ってきたなぁと懐かしく思い出される。会社勤めしているときは、ボールペンばかりを使っていた。ラミー2000の4色ボールペンやモンブランのボールペンなどなど。それが今ではボールペンはすっかり手にすることがなくなり、シャープペンや万年筆ばかりになった。それでいいと私は思っている。自分という存在は年々少しずつ変化している。それに従い書き味の好みも変わっていくものなのだ。味と言えば昔苦手だったネギは今や大好物になったりもしている。味の好みは人生を重ねていくと変わっていくものなのだ。もちろんずっと好きなお気に入りのペンというのはある。だからと言ってそればかりというのは筆記生活が窮屈になってしまう。いろいろなペンを自分は持っているのだから、たまには違うペンを手にしてみることも大切なことだと最近つくづく思う。
たまに違うペンを手にしてみると、あれ?このペンいいじゃん、、と再発見することも少なくない。以前そのペンを使った時の自分と今の自分では内側に蓄積された「書き味財産」の量が違う。ペン自体は基本変わっていない(万年筆はペン先が育つが)。自分の方が変化しているのだから違って感じるもの不思議ではない。そんな私が今よく使っているペン3本を紹介してみたい。
■ ラミー2000 ペンシル0.7mm
ここ数年シャープペンは0.9mmを軸足にしている。ササっと自然に書いた時の文字が年々大きくなっている。そのため0.9mmだとちょうど良い。一つの文字の線と線の間がスカスカにならず、また潰れることもなくバランスがいい。そのため0.7mmのラミー2000の出番はめっきり減り、ストックケースの端っこに追いやられていた。でも手にしなかった期間が長くなればなるほど、ある時不意にラミー2000のことが無性に気になるタイミングがやってくる。これはモンブランの万年筆なんかでも幾度となく経験してきたことだ。
ラミー2000は0.7mmだから今の私が書くのには少々細い。そう頭では理解するもののやはりラミー2000のデザインの美しさに私の心は奪われてしまった。久しぶりに手にすると一層美しさを感じる。日々このシャープペンを使いたいと私は思った。その強い思いが解決策を無理やり考え出させたのだ。芯の硬度を変えればいいということに気づいた。少し柔らかく筆跡が太く出る2Bを入れたら、0.9mmのBに近づけるかもしれない。やってみるといい線だった。まさにいい線だった。
ノートに書く時、今はラミー2000の0.7mmに2Bを入れて書いている。これまでの0.9mmの筆記モードのまま私は何も変えることなく普通に書いていける。
■ パイロット743フォルカン
フォルカンは「試し書きキラーなペン先」である。ずっと私はそう思ってきた。試し書きをしている時、フワフワと雲の上をスキップしているような軽やかさに口元が緩み、財布の紐も緩んでしまうという流れに陥りやすい。私はそれにまんまとハマった口である。買ったときは引き続き机の上で雲の上スキップを楽しんでいた。しばらくすると気持ちも冷静になって、そんなに毎日スキップばかりをしている訳にもいかないことにフト気づき、だんだん引き出しの奥へ追いやられていった。
ある時、毎日書いている瞬記に使ってみることにした。私にとって瞬記は心のデトックスであると同時にもう一つ、万年筆の書き味を馴染ませる場にもなっている。フォルカンはフワフワとしているが、書いた時にシャリシャリという少し引っかかる感触があった。この書き味を瞬記で馴染ませることにした。瞬記用の3本の万年筆の1本として3日に一度のペースで一年間書き続けた。つい先日シャリというタッチが優しく感じる瞬間があった。こうした万年筆の書き味の変化というのはなんの前触れもなくある日突然やってくる。
その後も書き続けていくと、やっぱりあれは気のせいだったのかと再びシャリを感じる日もあったりする。その翌日にはまた優しくなったりもする。そうした日々を重ねていくうちにだんだんと大人しさが腰を据えていく。試し書きキラーが私のお気に入りの1本になった。
■ 三菱鉛筆 ハイユニ F 鉛筆
仕事をしていて一つのToDoが終わると、新しいToDoが生まれる。ToDoというのは数珠つなぎなので、仕事が前に進んだ証拠である。そのToDoをササっと書きとめるために使っているのが鉛筆。鉛筆は常時芯がむき出しになっているので、手にしたらすぐに書き出せる良さがある。わんさと持っているストック鉛筆を順番に使っている。今はハイユニのF。F(Firmしっかりしたの意)はこれまで長期間にわたって腰を据えて使ってこなかった硬度だった。今回ToDo用として毎日書いてみてつくづく実感した。しばらく書いても芯先がすぐには丸くならないのだ。気持ち良い細い筆跡がかなり長く続く。芯の減り具合のゆっくりさはかなりのものがある。これまでHBやBの鉛筆を使っていた時よりもはるかに長持ちだった。これには正直驚いた。このFという硬度はノートや手帳に使うのに適しているかもしれない。1本だけ手にして会議に臨んでも会議が終わるまでノートの筆跡に大きな差は生まれないだろう。
この芯のまさに「しっかりした」一面も私は実感した。
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こんな感じで、いつもと違うペンを使うと色々と新たな発見があって面白い。そして軸足ペンに戻ったときに書き味の感じ方がまた違ってくる。そういう文具の奥行きのある楽しみ方もいいものだと思う。
ラミー2000ペンシル 0.7mm
パイロット カスタム743 フォルカン
三菱鉛筆 ハイユニ F
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