2007.04.24(129)

「着せ替え式 多機能ペン」

ヴァルドマン

バロン 3 in 1

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

1本で違う種類のペンが楽しめる多機能ペン。普通は、ノックをしたり、ボディをツイストするものだが、今回のヴァルドマン バロン 3 in 1 は、ボディを分解するというものだ。そもそも、ヴァルドマンには「バロン」というペンがある。革巻きボディが特徴的なペンだが、もうひとつ、とっておきのこだわりがある。それは、油性ボールペンとローラーボール(水性ボールペン)のリフィルが標準装備して販売されているということだ。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

よく他社のリフィルを自己責任のもと入れ替えて楽しんだりすることもあるが、これは、あくまでもメーカー責任のもと満喫できるようになっている。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

■ 分解が必要な多機能ペン

実際に、これを使ってみてとても感じたのが、分解して入れ替えるのが、ことのほか楽しいということだった。いちいち分解しなくてはいけないので、不便と言えば不便なのだが、子供の頃よく分解したことのある方ならお分かりになると思うが、分解して組み立てるという行為そのものが実に楽しい。カチンとペンが自動で繰り出されるものとは明らかに違う何かがある。

どうやら、私の中で眠っていた「分解&組みたて心」に火がついてしまったようだ。いろいろと分解していているうちに、せっかくの革巻きボディなのだから万年筆でも味わえれば、さぞいいだろうにと思うようになっていった。そこで、冗談半分で輸入元の方に話してみたら、それ、面白いですね、と思いの他好反応だった。

そうしたら、いつの間にやら、油性ボールペン、ローラーボール、そして万年筆にも付け替えられるバロン 3 in 1 が本当に販売されることになってしまった。。ということで、言いだしっぺということもあるのでご紹介させていただきたいと思う。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

■ 革巻きボディ

外観は、もともとのバロンと同じキャップにスターリングシルバー、ボディは革巻きというスタイル。バロンにはブラックレザーとブラウンレザーがあるが、今回の3 in 1 ではブランのみ。この革が一見すると、クロコ革にも見えるのだが、実は牛革を型押しして作ったものだと言う。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

■ 万年筆

ゴツゴツとした凹凸が握った時にしっくりとくる。銀も革も使い込むほどに味が出るという共通点があるので、考えて見ればとてもいい組み合せだ。早速、この革巻きボディに万年筆をセットしてみた。組み立ては、特に難しいことはなく、ボールペン用の先軸を万年筆ユニットに差し替えるだけ。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

やはり、思っていたとおり実に格好よい。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

とってつけたと言う感じは微塵もなく、もともと、こういうペンが昔からありましたと言われればフムフムとうなずいてしまいそうなくらいの落ち着き感だ。ペン先には、ステンレスのペン先が採用されている。かたさはあるものの、スターリングシルバーの程良い重みを頼りに軽い筆圧で気持ちよく書きすすめることができる。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

ちなみに、使えるインクはカートリッジのみ。コンバーターも使いたいところだったが、ボディの長さが足りずに入れることはできない。もともと万年筆で使うことを想定していないので、これは致し方ない。今回の3 in 1 には、豪華なウッドボックスが付いている。普段なら、扱いに困ってしまうところだが、今回はとても役に立つ。

なにせ、今回の3 in 1 にはリフィルやインク、先軸など色々なパーツが揃っているからだ。それらをこの木箱にしまっておくにはちょうどよい。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

朝、出かける時にこのケースをパカッと開けて、さぁ今日はどの組み合わせにしようかな、とその日のアポイントなどを思い浮かべながら、ふさわしいペン先を組み立てる。そんなひと手間が自分のペンを持つという気分を盛り上げてくれる。

そもそも、今回のペンは、とりたててすごい技術力を使ったというものではない。あくまでも組み合わせ論だけのことだ。なのに、こうした組み合わせを楽しめるセットがこれまであまり見られなかったのは何故だろう。

これは、あくまでも私の勝手な推測だが、きっと、メーカーとしては、万年筆は万年筆として、ボールペンはボールペンとして、といった具合に別々に買ってもらうに越したことがないということではないか。

たくさん売るということで言えば、あまり歓迎されるものではないのだろう。一方、ユーザーからすると、1本のボディで3本のペンが楽しめるのだから、お得感もあって喜ばれるものだと思う。だとすると、どうして、メーカーであるヴァルドマンはこうしたことにも柔軟に対応したのか。

実はヴァルドマンは約90年というペンづくりの歴史の中で自社のブランドのペンだけでなく、他社のために黒子に徹してペンをつくる、いわゆるOEMを行っていたという一面も持っている。つまり、OEM先であれ、ユーザーであれ市場が求めているものを作り続けるという柔軟性をもっているのだ。

今回の3 in 1 のようにユーザーの一意見をもとにしたものをさっと作ってしまったのも、きっとこうしたことがあったからではないかと思う。

ヴァルドマン バロン 3 in 1 ボールペン ローラーボール 万年筆

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