2005.02.08(63)

「鉛筆を愉しもう」

鉛筆

鉛筆

この春、小学校に入学する息子のために家族で文房具を買いに出かけた。行く道すがら、「お父さんがいいのを選んであげるからね。」なんていいながら、まるで自分の文具を買うみたいに小躍りして地元のちょっと大きな文具屋さんに向かった。お店に到着して、早速買い物をスタートした。筆箱、はさみ、定規、色鉛筆、消しゴム、そして鉛筆。特に鉛筆には個人的に深い思い入れがあるので、私なりに色々と検討して、 「これがいいよ」とトンボさんのMONOの鉛筆(2B)を自信をもって勧めてみた。

でも、見むきもされず、 息子は「これにする!」といって持ってきたのがレジェンズとかいうマンガが描かれた鉛筆だった。いやいや、こっち方がシンプルでかっこいいよ、と説得を試みたが息子はどうしてもマンガがいいと言い張る。
挙句のはては、「そんなにそれがいいなら、お父さんが買えばいいじゃん。」と、、、誠に、ごもっともな意見。

そうさせていただくことにした。またまた、鉛筆が増えてしまった。ということで、今回は鉛筆のお話。いつもは、1つの商品にスポットライトをあてて紹介していますが、今回は、鉛筆という筆記具の魅力に迫ってみたいと思います。

鉛筆

■ 万能筆記具 鉛筆

最近、つくづく鉛筆のよさというものを再認識してます。鉛筆のよさは、なにより万能な筆記具であること。鉛筆メーカーの方によると、賞味期限といおうか、どれくらい使えるかといえば、芯があれば、ほぼ半永久的に使えるという。ボールペンなどはあまり長期間放っておくと、インクが固まってしまうこともある。

以前、伊東屋さんのイートンペンシルでも書きましたが、私は車に常備しておく筆記具は試行錯誤の結果、鉛筆に落ち着いた。夏の暑さや冬の寒さにもほとんど影響を受けずに、いつでもさっと筆記できるのは鉛筆が一番信頼性が高いと思っている。

さらに、鉛筆で書いた絵や文字についても保存性がとてもよい。実際、美術館などで何世紀も前の画家が描いた鉛筆のデッサンが今もしっかり残っている。

また、仮に1本の鉛筆で線をずーっと書いた場合、なんと約50kmも書けてしまう。50kmと言われてもイメージしにくいかもしれないが、ちなみに油性のボールペンが約1.5kmだから、その長さは桁外れだ。まさに、いろんな意味で長持ちな筆記具といえるだろう。

■ 削る楽しさ

こうした、実用上のメリットだけでなく、使う愉しさというものも鉛筆には、ちゃんと備わっている。日本で鉛筆を購入すると、削るという作業から行う必要がある。余談だが、ヨーロッパでは、あらかじめ削られた鉛筆が売られている。

私は、この鉛筆を削るという一見、面倒くさい、しかも手の汚れる作業がとても好きだ。コンパクトなDUXの鉛筆削りやアーミーナイフを使って削ることが多い。レバーをくるくる回すいわゆる鉛筆削りよりも、きれいには削れないけど私だけの鉛筆に仕上がった感じがして、楽しい。

鉛筆

鉛筆

鉛筆によって、削り具合が固かったり、一方やわらかったりと1本1本の鉛筆の個性が手に伝わってくる。まるで、鉛筆と対話をしているような気になってしまう。万年筆で言えば、インクを入れるひと時のように、ぜひ、こうした小休止を愉しみたいものだ。木の香りを愉しみながら、次にどんなことを書こうかななんて想いをめぐらせながらキリキリと削る。

■ 短い鉛筆を大切に使う補助軸

鉛筆は使い続けて、そのたび削っていけば当然軸が短くなる。短くなると、愛着が増す一方で握りにくくなってしまう。そんなときに、便利なのが補助軸。またの名をエクステンダーとも言う。海外にはいいものがあって、鉛筆と同じ木軸でできたものがある。わずか6cmの鉛筆につけてみた。

鉛筆

鉛筆単体では筆記ができない長さだが、補助軸にさせば、まだまだ十分筆記ができる。ものを使い切るということが少なくなった昨今、こうして、ものを大事にするというのは、なんとも気分がいい。

鉛筆

ちょっと大きな文具屋さんや画材屋さんをのぞけば、鉛筆ってこんなに種類があったのか、と驚くくらいたくさんの種類がある。しかも芯の濃さも豊富に揃っている。高くても1本数百円なので、いろいろと買って試しても金銭的な痛手はほとんどない。大人になった今、自分にぴったりとくる鉛筆を選んで、もう一度鉛筆をたしなんでみるものいいものですよ。

鉛筆

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