2011.10.25(241-4)

「PWチャイナ2011 4」

ペーパーワールド チャイナ

2011 展示会レポート

ペーパーワールド チャイナ2011 レポート

■ いつもの福州路 文具ショッピング

上海に到着した日はいつもホテルに着くやいなやすぐにタクシーで市内に向かうのだが、この日はあいにくの雨。時間は14:00。ショッピングを終えてホテルの帰ろうとする頃にはおそらく18:00くらいになってしまう。「雨」そして「夕方」という、この二つが重なると上海の町中では、恐ろしいほどにタクシーは捕まらなくなる。

昨年は「夕方」という状況だけで40分くらいあちこち駆けずりまわりようやくタクシーを捕えることができた。もちろん、上海にもタクシー乗り場はあるにはある。しかし、そこに並んでいてもそのすぐ手前で勝手にだれかがタクシーを止めて乗っていってしまう。運転手の方も並んでいる人など気にせず乗せてしまうのだ。タクシーは「待つ」のではなく、「つかまえる」という言葉の通りみずからの力で見つけて乗り込まなくてはならない。

このタクシー問題があるとおちおちショッピングも落ち着いてできないので今回は地下鉄で行くことにした。それなら、最初からタクシーではなく地下鉄に乗ればと思うところだが、なんとなく「海外の地下鉄は難しいもの」というイメージがあった。タクシーなら、漢字で書いた行き先のメモを運転手さんに渡しさえすれば、あとは何もしなくてもいい。

しかし、今回はそんなことも言ってられない。そういう訳でホテルの最寄りに地下鉄駅に向かった。

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最初の難関は切符を買うこと。漢字なので、多少は心強い。切符売り場を見回しても日本によくある路線図兼運賃表はない。

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あるのは、液晶画面の券売機だけ。どうやら、ここをタッチするらしい。

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まずは、目的地駅の路線を選ぶ。

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そうすると、その路線だけが拡大して表示される。

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その中で、自分が降りる「南京東路」をタッチすれば、必要運賃の「4元」と出てくる。あとは、お金を入れればいい。なんだ、これなら日本の地下鉄よりも簡単ではないか。切符ではなく、プラスチックのスイカみたいなカードが出てくる。

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これを自動改札の上にタッチする。タッチしても、「ピッ」という音もなければゲートも開かない。このゲートはディズニーランドによくある自分でバーを押していくタイプ。恐る恐るそのバーを押してみると、ガチャリと回転していく。無事、ホームに入場。駅構内は、日本と同じように路線ごとに色分けそして、番号で表示もされているのでわかりやすい。

電車の中は、アメリカの映画でよくみかける車両の中央にバーが直立しているスタイル。車内には、PSPに興じる青年、それ以外はスマートフォンでなにやらメールかゲームをしている人ばかり。ここだけを見ると、日本の地下鉄車内と全く変わらない。ひとつ違いをあげるとすれば、ドアーが閉まるたびに 「ビー」とけたたましい音がするところ。

まるで、警察がだれかを注意するときの 笛みたいな感じだ。数回そのベルの音に驚きながらも無事、南京東路駅に到着。自動改札を出るときは、カードをタッチではなく、カード挿入口に差し込む。ちなみに、この回収されたカードは再利用されているようだ。地上に出ると、上海の中心通り南京東路。

路と言っても、道幅が50~60mくらいはありそうなので、路というよりも、細長い広場みたいな感じだ。

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ふと通りの反対側をみると、アップルストアが見えた。

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まだ工事中だが、日本と同じシルバーを基調したデザインで外壁にリンゴのマークがある。最近は偽ショップもあるというが、これはその規模からしてたぶん本物だと思う。残念ながら、まだ工事中ということで中に入ることはできなかった。今後ますます発展するだろう上海の勢いを感じた。

アップルストアを眺めていると、斜め後ろから日本語で声をかけてくる人がいた。よくよく聞くと 某高級腕時計の名前を連呼している。偽物を売りつけいるのだ。

だまって無視すると 最初は「日本語」で話しかけていたのが次に「韓国語」に変わっていた。「NO」とようやく振り切ると、こんどは「マッサージ」と声をかけてくる別の人がやってきた。ほんの100mくらい歩いただけで5人くらいに声をかけられてしまった。私には、そういう人を引きつける何かがあるのだろうか。特にカメラを首から提げているわけでもなく、極力キョロキョロせずに普通に歩いているつもりなのだが。

上海5年目ではあるが、まだまだ年期が浅いということなのかもしれない。。

南京東路でいつもく行くお土産屋さんで家族から頼まれた「人参烏龍茶」とピーナッツのお菓子を買って、客引きの「マッサージおじさん」を振り切って、2本隣の福州路へ。いつも回る文具店を回ってみた。

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毎年同じ店に行くと、ちょうど定点観測みたいにその変化がわかる。しかし、今年は特に大きな変化というものは正直あまりなかった。ただ、ひとつあったのは、デザインフィル製品が結構見られるようになったという点。たとえば、「Dクリップ」や「トラベラーズノート」そして、「ブラスプロダクト」といった嗜好性高いステーショナリーも並び始めていた。

今回の福州路で買った戦利品は以下のとおり。

* 表紙のデザインに惹かれて買った手帳

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* これは、ぺんてるの「プラマン」。ブラックボディにゴールドのマーブルが格好いい!

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* 四角いボディから繰り出される四角いシャープ芯。これは、マークシート用のシャープペンだ。

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■ 上海デザインスポット

先ほどの福州路巡りとは別に一日、時間を作って上海の街中を回ってみた。去年はアーティストのショップが集まった田子坊を訪れたが、今回は新たな場所に挑戦してみることにした。と言っても、どこに行くべきか皆目検討がつかない。

そこで通訳の李さん、そしてデザイン感度の高い「Paper Works」の陳さんに事前に相談してみた。そして、候補に挙がったのが「19参3」と「M50」というスポット。文具系スポットということではないが、いずれも上海の違った分野の勢いというものが肌で感じられるエリアだ。

□「19参3」

まず始めに訪れたのが「19参3(最後の「3」はギリシャ数字)」というちょっと変わったネーミングのスポット。場所は地下鉄4号線の海倫路駅から5分ほど歩いたところにある。到着してみると、そこには歴史を感じさせる大きな建物がたっていた。

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もともとは、食肉を加工するための建物であったという。1933年に建てられたもので、このネーミングになっている。当時の建物を極力活かし、イギリス人の建築家がリニューアルを行ったという。正面はやや威圧的な壁のようになっているが、中に入ってみると、円柱状の建物がある。

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この「19参3」の中には、カフェ、家具ショップ、女性向けのハンドメイド雑貨などを扱うショップ、そしてレストランやオフィスなどが入っていた。

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私が訪れた時はショップの数はまだ少なく、間もなくオープンと書かれた工事中のところも結構見られた。ズバリ、ステーショナリー系ショップは残念ながらなかったが一つだけ面白いところを見つけた。

二階にある「Pin Wei」というショップ。

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iPhone、iPadなどのデザインアクセサリーから食器や鞄などがゆったりとした並べられている、いわゆるライフスタイルショップ。また、店内には上海の大学生によるデザインコンペの作品も展示されていた。まだ開発途中という感じの「19参3」ではあったが、一年後に再び訊ねてみると、また違ったお店に出会えるかもしれない。

今後に期待したいスポットだ。

□ M 50

「19参3」をあとにして、タクシーを20分くらい走らせて次の目的地「M50」へと向かった。

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ここは上海のアートギャラリーが集中しているエリアだ。建物は20棟くらいもあり、その一つ一つの建物にはアーティストのギャラリーが10~15くらいも入っている。

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ちなみに「M50」とは、このエリアのある住所、「莫干山(Mo Gan Shan) 50号」の頭文字をとっている。

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入口ゲートから入ると、両側に建物が隙間なく建っている。その外観を見ただけでアートな雰囲気がプンプンと漂ってくる。

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若手のデザイナーにより絵、鉄を使ったオブジェ、そして上海の日常の風景を切り取った写真家のギャラリーなどが幾つもあった。

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いずれのギャラリーも写真撮影を不可となっていたので、ここで皆様にご紹介出来ないのが残念。言葉で言い表すことは出来ないのが、欧米とも日本とも違う上海ならではのデザインというものが肌で感じられた。

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ギャラリーでは、絵を販売しているところも多かった。私にもなんとか手が届きそうな価格もあったが、今回はポストカードで我慢した。

ポストカードは、一枚5元(約60円)。

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私は、4~5くらいの建物を見ただけで、お腹いっぱい、つまり1日に見ることのできる私のアートの許容範囲を超えてしまったので、「M50」をあとにしたが、 もしすべてを見るとしたら1日はタップリとかかると思う。ちなみに「M50」の中にはアートギャラリーならではのカッコ良いカフェもある。

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ここでランチを食べた。お店のオススメという麻拉麺は、かなりの本格派だった。

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うどんのような太い麺には辛い挽き肉があえてある。日本で辛さというと、唐辛子のピリッと来るものを想像しがちだが、この麻拉麺は、それに加え山椒がとても存在感がある。しばらく食べていると、舌そして唇がビリビリとしびれてくる。一口すすっては、咳込みそしてはウーロン茶を飲むという具合に慌しく食べていく。すごく辛いのだけれども、とてもおいしく、一気に食べることの出来ないのがなんとも、もどかしかった。

半分くらい食べたところで、後頭部の髪の生え際あたりからドッと汗がしたたり落ちてくる。額などには全く汗をかいてないのに、何故か後頭部だけに汗が吹き出してくる。どうやら体の中で辛さ司る何かと後頭部の1点がつながっているのだろう。

食事を終え、口のしびれも落ち着いたところで、「M50」入口にあるブックスストアに立ち寄ってみた。

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場所柄、アート系本が数多く並んでいた。写真集も結構あり、中国語はわからなくても結構楽しめる。にはほんのわずかだが、ノートを中心にステーショナリーにも少し置いてあった。

福州路の文具店で見かけるものがほとんどだったが、その中で一つだけ「sub-note」という初めてお目にかかる手帳があった。取り外しできる太いゴムバンドが腰まきのようにセットされている。

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そのゴムバンドには、ペンをセットできるようになっている。

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中にもゴムバンドがひとつある。これは、内ポケットが広がりすぎないようにするためのもののようだ。紙面は基本シンプルな無地だが、巻末には上海、北京、広州、深川、香港などの地下鉄路線マップが印刷されている。

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「sub」とは「地下鉄」のことだったのだ。取材手帳用として印刷購入。価格は68元。

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■ 取材後記

朝、各国のプレスの人たちと一緒に展示会場に向かっているところ。こちらにスマイルしてくれているのは、フランスのプレス「Visions & Trends」のコリンさん。

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各国プレス、そしてバイヤーとの夕食会。スペインのタパス。海外の人たちも料理が出てくるたびiPhoneなどで写真を撮っていた。Facebookなどにアップするようだ。

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毎朝5時半に起床して、前日取材した草稿を万年筆と原稿用紙で書いていた。今回の出張では、万年筆一本だけ(パイロット カスタム743ウェバリー)持って行った。そのため、インクはカートリッジにして何本も用意しておいた。

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取材の三種の神器デジカメ(リコーCX3)、システム手帳(ファイロファックス)そして。プレスマン(自前によるブラック塗装済み)。

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今回の取材出張で唯一自分が写っている(写り込んでいる)写真。

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■ ペーパーワールド・チャイナに関するお問い合わせは
メサゴ・メッセフランクフルト(株) info@japan.messefrankfurt.com

*関連コラム
「ペーパーワールド・チャイナ2012 レポート」
「香港インターナショナル ステーショナリーフェア2013レポート」
「ISOT2012 レポート」

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