2010.08.17(211-2)

「ISOT2010 2」

ISOT2010

国際 文具・紙製品展レポート

ISOT 2010 レポート

■「ヘビーデューティな手帳」 レイメイ藤井

システム手帳をはじめ、様々な手帳を作っているレイメイ藤井。そのブースの中で、私にとってかれこれ20年ぶりの再会となるあるブランドが目に入ってきた。それはアメリカの「ALPHA INDUSTRIES」。

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これは、アメリカ軍向けに様々なフィールドジャケットを供給しているブランド。私は大学生時代に同社の MA-1というジャケットを愛用していた。

折りしも映画「トップガン」が、上映されていた頃でお恥ずかしい話、全くもってその映画の影響だ。その「ALPHA INDUSTRIES」のシステム手帳が発表されていた。

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表紙は私が若かりし頃に愛用していた「MA-1」の素材。嬉しい事にジッパーのホックまで同じ仕様になっている。中を開けると6穴のバイブルサイズのシステム手帳が入っている。このシステム手帳は取り外し可能となっており、外してしまえば、たくさんのポケットを備えたバッグとしても使える。

ウム、これはちょっと欲しい。。価格も思っていたよりもお手頃で9,975円。これは早速、大学時代の友人にも知らせてあげなくてはいけない。

■「文具大賞受賞」 カール事務器

ISOT で毎年発表されている「日本文具大賞」。今回、その機能部門の大賞に輝いたカール事務器の「アリシス」。

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私もかねてよりこのパンチを注目していたので、何だか私もうれしくなってしまった。「アリシス」は2穴パンチを大幅に進化させた次世代モデル。最大の特徴はパンチを押す力を約半分にまで軽くしている点。それを実現したのが、2重テコ。この押し心地がとても心地よい。

万年筆に書き味があるようにパンチにも押し味というものがあることをこの「アリシス」は気づかせてくれた。その押し味は、これまでよりも軽いということはもちろんあるが、それだけではない。

私が一番気に入ったのが押しはじめから押し終わりまで一連にわたってとてもスムーズであるところ。これは言葉で説明するのが難しいので機会があればぜひ一度体験されるといいと思う。

そして、オーバークオリティと言ってもいいくらいの深みのある塗装。まるで欧州車のようだ。これが光の加減で微妙に変化して実に美しい。

このオーバークオリティな塗装は、他の新商品でも見ることが出来た。それがパーソナルシュレッダーの「マルコパッシーノ」。

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漆を思わせる艶やかブラック、そしてグレーがある。これには表面にクリア塗装を施し、深みに加えて艶やかさも実現している。

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この美しい塗装に目を奪われてしまいがちだが、機能面がまたすごい。このシュレッダーで裁断した紙のサイズが2mm ×4.5mm という細かさ。

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これは例えるなら米粒一つ分ほどの小ささだ。

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考えてみれば、シュレッダーはいかに細かく裁断し、文書を復元不可能にするということが最大の責務。これはそれを見事に実現してくれている。業務用だけでなくパーソナルにもこうしたセキュリティレベルは今後さらに求められていくと思う。

カール事務器は、パンチ、鉛筆削りなど、切ることに関しては専門のメーカー。そのカール事務器が、新たにスチレンボード専用のカッターを発表していた。

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スチレンボードは、プレゼンの時に使うボードや POP など幅広く使われている。そのスチレンボードをこれまでは、カッターで切ることが多かったが、この専用カッターを使えば、失敗することなく、綺麗に切ることができる。実際に私も切ってみたが、どちらの側を切ったのかが区別がつかないくらい綺麗な切れ味だった。

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■「全く新しい綴り紐」ニューコン工業

名著「アイデアのつくり方」では、『アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない』、と書かれている。この新商品を見た時にまさにこのフレーズが頭に浮かんだ。これは保存用の書類を綴じておくための綴り紐。

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これまでのものは、いわゆる普通の紐だったが、これは、紙の紐になっている。加えて、その裏面はテープのように貼り付けられるようになっているというもの。紙紐とテープという既存のものながらそれらをあわせたという点が新しい。使い方はあらかじめパンチで書類に2穴を開けておく。

そして、その表紙側から先程の紙の綴り紐を差し込んでいく。

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裏面に出た紐の足は結ばず、紙の裏面にそのまま貼り付けてしまう。

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たったこれだけで OK。テープ状になっているので、紐の時よりも結ぶ手間がなく楽だし、綴じた書類の安定感もある。ただ、貼り付けてしまうので、一度綴じたものを再びはずすというのはできなくなってしまう。

したがってアクティブファイルとしてではなくあくまでも保存用として使うのがいいと思う。最大で500枚まで綴じられるという。

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紙だけで出来ているので、廃棄するときに、わざわざ分別する必要がない。

■「3M +エーワン」エーワン

数ヶ月前のことになるが、OAラベルメーカーのエーワンが米国3M社グループの一員になった。これを受け今回の ISOT のエーワンブースではそのことが感じられる新たな商品発表されていた。それが、「ポスト・イット ラベルシール」。

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これはエーワンのラベル技術とスリーエムのポスト・イットが実に見事に融合したの。体裁はラベルシールのようにA4のシート状になっている。そして、その1枚1枚のラベルが貼ってはがせるポスト・イットになっているのだ。

ラベルとして使うので、ポスト・イットは強粘着が採用されている。そして、ポスト・イットらしく、紙面はイエロー、ブルー、グリーン、ピンクになっている。今までのラベルシールは、白いものが中心だったので、これはかなり新鮮。

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ポスト・イットは、これまで手書きをするもので、印刷をすることは出来なかった。今回、ラベル仕様になったことで、自分で好きなテンプレートなどを気軽に作れるようになる。

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これはいろいろ面白い使い方が出来そうだ。

■「暑い季節の残業の時には欲しくなる」スタジオ・エヌ

パソコン、特にノートパソコンはずっと使っていると、だんだん熱くなってくる。ちょうど今のような暑い季節には、結構辛いものがある。これは、「N-Board」と言って、ノート PC をセットとするためのスタンド。(5,040円)

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セットする角度は14段階に角度が調整できる。

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そして、これが優れているのは、パソコンを載せる台にファンがついているところ。

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熱くなった PC を冷やすことができる訳だ。
ファンの電源は PC から USB でとることができる。

■「本質に近づけるために、そぎ落としたデザイン」メタフィス

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3年前にスタートして以来、続々とラインナップの充実を図っているメタフィス。今回、さらに新しいステーショナリーが発表されていた。中でも、一番注目したのが超薄型の消しゴム、その名も「gum(ガム)」。

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全くその通りのスタイルをしている。残念ながらショーケースに入っていて触れることは許されなかった。これは一体どんな消し心地なのだろう。

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この秋に発売ということなのでこれは楽しみだ。

そして、これは「キウイハサミ」。

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こちらもこんなに細くて果たして切れるのだろうかと思うほどのスリムさ。担当の方からサンプルをちょっとだけお借りすることが出来た。実際に切らせてもらったが、これが普通にチョキチョキと気持ちよく切れる。

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先端があまりとがっていないので安全でもある。

そして、こちらが「ロル」というロールペーパーのフォルダー。レシートに使われているロール状の紙をメモとして使うことができる。必要に応じてメモの長さを変えられるのでこれは便利かもしれない。

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また、ありそうでなかったものとしてアルミカバーのメモ帳というのもあった。

使いやすさを考えて背の部分は布製になっていて表紙の折り返しは気持ちよくできる。

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■ 番外編

会場で、香港から来場していた友人のパトリックさんに会うことが出来た。

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私の新刊本「仕事にすぐ効く魔法の文房具」プレゼントさせてもらった。そのお返しにということでパトリックさんから面白いものをいただいた。それは一見すると、ローライフレックスのような2眼カメラ。

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と思ったら、これは鉛筆削り。

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ふたつのレンズのうち、上の穴に鉛筆差し込んで削る。そして、下のレンズは、削りカスのたまり具合を確認できるようになっている。2眼のデザインをしっかりと活かしたデザインだ。

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そして、ふとパトリックさんの手元を見るとそこには見たことのない手帳が優しく握られていた。これはパトリックさんが自分で皮を裁断し、縫って作ったオリジナルの手帳カバー。表紙のアンティークなカギが効いている。

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中にはMOLESKINEがセットされていた。これにパイロットの万年筆ミューをあわせていた。さすがのセレクトだ!

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パトリックさんのブログ

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