2008.02.19(149 - 2/2)

「ペーパーワールド2008 2」

ペーパーワールド

2008 展示会レポート

AUTHENTICS  MOLESKINE

■ MOLESKINE

事前の出展社リストチェックでは、見あたらなかったMOLESKINE。しかし、ペーパープロダクツを展示した「Scriptum(スクリプタム)」というコーナーにしっかりと出展されているではないか。

うれしいことに、新作があった。その一つがVolant。Volantとは、通常のMOLESKINEよりもカバーが柔らかいノートタイプ。新たに鮮やかなグリーン、ピンク、ブルーが加わっている。

MOLESKINE

しかも、これまでのポケットサイズよりもさらに小さなミニサイズも初お目見え。これは個人的に物欲がそそられる品だった。

MOLESKINE

さらに、全く新しい外観のダイアリーも発見。

MOLESKINE

ブラック、レッドの表紙を透明なツヤツヤ素材でコーティングしたスタイル。見た目どおりの独特な触り心地。

MOLESKINE

MOLESKINE

MOLESKINE

これまでクラシカル路線を歩んでいたMOLESKINEだが、よりモダンなスタイルという方向性を打ち出した新作だった。また、マイナーチェンジとしては、ダイアリーに、見開き1週間のバーチカルタイプが復活していた。

MOLESKINE

そうそう、このブースの方に、MOLESKINEのメーカーであるイタリアのModo & Modoかと尋ねてみると、違うとのことだった。

彼らは「AUTHENTICS(オーセンティクス)」だという。オーセンティクスと言えば、ご存じの方も多いと思うが、MOLESKINEなどに取り付けられるペンホルダーなどを作っているデザイン集団だ。実は彼らは、ドイツ、スイス、オーストリアでのMOLESKINEの代理店もしているのだという。意外な発見だった。

■ X17(ドイツ)

X17

Scriptumという紙製品を集めた会場の通路をさらに進んでいると、ひときわ鮮やかなノートを展示しているブースが目に入ってきた。その色に誘われて近づいてみると、単にデザインがいいノートということだけではなかった。

X17

そのノートには、これまで見たことのないちょっと面白いバインディングシステムがあった。これはぜひ、お話をお聞かせ願おうと、取材を申し入れた。快く取材に応じてくれた社長は、商品説明をまさに始めようと口をあけたその瞬間、私の持っていたシステム手帳を見るなり、やれやれという表情で首を大きく左右に振った。

実は、この「X17」というノートはリング式のいわゆるシステム手帳に不満を感じ、開発されたものだそうだ。そうしたブースにシステム手帳を携えた人間が話を聞かせて欲しいとやって来たのだから、まさに、やれやれという感じだったのだろう。

システム手帳は構造上、リングがあるのでどうしても筆記スペースがリングの分だけ減ってしまう。しかも、書くときもリングが邪魔になることもある。

では、この「X17」はどのような仕組みになっているかというと、ノートの部分にゴムバンドがくくりつけてあり、そのゴムを使ってカバーに固定するというものだ。

X17

X17

X17

カバーの背の上下には、ゴムがしっかりと固定できるよう凹みがある。それを利用してノートをバインディングするのだ。1冊のカバーにセット出来るノートは4冊。太さ1mmくらいのゴムバンドなので、ノートを開いた時に紙面を限りなく有効に使うことができる。

しかも、4冊セットしても必要以上に分厚くなることもない。中にセットできるノートの種類は、ダイアリー、アドレス帳、ノートなど11種類に及ぶ。

特にノートは無地や方眼、罫線といった一般的なものから、楽譜用の五線譜までそろっている。自分がよく使うノートだけを自由にセットすることができるのだ。また、ダイアリーもデイリー、ウイークリー、マンスリーから選べるようになってる。

なかなか上手くできていると感心してしまったのは、バーチカルタイプのウイークリーは6月単位の2冊構成。デイリーは2ヶ月単位の6冊構成といった具合に、ダイアリーだけでバインダーがいっぱいにならないよう工夫されている。

ダイアリーは日本語化されていないが、これは一度じっくりと使ってみたいと思える注目ノートだった。なお、日本ではまだ販売されていない。この「X17」のさらにハイエンド商品に「X47」というものもあった。これは、ゴムバンドではなく、全く違ったバインディングシステムを使ったもの。

こちらは、サンプルを一冊いただいてきたので、別の機会にじっくりとご紹介したいと思う。

■ SKETCHPET (ドイツ)

SKETCHPET

先ほどの「X17」のすぐ隣に、ユニークなメモパッドが展示されていた。まるで単語帳をふたまわりくらい大きくして、片側を丸くカットしたというスタイル。

SKETCHPET

しかも、太いゴムバンドでガッチリととめられている。

SKETCHPET

これはドイツのartificial(アーティフィシャル)のSKETCHPET (スケッチペット)というもの。メモをファッションアイテムのように使えるというコンセプトで生まれたものだ。手にしっくり握れるサイズで、机がなくてもいつでもメモやスケッチをすることができる。

太いゴムの端にはつまめる部分があり、それを引っ張ると、ノートが広げられる。

SKETCHPET

SKETCHPET

広げると言っても、普通のノートと違い、根元が固定されているので、まるでトランプのようにスライドさせて広げるというスタイル。ページをめくる必要がなくスライドさせるだけなので、機動性に優れているという。

紙を固定する留め具の部分に穴があり、ここにストラップを付けてバッグの持ち手にくくりつけたり、ネックストラップにぶら下げるというスタイルにも対応。

SKETCHPET

また、机の上では、この穴にペンをさして、ペンスタンドとしても使える。スケッチからメモもこなすノートタイプから、カレンダー、アドレスなどがある。カバーのデザインも豊富に揃っている。昨年の9月に発表したばかりで、すでに、ヨーロッパやアメリカのデザイナー・アーティスト建築家など人気が出始めているという。

私は知らなかったが、日本でもすでに発売されていた。

■ エグザコンタ クレールフォンテーヌ

エグザコンタ クレールフォンテーヌ

クオバディス、ロディア、クレールフォンテーヌ、エグザコンタなどを擁するエグザコンタクレールフォンテーヌ  ブース。今回も力の入った新製品がたくさん発表されていた。その中で個人的に注目したプロダクツをブランドごとにご紹介したい。

□ クオバディス

クオバディスと言えば、ダイアリーメーカーとして、確固たる地位を築いている。しかし、昨年このペーパーワールドではアバナというモデルでノートタイプを発表するなど、新しい動きが見られはじめていた。

今回、発表されていた新作もその路線をさらに一歩進めたものと言える。それが、この「Memoriae(メモリエ)」。

クオバディス メモリエ QUO VADIS Memoriae

外観は、アバナと同じ上質なハードカバーにゴムバンドというスタイル。しかしながら、カラーバリエーションがいっきょに増え全12色。

クオバディス メモリエ QUO VADIS Memoriae

カラーバリエーションがあるのにはしっかりとした理由があり、ひとつひとつが違うノートになっているのだ。

クオバディス メモリエ QUO VADIS Memoriae

クオバディス メモリエ QUO VADIS Memoriae

前回のノートとはまた違い、今回はライフスタイルノートになっている。最近、日本でも旅やワイン、映画といった個人的なライフスタイルを書きつづっていくものとして人気が出始めている。

「Memoriae」は全12種類のライフスタイルテーマに分けられている。旅や映画といった定番はもちろんのこと、「My Children(子供)」「My Joys(喜び)」「My Sorrows(悲しみ)」「My Love(愛)」など感情面なども加わっているのが面白い。

クオバディス メモリエ QUO VADIS Memoriae

クオバディス メモリエ QUO VADIS Memoriae

クオバディス メモリエ QUO VADIS Memoriae

特に「悲しみ」というテーマが用意されいるのは興味深い。「悲しみ」をわざわざ書きつづるというのはなんともつらい作業だが、それを乗り越えて新しい未来を切り開くという使い方なのだろう。テーマごとに表紙にはシンボルとなるイラストの型押しがある。

中身は、前半がフリーの罫線ノート、そして後半がそれぞれのテーマにあったインデックスとなっている。テーマはその他、「My Culture」「My Wine」「My Friend」「Ny Dreams」
「My Cooking」「My Hikes」「My Weekends」。

これまでクオバディスはアジェンダ プランニング ダイアリーを独自に開発するなど、いかに時間管理を効率的に行っていくかということを主眼に置いたツールだった。

今回の「Memoriae」では、もっと広い概念の人生を書きつづっていくものになっている。

□ エグザコンタ

様々なファイルを作り出しているエグザコンタ。これまでの商品ラインナップにくらべ、よりオフィスユースを意識したデザインの「EXACTIVE(エグザクティブ)」というシリーズで色々なファイル用品が発表されていた。

エグザコンタ EXACTIVE エグザクティブ

◆ EXAFOLIO(エグザフォリオ)

エグザコンタ EXAFOLIO エグザフォリオ

ちょっとしたブリーフケースのようなスタイル。ボタンを開けると、右側にパッドホルダー、左側にペンホルダーや小物を入れておけるジッパー付きのポケットがある。

エグザコンタ EXAFOLIO エグザフォリオ

もちろん書類もたっぷりと収納ができるようになっており、左側のゴムをはずすと、アコーディオン式のファイルポケットが広がりだす。

 

エグザコンタ EXAFOLIO エグザフォリオ

エグザコンタ EXAFOLIO エグザフォリオ

インデックスも付いて、種分けも可能。これ一冊でビジネスに臨める多機能ツールだ。

◆ EXAFILE(エグザファイル)

エグザコンタ EXAFILE エグザファイル

A4サイズの2穴アーチファイル。表紙をとめられるゴムバンド付き。中には、パッドを入れておくホルダー、そしてポケットも備える。よりアクティブに活用できるファイルだ。

エグザコンタ EXAFILE エグザファイル

◆ EXASHOW(エグザショウ)

エグザコンタ EXAFILE エグザファイル

今回のエグザコンタの中で個人的にとっても気に入ってしまったのが、このエグザショウ。一見するとファイルなのだが、折りたたみ式の表紙を開けて、それを組み立てるとまるで紙芝居のようにプレゼンスタンドに早変わりしてしまう。

エグザコンタ EXAFILE エグザファイル

実際のプレゼンや、プレゼンの練習用などにもこれは使えそうだ。使い終われば、折りたたんでファイルのように収納できるのがいい。

□ ロディア

ロディア

昨年、この展示会で発表されたブラックロディアに、今回、新たにブロックロディアもラインナップに加わっていた。

ロディア

ロディア

ブラックはこれまで、ノート系が中心だったので、このブロックタイプを待ち望んでいたという方は多いのではないだろうか。期待に応える格好よさだ。サイズは11、12、13、16、18、19。日本でも今後販売されていく。

また、マウスパッドのメモパッドである「クリックブロック」の表紙のデザインがリニューアルされていた。裏面の滑り止め機能も強化されている。

ロディア

□ クレールフォンテーヌ

クレールフォンテーヌの新作として発表されたいたのが、「forever(フォーエバー)」。

クレールフォンテーヌ forever フォーエバー

フランスらしい色鮮やかな封筒・便せんのシリーズ。驚くべきことに、使われている紙はなんと100%リサイクルペーパーなのだという。それなのに、これだけの発色の良さが出ているのは並大抵のことではない。

クレールフォンテーヌ forever フォーエバー

パッケージには「without De-inking」とある。一般に紙を再生する際、もともとあったインクを落とす際に化学薬品を使うのだそうだが、これは、そうしたものを一切入れていない。

さらに、再生する段階で予め同じ色の再生紙だけを分けて集めるという手間もかけている。こうした細かなこだわりができるのも、クレールフォンテーヌが自らが紙を作っている製紙会社だからだろう。

■ 気になる日本人デザイナーによるラミーの新作

冒頭でもご紹介したように、今回、残念ながらラミーはメーカーとしての出展はなかった。しかし、ドイツでラミーを販売している代理店がブースを出していた。既存のラインナップに混じって、見かけないペンが、さりげなく並べられていた。

聞けば、これは、ラミー初の日本人デザイナーによるペンだと言う。デザインを手がけたのは、深澤直人氏。
ペンの名は、「NOTO(ノト)」。

残念ながら、撮影の許可は下りなかったが、概略だけ簡単にご紹介したい。「NOTO」というネーミングは、デザイナーの深沢直人氏の「ナオト」を縮めた言い方と、ドイツ人が感じる日本的な言葉の響きから選ばれたという。

三角軸に楕円軸のノックボタンを持つシンプルなボディ。時間軸で考えないというラミーの哲学が感じられるデザインになっている。カラーバリエイーションはラミーらしいブラック&シルバーのツートンの他、ホワイト、オレンジ、ブルーといった鮮やかな単色タイプもあった。

油性ボールペンのみ。日本発売が待ち遠しい。

□ ペーパーワールド オフィシャルサイト

本展に関するお問い合わせは
メサゴメッセ・フランクフルト(株)info@japan.messefrankfurt.com

【取材後記】
ペーパーワールド2008
◆ホテルからは地下鉄で会場へ。

ペーパーワールド2008
◆会場受付は一人一人バーコードチェックをするので大混雑。

ペーパーワールド2008
◆会場へは動く歩道で移動。車と同じく右側通行。。

ペーパーワールド2008

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◆今回のペーパーワールドでは、プレスルームがとても豪華でした。日本の展示会では、ちょっとありませんね。バーもあり、とても居心地が良かったです。

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◆会場にあるカフェ。サンドイッチなどがあります。

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◆取材で歩き疲れた時のアイスは格別。。。

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◆夜は、市内のビアホールで仲間と英気を養いました。

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