2019.03.05(426)

「インディ系ステーショナリーショップ」

docket store

大阪 箕面

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荷札という意味の「docket(ドケット)」を店名にしているショップ「docket store」。

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2018年にオープンしたばかりだ。オーナーの山下さんとは共通の知人である福岡のショップ「アイデア スイッチ」の野村さんを通じて知り合った。「アイデア スイッチ」さんもオーナーの個性が色濃く出ているインディ系ステーショナリーショップ。やはり同じ趣向の人たちはしっかりとつながっているようで、山下さんのショップも私の感性を大いに刺激してくれるショップだった。

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「docket store」には以前から行こう行こうと思いつつ時間が過ぎてしまっていた。というのもショップが少々遠いところにある。地下鉄御堂筋線で千里中央駅に行き、そこから歩きだと20分ほどかかる。しかも、登り坂であるという。私は体力を考慮して潔くタクシーで向かうことに決めた。住所を頼りに向かうと新御堂筋という幹線道路沿いに建つ古いビルに辿り着く。正面玄関ではなく、裏の搬入口から搬入用の大きなエレベーターで3Fに向かう。こうした駅から離れた立地で、しかも搬入口から入るというスタイルだ。正直なところ、お店として成り立つのだろうかと思ってしまった。搬入用のエレベーターが、ガチャンと盛大に揺れて止まり、我に返った。3Fに着き外に出てみると、私の不安を吹き飛ばす素敵な世界がそこには広がっていた。古いビルをそのまま活かしてリノベーションされたフロアには、アンティーク家具ショップ、カフェ、コーヒー焙煎所などがお店を開いている。しかも、驚いたことに結構お客さんで賑わっている。まさに隠れ家という空間である。その中に「docket store」はある。

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■ 収納を研究

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「ストレスなくモノや情報を探す」をコンセプトに様々な収納アイテムやステーショナリーを揃えている。山下さんは、以前に無印良品の店長をされていた。10年間勤めた後、「まちづくり」の会社に転職し、その傍ら副業というスタイルで「docket store」をオープンさせた。ということもあり、現在は毎日ではなく、週末を中心にお店を開いている。

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そもそも山下さんが収納に興味を持ったのは無印良品に働いていた時だった。無印の収納アイテムには「モジュール」という大きさの基本単位があり、重ねたり横に並べたりした時にピタリと合うようになっている。ある時、その「モジュール」の単位は一体どこから来ているのだろうと疑問を抱いた。調べていくと、古くから日本にある「尺貫法」がベースになっていることがわかった。だから日本の押し入れなどにも気持ちよく収納できるのだと納得がいった。それを機に山下さんの「収納研究」がはじまり、「docket store」オープンのきっかけともなったのだ。

■ 主張しすぎない収納アイテム

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店内には、ハイモジモジの「ワーカーズボックス」、ラコニックの「Eqipment」、フェローズの「バンカーズボックス」などウンウンと思わず頷いてしまうセンスのよい収納アイテムが所狭しと並んでいる。店内をグルリと見回すと、山下さんの考える収納はジャンルが幅広いことにも気付かされる。書類を入れるファイルやボックスはもちろんのこと、ハガキや名刺をストックするケース、さらには突っ張り棒で服や鍵などをかけておくもの、キーホルダー、キートレイ、クリップに至るまで「まとめておく」という道具がバラエティ豊かに取り揃えらえている。

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■ 収納アイテムの印象を決めるラベルという存在

素敵な収納アイテムを生活に取り入れ使っている中で、気になることが頭をもたげてきた。それは、インデックスやラベルの問題だ。手書きをしてしまうと、せっかくの収納アイテムも台無し。市販のラベラーでは個性があまり出せない。この点をどうにかしたいと山下さんは思い始めた。そこで、思いついたのが感熱紙を使うという方法だった。ロール式で宛名ラベルなどにも使われているものがあった。予めカットもされているものもあるが、山下さんは好きな大きさでカットできるタイプを使っている。その方が様々なラベルを作ることができる。しかもコストも安いので気兼ねなく使えるという点も好都合。パソコンでデザインを作成し、感熱紙専用のプリンターで印刷をしていけばいい。収納アイテムのデザインにもしっくりとくるものになった。ただ、難点もある。長い時間が経過すると印字がだんだんと薄くなってしまうのだ。

docket store感熱紙ラベルを出力する専用プリンター

docket store感熱紙で作ったラベル。モノトーンでスッキリとした印象に

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山下さんのラベル探求はさらに深まっていく。そして、さらに考えたのが「ペンプロッター」を使ったラベル。「ペンプロッター」とは、好きなペンをセットして、予めパソコンでデザインしたものをそのペンでマシーンが描いてくれるというものだ。いわゆるプリントされた画一的な印字ではない。そうかと言って手書きしたものよりもキレイで暖かみもある。山下さんの理想となるラベルスタイルとなった。

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docket store1分足らずで私のイラストが出来上がった

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docket storeこちらがペンプロッターで描いたインデックス。ボックスに直に描かれている。

docket store私のためにお店を貸し切りにして頂いた。こちらもペンプロッターによるもの。

将来的に、山下さんはこうしたこだわりのラベル作成サービスを本格的に始めたいと考えている。客さんからオーダーをもらって、特注のラベルを作成して販売するというものだ。まずは感熱紙のラベルからスタートさせることを検討している。ペンプロッター方式はまだ時間と労力の関係からサービスを提供するまでには当面いかなそうだという。その前段階として、山下さんがすでに始めているのが、カッティングステッカーの販売。汎用性のある数字やアルファベットを作成し、販売しはじめている。

収納するアイテムだけでなく、そこに貼るラベルまでセットして販売をしていったら、まさに収納の専門店という形になる。これは潜在ニーズがありそうだと私も思う。

カッティングステッカープラゴミと燃えるゴミのマークをカッティングステッカーで作ったという。なお、「THOR」はもともとゴミ箱にあるマーク。デザイン的にとても馴染んでいる。



今回、私が「docket store」で買ったのは以下のアイテム。まず、以前から探していたアメリカの社内便用封筒。小さい穴がいくつも空いていて、中に書類が入っているかが一目でわかるようになっている。そして、持ち手と先端にゴムが付いているクリップ。書類をとめておくときに目立ってよさそうだ。3つ目はラコニックのA4ドキュメントボックス。ファイルとボックスの中間的存在で、わずかに厚みがある。書類を入れておくのが目的のようだが、私は商品企画のサンプルなど立体物を入れて持ち運ぶのに使おうと思っている。

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docket store Laconic ドキュメントBOX A4

docket store Laconic ドキュメントBOX A4

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美しく収納できるアイテムが見つかるショップ「docket store」。時間をかけても訪ねてみる価値は大いにある。

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