2019.12.03(445)

「頼りになるカジュアル万年筆」

プラチナ万年筆

プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオン

やっぱり紹介すべきだと思った。

プラチナ万年筆の5,000円(+Tax)という価格帯の万年筆「プロシオン」。1万円クラスの万年筆はすぐにあれとこれとと思い浮かぶものがある。しかし、5,000円台となるとあまりない。そうした中でこのプロシオンは5,000円万年筆の筆頭候補として私の中にたしかな爪痕を残した。最初はこの価格帯のわりにいいではないかと思ったが、最近は価格を抜きにしても純粋によくできた万年筆だと感じるようになった。数ヶ月使ってきた今、目を閉じてプロシオンはどういう万年筆か?と自分に問いかけると「ふつうにいい」という答えが返ってくる。「ふつう」というと特段特長もないと思われるかもしれないが、ここで言う「ふつう」は全体のバランスが整っているという意味。取り立ててなにかに秀でている訳では決してないのだが、なんかいいのである。プロシオンを手にして書く時に余計なことに惑わされないのをとても感じる。

プラチナ万年筆 プロシオン

■ しっかり握れるボディ

ボディはアルミニウム製。アルミと言うと軽量なイメージがあるが、プロシオンはちょうどよい重みがある。厚みをタップリと使っているからなのだろうか。そして、太めの軸。#3776センチュリーと比べてもほぼ同じくらいだった。見た目としては#3776センチュリーよりやや太い印象がある。たぶんそれは、両端が#3776センチュリーのように絞り込まれておらず太いままのせいだろう。

プラチナ万年筆 プロシオン全長も#3776センチュリーと同じくらい

プラチナ万年筆 プロシオンキャップをさした状態でも全長はほぼ同じ

キャップはクルクルと回すネジ式。個人的には引っ張って外すキャップよりこのネジ式の方に安心感を覚える。外したキャップは尻軸に深々と収まる。このプロシオンはキャップをはめて書く方がバランスが良いように思う。尻軸にキャップをセットして握ると、ネジ山ではなくその手前のボディのところに指が自然と行く。ここが樽状にふっくらとしていて、それをやさしく包み込むように握っていけるのだ。人は細い軸を握る時は、ついつい力を入れてギュッと握りがちだ。一方、太い軸の時はやさしく握れる。そうしたグリップをプロシオンは用意してくれている。全体的に書き慣れたサイズ感だと思って、比べてみたらキャップを尻軸にセットした全長は#3776センチュリーとほとんど同じだった。

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオンクリップをすこし左側から見ると、プラチナ万年筆の頭文字「P」に見える

■ よくできたステンレスペン先

プラチナ万年筆 プロシオン

5,000円万年筆ということで、ペン先は当然ステンレス製。ステンレスペン先もいいじゃないかと認識を新たにしてくれるインパクトがプロシオンにはあった。しなりを持ち合わせたスチールペン先なのだ。とは言っても、フワフワとしたものではない。あくまでも基本はステンレス製ならではの硬質さがあり、少し力を込めて書くとクイクイとペン先がわずかにしなる。私は万年筆で速書きをよくするので、この基本やや硬めで少しだけしなるというのがちょうどよい。

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオン
私が使っているのはM(中字)

このペン先の裏には新しいテクノロジーが搭載されている。ペン先側から見ると四角い穴がある。インク吸入口というもので、これがあることでボトルインクから吸入する時にペン先全体をズブリとインクに沈める必要がない。このインク吸入口さえインクに浸しておけばグイグイと吸入できるというのだ。残りインクが少なくなった時には助かるのはもちろんのこと、ボトルインクにまだタップリとインクがある時でもインク全体を浸さなくてもいいので拭き取りの時間も短縮できそうだ。

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオンキャップには、いつも瑞々しい書き味を楽しめるプラチナ万年筆の十八番のスリップシール機構を備えている。



程よい重量感、太さ、ペン先のしなり、そして新しいテクノロジー、こうした全体のバランスがとても整っているプロシオン。これから万年筆をはじめる方には手軽に本格的な万年筆ライティングを楽しめるだろうし、すでにたくさんの万年筆を所有している方にとっても「これはなかなかいいぞ」と納得の使い心地・書き味となると思う。

プラチナ万年筆 プロシオン

プラチナ万年筆 プロシオン  5,000円+Tax

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