2018.08.28(413)

「大人のカジュアル万年筆」

カヴェコ

パケオ 万年筆

カヴェコ パケオ 万年筆

ドイツの筆記具ブランド「カヴェコ」。カヴェコのペンは、コンパクトな「カヴェコスポーツ」と「ペンシルスペシャル」を所有している。いずれも、その昔販売していたものをベースに復刻されたものだ。そんなこともあって、「カヴェコ」と聞くと「クラシカル」というイメージがまず浮かぶ。

この「パケオ」という万年筆を見た時、その「古さ」の質が違うのを感じた。たしかに今のペンにはない古さというものはあるのだが、これまでの「クラシカル」系とちょっと違う趣がある。クラシカルというほど古めかしくなく、言うなればこれは「レトロ」といった感じ。そうした独特な雰囲気に誘われ、店頭で目が合ってしまった。私はペンと目が合う。気になるペンと出くわすと、たくさんのペンの中でもその一本だけが際立って見えてしまう。そして、そのペンの方もたくさんのお客さんの中で私のことだけを見つめている(気がする)。こうなると、他のペンを見ていても、ペンのジリジリとする視線を背中に感じる。そして、買うことになる。

カヴェコ パケオ 万年筆

■ レトロなカラーリング

カヴェコ パケオ 万年筆

まず、私の目を捉えて離さなかったのはそのカラーリング。落ち着いたブルーに少しグレーをまぶしたような色合い。なんとなく北欧を感じさせる。そしてホワイトグレーが実にあっている。プラスチックの使い方も巧みで、マットな質感は高級路線とは全く違う方向の個性を放っている。

■ エッジの効いたフォルム

カヴェコ パケオ 万年筆

ボディはカクカクとした多面体。キャップは8面体で、ボディはその倍の16面体。クリップはないが、この多面体のおかげで机の上でコロコロと転がるのを和らいでくれる。カチッとキャップを外すと、やや小さなペン先が現れる。ペン先の出具合が短く少々ずんぐりとした印象だ。グリップにはこうしたカジュアル万年筆にはおなじみの指を添えやすくするグリップアシストがある。ここも多面体ボディ同様にスパッと削ったようになっている。

カヴェコ パケオ 万年筆

カヴェコ パケオ 万年筆

 

カヴェコ パケオ 万年筆

書いてみる。

そのグリップアシストをよけて少し上の16面体の方を私は握る。ペン先はF。このFは日本人にも馴染みやすいほどよい細さをしている。スチールペンならではの硬め書き味。別の言い方をするならば、安定感・安心感がある。

カヴェコ パケオ 万年筆

カヴェコ パケオ 万年筆

カヴェコ パケオ 万年筆

インクはヨーロッパ標準タイプの小さなカートリッジがひとつ付属されている。予備のカートリッジをもう一本後ろにセットしておくことも可能だ。別売りのコンバーターも装着可能だが、私は使い切れていないヨーロッパ標準タイプカートリッジをわんさとあるので、それらを使っていこうと思う。ちなみにインクの残量は外からは確認できない。ただ、ボディを少し緩めていくと半透明越しにカートリッジが確認できる。

カヴェコ パケオ 万年筆

カヴェコ パケオ 万年筆



プラスチックボディのカジュアル万年筆は、これから万年筆をはじめる最初の一本として選ばれることが多い。どちらかというカラフルで若者向けという傾向がある。これはいい大人でも手にしやすい落ちついたカラーリング&レトロ感がある。本格的な14金などの万年筆を日々使っていても、妙に惹きつけられるものがこのパケオにはある。

カヴェコ パケオ 万年筆

カヴェコ  パケオ  万年筆
今回私が「パケオ」を買ったのは、福岡のショップ「アイデアスイッチ」さん

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