2016.10.18(366)

「長く使ってわかった私の定番 ペン編」

ラミー

ラミー2000 ペンシルなど

ラミー2000 ペンシル 0.5mm 0.7mm

前回のコラムでは、惜しまれつつ廃番となった文具を紹介した。そもそも文具が廃番になるというお知らせはおおっぴらにはされず、いつも人知れずひっそり行われる。私が廃番を知るのは、なんとはなしにメーカーのウェブページを見ていて、そう言えばあの商品ページがないな、、ということ感じで気づくことが多い。その意味で、まとめて廃番文具のお知らせができたのはよかったとも思う。少々時間が経って惜しんでいるという方もいたかもしれない。いつまでもしんみりしていても仕方ないので、気を取り直していこうと思う。今回はまた違った角度でこれまで pen-info で紹介してきたものを取り上げてみたい。pen-info で紹介した文具の中には、紹介後はしばらく手にして使っていくものの、しだいに疎遠になって出番が少なくなっていくものがある。そうは言っても、その後全く使わないという訳ではない。あくまでも使用頻度が落ちてしまうものだ。その一方で日々めちゃくちゃよく手にする文具もある。ふと手を見るとまた使っていた、、という感じで。文具と私の相性がよく、磁力で引き寄せられるようにいつも手にしているという文具である。使い心地もさることながら、そうした文具は長く使っていても、目立ったトラブルもないということもある。

今回はそうした文具をピックアップしてみることにした。手当たり次第ピックアップしても、とりとめなくなってしまうので、使用頻度が高いことに加え、できるだけ長い期間使い続けているものに絞り込んでみた。pen-info 初期の2003年から2009年の間で紹介したものから選んでみた。こうすれば、長いと10年くらい使い続けているということになる。そもそも pen-info で取り上げているものは、私の中でのオススメである。今回のものは、その上をいくことになる。あまりこういう表現は年甲斐もなく好きではないが、「超オススメ」、「激オシ」ということになるのだろう。あくまでも私視点ではあるが、これは買って損はなかったと思えるものばかりだ。今回はまずペンを紹介し、その後ノート・紙製品、ファイル、その他と順次進めていこうと思う。

■ パイロット キャップレスデシモ 2006年〜

パイロット キャップレス デシモ 万年筆

あまりにも気に入ってしまい、もう1本買ってしまった。当初はグレーボディでペン先はM(中字)だったが、ホワイトボディのFも買った。今ではもっぱらホワイトボディの方をよく使っている。キャップレスデシモは小さなコンバーターしか装着できないため、中字のMで書いていると、インクが結構はやく減ってしまう。そういうこともあり細字のFの出番が多くなった。かれこれ10年ほど使い続けているが、カチッというノックの感触、そしてインナーシャッターの気密性も衰えを見せず実に安定感がある。ひとつだけ気になるのは、ペン先のクローム部分のメッキ部分に細かな気泡のようなものが出てきた。書き味には関係がないので、まぁ経年変化として捉えている。

パイロット キャップレス デシモ 万年筆

パイロット キャップレス デシモ 万年筆

パイロット キャップレス デシモ 万年筆

この万年筆で毎朝ToDoのリストアップをしている。万年筆で一日の筆記をスタートするというのが、もはや歯磨きをするのと同じくらい私の日常となっている。

パイロット キャップレス デシモ 万年筆

■ ペリカン スーベレーン M800 2007年〜

ペリカン スーベレーンM800 フルハルター 万年筆

私がフルハルターデビューを果たした一本。一般的には3BをBに研ぎ出してもらうのが普通だそうだが、その時私はなぜかBをBのまま研ぎ出していただくことにした。当初から私の筆記ポジションにピタリときて、これが自分の書き方にあわせて研ぎ出してもらうことなのかと感動を覚えた。このM800を握り原稿用紙に向かって書き出すと、私と万年筆そして原稿用紙が三位一体となるのを感じる。さらに言うならば、私の脳とペン先が太いパイプでつながり、頭に浮かんだフレーズが次々にペン先を通して現れ出される。それは霊界と人間の間にたって口寄せする「いたこ」のように。ちょっと例えが違うか。。。

ペリカン スーベレーンM800 フルハルター 万年筆

ペリカン スーベレーンM800 フルハルター 万年筆

M800は主に原稿執筆に使っている。たまにパイロット カスタム823 Bで書くこともある。数ヶ月ぶりにM800を手にすると、我が家に帰って来たような心地よさがある。私の書き方にあわせて研いでもらったペン先は9年間の筆記でさらにいっそう書きやすくなっている。この心地よさは、この先どれくらいさらによくなっていくのだろうかと楽しみが膨らむ。

ペリカン スーベレーンM800 フルハルター 万年筆

50才を目前にして最近よく思うのが、私は残りの人生であと何文字くらい書けるだろうかということ。その残りの筆記人生のかなりの部分を共にするであろう万年筆だ。

■ パイロット カスタム742 EF 2009年〜

パイロット カスタム742 EF 万年筆

仕事柄、原稿を書くことが多い。と同時にその原稿の校正・推敲をする機会も当然のごとく増えていく。草稿は一回だけだが、校正は最低でも3回はするので、実は校正・推敲の方が作業としては多くなる。原稿執筆用の万年筆だけでなく、校正・推敲用の万年筆もちゃんと持っておいた方がいいぞ、と考え購入した一本だ。これも大正解な万年筆だった。2007年に購入してから、この742のEFには赤インクしか飲ませていない。しかも、パイロット純正の赤インクだ。一回たりとも浮気をしたことがない。ペン芯を見てみると、すっかりと赤く染まっている。これまでの9年間一度も水洗い洗浄をしたことがないという私の万年筆の中でもちょっと珍しい1本である。この真っ赤に染まったペン芯を維持したいということもあるが、とりたててインクフローが悪くなったりしたことが全くなく、水洗いクリーニングの必要性がなかっただけだ。やはり、これは純正インクだけをひらすら飲ませ続けたおかげなのだろうか。毎日とはいかないが、2〜3日に一回は手にするという使用頻度もよかったのかもしれない。万年筆の最高のメンテナンスはひたすら使うこと、これに尽きるのだろう。

パイロット カスタム742 EF 万年筆

パイロット カスタム742 EF 万年筆

パイロット カスタム742 EF 万年筆

パイロット カスタム742 EF 万年筆

パイロット カスタム742 EF 万年筆

針のような極細EFペン先をルーペで見ると、少しばかり面が出てきている。カリカリとした極細ならではの筆記感は影を潜め、スムーズさが出てきた。この万年筆を手にすると自分自身の校正・推敲スイッチがカチッと入る。

■ ラミー2000 ペンシル 2007年〜

ラミー2000 ペンシル 0.5mm 0.7mm

ドクターラミーを取材した時、氏は清書する時は万年筆を使うが、アイデアを考えたりする際はこのシャープペンを手にすると話し、35年近く愛用のラミー2000 ペンシルを胸ポケットから愛おしそうに取り出した。そのエピソードを聞き、使い込まれたラミー2000 ペンシルを見て、私の中でラミー2000ペンシルの存在が一挙に膨れあがり、すぐに買いに走った。当初は0.5mmを買い、その後0.7mmも入手した。ちなみに0.7mmはこれまで日本では正規販売されていなかったが、2016年から正式に販売されることになった。私は0.5mmは手帳用に、0.7mmはノート筆記用に使っている。

ラミー2000 ペンシル 0.5mm 0.7mm

机の上でラミー2000 ペンシルをふと見ると、なんて美しいフォルムなんだろうと見とれてしまう。しかし、いざ手にして書きはじめると、その存在感がスゥッとなくなっていく。消えていくというよりも手に溶けこんでいくかのように。書くこと、考えることに集中させてくれるペンである。

ラミー2000 ペンシル 

■ パイロット カスタム743 ウェバリー 2008年〜

パイロット カスタム743 ウェバリー 万年筆

ペン先が少しだけ上を向いた、特殊な雰囲気ただようペン先「ウェバリー」。書き味は、いたってふつう。書くにあたって、この「ふつう」というのはとても大切なことだと私は考えている。先ほどのラミー2000 ペンシルでも触れたとおり、書くことだけに集中できるからだ。その「ふつうさ」がすっかり気に入り、出張時には必ず持っていくようになった。ふだんはCON-70でボトルインクを吸い上げているが、出張時にはコンバーターを外してカートリッジインクにして5〜6本ほど持っていく。前日に取材した草稿を原稿用紙に10〜20枚くらい書くと、満タンだったカートリッジインクは8割ほどなくなっていく。出張先というアウェーな環境であっても手もとだけは「ふつう」というホームな感覚に浸らせてくれる万年筆である。

パイロット カスタム743 ウェバリー 万年筆

■ ぺんてる グラフ1000 2009年〜

ぺんてる グラフ1000 0.7mm 0.9mm

当初は0.5mmタイプから使いはじめ、現在は0.5mmの出番はあまりなく、0.7mmと0.9mmばかりを使っている。主に0.7mmはノートにアイデアを書くと時、0.9mmはインタビューや取材で書く時に手にしている。いずれの共通点は「速書き」。いくら速く書いても安定した書き心地が得られる。書き心地もさることながら、気に入っているのがノックの押し心地だ。シャープペンにしては少し重めの部類に入る。ややノックストロークも短めで精密さを感じされるカチカチという音がする。ノックを押し込んでバネの負荷で押し戻される時、ノックボタンが当初の位置に戻される最後の瞬間に「カクン」という感触がある。音はなく指先だけが感じるものだ。ぺんてるの方によると、これは「バック音」と呼ばれるもので、芯をつかんだチャックが前に押し出されて、ノックが元あった場所に戻る時の感触だという。どのシャープペンでもある感触だそうだが、とりわけ「グラフ1000」は、この「バック音」がとてもよく感じられる。

ぺんてる グラフ1000 シャープペン

ぺんてる グラフ1000 シャープペン

私にとってのシャープペンのスタンダードと言ってもいい1本。シャープペンを評価したり、インプレッションする時に、「グラフ1000」よりどうかということを常に思い浮かべてしまう。

*パイロット キャップレスデシモ
*ペリカン スーベレーン M800
*パイロット カスタム742 EF
*ラミー2000 ペンシル
*パイロット カスタム743 ウェバリー
*ぺんてる グラフ1000 0.7mm 0.9mm 

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