2017.03.21(377)

「A3という大海原で考える」

神戸派計画

recto planning A3

神戸派計画 recto planning A3 レクト レポートパッド

私にとって考えるとは、「考える」→「書く」→「それを見る」→「刺激を受ける」、そしてさらに「考える」というサイクルをグルグルと回し続けていくこと。本「知的生産の技術」(梅棹忠夫著)の中に『人は時間とともに、たちまち別人になる』とある。別人になるのは、なにもタップリとした時間が必要な訳ではなく、わずか一瞬の間でもどんどん別人になっている。考えを紙に書き、それを見る。時間にしてものの5秒くらいなものだけれども「考えた時の自分」と「それを見た時の自分」はもう別人である、そう私は思っている。書きながら考えるという行為は、次の瞬間の自分という別人にこの考えどうかな?と尋ねていくイメージ。

考える流れ

この考えを深めていくという作業がタップリと30分くらいはできる用紙を見つけた。神戸派計画の「recto planning A3」だ。

■ 考えることに集中させてくれる

これは、A3サイズのレポートパッドである。改めてこのA3というサイズが集中して考えるという点でとても良いことに気づかされた。私のノートサイズ選びは、これまでこんな感じだった。それは、机の上でのノート設置有効面積を意識するということだ。机の上にはパソコンやキーボードがある。それらと共存するようにノートを置かなくてはならない。すると、A5サイズや今私が使っているスケッチブックの2Fあたりがちょうどよい。PC作業をしながら、なにかを書くというシーンにおいては、この共存というのは欠かせない。しかし、じっくりと腰を据えて考えるという時には、パソコンとの共存なんてしなくてはいいのでは・・・ということに、フト気づいた。

考える時は、考えることだけに集中すればいいのではないか。パソコンとの共存なんてハナから考えなくていいのではないか。むしろPCとの共存なんてことをしているから、ついつい途中でFacebookに逃げたりしてしまうのだ。現代という世の中は、本当に色々な誘惑が多い。

このA3サイズパッドは、あまりにも大きくて、いつものデスクの上に置こうにもできない。しかたないので、会議テーブルあたりに場所を移すことになる。こうすることで、Facebookなどの誘惑から逃れることができるようになる。言わば、強制オフライン。

■ どこから何を書いてもいい

神戸派計画 recto planning A3 レクト レポートパッド

大きなテーブルに、このA3パッドを置いてみる。いつもはA4サイズと格闘しているので、これがとても新鮮。

A3という大海原を感じる。

recto planning A3には、1mm、3mm、4mm、5mm方眼タイプがある。手始めに私は3mmから使ってみた。5mmだと、マスの中に文字を埋めてしまいそうになる自分を感じた。3mmだとそもそもマスの中に書き込もうとしないだろうし、あまり線がうるさくなさそうという理由からだ。

神戸派計画 recto planning A3 レクト レポートパッド

見渡す限り紙。どこから書き始めてもいい。私は中央にメインテーマをまず書いてみた。このパッドは紙面のど真ん中にさりげなく小さな点がある。中央から書く時にいいスタートが切れる。そして、そのまわりに考えを次々に書いていった。書いていて、ひとつ気づいたことがあった。それは「遠慮をしていない自分」だった。これまで、ふつうのノートやスケッチブックに向かっていた時は、これはあまりいいアイデアではないから書かないでおこうと判断してしまっていたことがある。それは限られた紙面をムダにしたくないという考えからだった。でも、A3に向かうと、そんな遠慮は無用というサイズなので、どんなことでもどんどん書いていける。これは、A3の効用だと思う。

神戸派計画 recto planning A3 レクト レポートパッド

神戸派計画 recto planning A3 レクト レポートパッド

A3という大海原に向かい、あれやこれやと書いていくと、私の場合30分くらいで紙面のおおかたが埋まった。この間、Facebookを見ないで済んだ。30分間考え続けるというのも久しぶりかもしれない。

■ 自分の考えという作品

このパッドは方眼が片面しか印刷されていない。そして天糊で綴じられているので、書いては切り取っていくというスタイルが基本だ。自ずと裏面には書いていかない。絵を描く方がデッサンをする時にクロッキー帳などに片面だけに描いていく。それは一枚の作品という考え方があるからなのだろうか。私たちの考えを書く時も、ある意味「考えの輪郭」を作り出すデッサンのようなものとも言える。その意味で片面筆記はしっくりとくる。書き終わったら、ペラペラと一枚を切り取る。ただ、そのあまりにも大きなA3の紙の扱いに困ってしまう。A4ならクリアフォルダーあたりに入れておくこともできる。A3のフォルダーというのはあるにはあるだろうが、大きすぎて使いづらい。だからと言って、折ってしまうのもためらわれる。あくまでも自分の作品なので。

神戸派計画では、そこまで考えてくれている。「A3 PORT PIT」という専用フォルダーがある。見た目はA4サイズのフォルダーだ。中を開けると右側に折り返しがあり、そこにA3の紙を差し込み、そのままフォルダーを閉じてしまう。背のマチが3mmちょっとあるおかげで、閉じても中に入れたA3の紙に折り目がつかない。あくまでもやさしく包み込むような母心でホールドしてくれるのだ。(紙にゆるやかな丸みはつく)

神戸派計画 A3 ポートピット

神戸派計画 A3 ポートピット

神戸派計画 A3 ポートピット



パソコンが仕事の中心になればなるほど「考える」という仕事にさく時間を持つことは難しくなっていくように感じる。パソコンは調べ、まとめるツールであって、考える道具ではないと私は捉えている。このA3パッドは30分という時間を強制的に考えることに向かわせてくれる。

神戸派計画 recto planning A3 レクト レポートパッド A3 ポートピット

*追記

A3サイズのパッドはロディアにもあります。定番の5mm方眼、そして5mmのグレードットの2タイプ。ちなみにロディアは上に綴じ部分があるため、外観のサイズはレクトより少し長めです。レクトもロディアも切り取った紙のサイズは、いずれもA3となっています。

ロディア A3

ロディア A3

*神戸派計画 recto planning A3 各700円+Tax
*神戸派計画 A3 PORT PIT 1,350円+Tax
*ロディア ブロックロディア No.38(A3)2,000円+Tax
*ロディア ブロックロディア ドットパッドNo.38(A3)  2,000円+Tax

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