2005.01.12(59)

「天然竹の味わいがある筆ペン」

あかしや

天然竹筆ペン

あかしや 天然竹筆ペン

先日、友人の結婚式に出席してきた。結婚式の受付の記帳には決まって筆ペンが用意されている。今回は筆ペンと一緒にマジックも用意されていた。すでに記帳されている方々のほとんどは筆で書かれていたので当然私もその流れに乗って筆ペンで書くことにした。

■ 結婚式の受付と言えば、筆ペン

その結果、普段書きなれていない筆ペンはいつも以上に私の文字をきたなく
見せてしまうことになってしまった。結婚式の受付というものは特にきれいな女性が担当することが多いわけだがそういう方が見ている前できたない字を書くのは大変情けない。

「あー、筆ペンで書く練習をもっとしておけばよかった」こういう場面でいつもこう思う。でも、式が終わると、そんなことをすっかり忘れてしまう、という繰り返し。そんな時、ちょっと気になる筆ペンを見つけた。この筆ペンなら、これまでできなかった筆ペンの練習ができそうなそんな予感がする。。。

今回は、あかしやさんの天然竹筆ペンです。筆ペンというと、透明プラスチックのブリスターパックに入った包装が多い中、これは、なんと桐の箱に入っている。

あかしや 天然竹筆ペン

桐の箱なので、さぞかし高級なものだろうと値札を見ると2,000円とあった。これが意外と安いので驚いた。商品名にあるとおり、胴軸には天然竹が使われている。日本の伝統工芸品である「奈良筆」の軸によく使われる天然の紋竹(もんちく)が使われているという。ちなみに、奈良筆とは嵯峨天皇の時代に空海(のちの弘法大師)が、唐で毛筆の製法をを習い日本に持ち帰ったのが始まりという由緒ある筆のことらしい。

桐の箱、紋竹を使い、2,000円という低価格に抑えたあかしやさんの企業努力に拍手を送りたいと思う。筆ペンなので、使わないときに穂先のインクが乾かないようにキャップがついている。キャップを閉じた状態は、まるで本当の1本の竹と見違えるほどの自然なたたずまいだ。それでいて、どこか威風堂たる風格もある。

■ どことなく刀のようにも

ちょっと例えが悪いかもしれないが、先日見た映画「座頭市」の杖型の刀を私にはイメージさせる。天然竹なので、1本1本模様が違うというのでお店の方にお願いして、いくつか見せてもらった。自然の竹が織り成す紋様は1つとして同じ柄はなかった。どの紋様にしようか色々悩んで末、適度に茶色の紋様がついたものを選んだ。世界に1本しかない自分だけの紋様だと思うと、なんだか心が弾んでしまう。

天然竹のおかげだろうが、手に適度のまとわりつく握り味はとても安心感がある。竹ってこんなに握りやすかったのかと、改めて関心してしまったプリントではなく天然竹のなせる技だろう。

あかしや 天然竹筆ペン

ひとたび、キャップを開けてみると、これまでの伝統工芸の雰囲気から一転して、半透明のグリップ越しに毛細管機構が垣間見えてくる。

あかしや 天然竹筆ペン

伝統工芸と現代の技術の融合が違和感なく融合している。万年筆の要がペン先であるように、筆の要は穂先である。この筆ペンにも、そのこだわりが注ぎ込まれている。コシの強い人造毛を使い、筆職人の手により、1本1本丹念に手作りされている。確かに、穂先を紙の上にのせ、書き始めるとしっかりとした弾力が手に伝わり、確かな書き味がある。

しっかりした穂先なので、書いているうちに、穂先がすぐにへたってしまう心配はなさそうだ。仮に、へたってしまっても、替えの穂先を別売で用意されているので気兼ねなく書くことができる。インクは専用のカートリッジインクを胴軸内部に差し込むだけ。よくある万年筆と同じ要領。穂先同様、カートリッジインクも別売されている。

穂先とインクさえ替えていけば、天然竹の胴軸はそのままに末永く愛用することができる。永く使っていけば天然竹の胴軸はきっと経年変化とともにいい味がでるに違いない。

この筆ペンを普段から愛用していけば、次回の結婚式の受付で慌てることなく、堂々と筆ペンを使いこなせるようになっていることだろう。その時に備えて、当面は自分の名前と住所だけをひたすら練習しておこうと思う。

あかしや 天然竹筆ペン

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