2012.08.14(261-2)

「ISOT2012 2」

ISOT2012

国際 文具・紙製品展レポート

■ デジアナ文具 花盛りのキングジム

ISOT2012

「ショットノート」の大ヒットを受け、その関連商品を続々と送り出しているキングジム。いよいよ真打ち登場、という感じで、キングジムの十八番のファイルが「SHOT DOCS (ショットドックス)」としてお目見えしていた。

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「ショットノート」では四隅に四角いマークがあったが、今回のファイルにはマークはなく、その代わりにファイルの表紙や台紙と収納する紙の色差で認識させるというスタイル。クリアーホルダーの表面は透明、そして裏側に色が付いている。書類をはさみこむと、グルリと枠ができるようになる。収納した紙の周囲に濃い色の枠があれば、「ショットドックス」専用のアプリが紙のフチを認識するのだそうだ。

気が効いているのは表面の透明部分は低反射素材を採用しており、アプリで読み取る際に蛍光灯などの映り込みの心配がないところ。

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この他、細部の作り込みも違っていて一般のクリアーホルダーは1枚のシートを2つに折って下側だけを溶着しているが、この「 ショットドックス 」では2枚別々のシートを重ねあわせ2ヶ所を溶着している。

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これは、どのように紙を収納してもしっかりと四隅に枠ができるようにするためだ。「ショットドックス」のラインナップにはクリアーファイル、そして名刺ホルダーもあった。

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別のコーナーには、 iPhone 用のドックスキャナー「iScamil mini」が発表されていた。

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これまでは iPad 用だけだったが、よりコンパクトに使えるようになる。さすがに A4の紙は入らないが、逆にレシートや名刺など小さいものは取り込みやすくなる。iPadのiScamilよりも、取り込んだ画像の解像度は倍にアップしていることもあり、
価格は同じ15,540円。ちなみに iPod touch (第4世代)にも使えるという。

■ 相変わらず、かゆいところに手が届くリヒトラブ

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差し込むだけで書類がファイルでき、逆さまにしても書類が落ちないスケジュールファイルをはじめ、かゆいところに手が届き、さらには肩までマッサージしてくれるような気配りあふれる商品を最近よく出しているリヒトラブ。これもその一つと言える。「ポイントカードホルダー」。

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実は「ポイントカードホルダー」としてはすでに発売していた。今回新しくなったのは、サイズの違うポイントカードも一手に引き受けてファイルできるようになっている点。そもそもポイントカードにはカードサイズと名刺サイズの2種類あり、それぞれで微妙に大きさが違う。

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縦はほぼ同じだが、横幅が名刺サイズの方が少しばかり長い。今回の商品はその縦の長さがほぼ同じというところに着目して、カードを縦に入れるようになっている。

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ISOT2012 レポート

これならポケット自体の幅は一種類で済む。一つひとつのポケットは、それほどきつくなくカードがすんなりと入る。しかし、ひとたび入ってしまうと逆さまにしてもカードは落ちることはまずない。

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カードを取り出すときは、当然ホルダーを広げる。この広げるときにポケットの口の形が微妙に変形する。アコーディオンのジャバラをイメージしていただくと、わかりやすいかもしれない。アコーディオンを広げると、ジャバラ自体は伸びる。

それに伴い、両側のジャバラ同士の間の長さは狭くなる。この原理を利用してカードを両側からピタリと固定されるという訳なのだ。実にうまく考えられている。デジアナ文具はノートやメモのみならず、今やホワイトボードにまでそのラインナップを広げている。そんな中でリヒトラブも発表していた。基本はあくまでマグネット式のホワイトボード。

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スマホで取り込むためのマークや外枠などは一つもない。ただただ真っ白なボードになっている。こだわったのはサイズ。A0、A1、A2と すべてA判になっている。そもそもスマートフォンで撮影してパソコンで見る時は PDF などの形式ということが多い。しかも、 大体がA4サイズ。

そこで、ホワイトボードそのもの A判にしている。リヒトラブとして専用のアプリを用意するということはなく、フリーのアプリなどを勧めている。これと一緒に使う「ふせんマグネットシート」というものもあった。

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まさに付箋カラーの小さなサイズのマグネットシートだ。これはハサミで切りとるようにもなっていて好きなサイズにすることができる。何もこうしたマグネット式付箋を使わなくても、紙の付箋を使えばいいじゃないかと思われることだろう。私もそう思い、担当の方にそのことをぶつけてみた。

こうした質問は絶対にされるだろう想定してみっちりと練習していたようで、以下のような回答は続けざまに返ってきた。

1)紙と違って使い回しができる。
2)全面マグネットなのではがれにくい。
3)マグネットなので文字の上に貼って剥がしても文字を消すことがない。
4)今回のマグネットホワイトシートには、うっすらと4センチ角のガイドラインがある。このサイズにふせんマグネットシートがピタリと合うようになっているので、なにかと使いやすい。

ということがあるそうだ。

ツイストリング・ノートにシックなタイプが仲間入りしていた。ブラック、ブラウン、ホワイトのレザー調表紙タイプだ。これまでのものはカラフルなものが中心だったので、仕事でも使いやすいこういうタイプを待ち望んでいた方は多いかもしれない。

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リングまでゴールドになっている。

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表紙を開くと内側にもデザインが施されている。往年の「リヒト産業」時代のファイルの内側(あくまでもイメージ的に)というようなクラシカルな印象を受けた。

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私としては表紙と同じ色のものでもよかったのでは、、とも思う。中の紙質もバージョンアップしており紙重量が80g/㎡から84g/㎡に厚くなり、あわせてクリーム色になっている。

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■「切る」プロが作った情報保護ツール  カール事務器

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カール事務器は鉛筆削り、パンチ、シュレッダーなど、刃で切るものを作るプロ集団。そのカール事務器が個人情報保護ツールを彼らなりのアプローチで作ってきた。巷で流行っている個人情報保護ツールと言えば、スタンプ式やハサミでザクザクと切っていくものがこれまでの中心。カール事務器が発表したのは、その名も「切り取~る」。

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形としては、これまでのスタンプ式のものにどことなく似ている。

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使い方は、まずカッターマットや、要らなくなった雑誌などを敷く。破棄したいハガキや封筒を置き、その上から「切り取~る」を添え、力をかけながら一気にスライドさせる。

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そうすると、宛名の部分が波状にカットされていく。

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本体を裏返して見ると、波刃が2枚がすき間を保って並んでいる。

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ちなみにこれはクラフト用のカッターをベースにして新たに作られたもの。上から力を入れると、刃が押し出され、本体をスライドさせると刃が回転して切り取れるようになる。

まっすぐに切るものだと、破棄したはずの文字がそのままキレイに切れて、たとえば住所などの一行が読み取れてしまうことがある。波刃ならまっすぐ切っても、所々が波状になるので、文字がうまい具合に抜けてくれる。

この「切り取~る」は、紙はもちろん OK だが、一番得意なのはビニール封筒。一部のシュレッダーでは、ビニールが刃にからまるなどの理由で使用出来ないものもあるという。

「切り取~る」ならスカッと切り取ることができる。

■ イタリアのストーンペーパーノート OGAMI

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会場の端の方にあった「デザイン・ステーショナリーワールド」。そこを歩いていて、これまで全く見たことのないデザインノートが目にとまった。これは一体どこのブランドだろうと、しばらく眺めていると、後からパーソナル文具専門卸 エムディーエス(MDS)の人に声を掛けられた。

イタリアの OGAMI (オガミ)というブランドで、MDSがこの度日本の代理店となったという。イタリアの文具メーカー IMAGO(イマゴ)社が立ち上げたブランドで、「OGAMI」は「 IMAGO」のスペルを逆さにしたものだ。出展していたのは、「プロフェッショナル コレクション」と、「クオーツ コレクション」の2種類。

「プロフェッショナル コレクション」は、シンプルなデザインであるのに対し、「クオーツ コレクション」は鮮やかな表紙でオスカー・ワイルドなどの著名人の言葉がデザインされている。

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【プロフェッショナル コレクション】

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【クオーツ コレクション】

中の紙が全て台湾のLung Meng Tech社が開発したストーンペーパー(REPAP)で出来ているのが特徴だ。

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ちなみに、逆さつながりでもう一つ付け加えると、「REPAP」は「PAPER 」を逆さまにしたもので、紙の常識を覆すというコンセプトらしい。ストーンペーパーとは文字どおり石で作られた紙のこと。原料は、炭酸カルシウム80%と高密度ポリエチレンで、木材は一切使われていない。石で出来ているということでこれまでの紙とはかなり違う。

表面はちょっとまとわりつくようならマットな質感があり、紙のコシはとてもソフト。アウトドアメモなどに使われる耐水紙のユポ紙というものがあるが、それにどことなく似た質感。肝心の筆記性は、とってもペンを選ぶところがある。相性がいいのは、マーカーやサイン、筆ペン、色鉛筆、クレヨンといった類だ。

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共通するのは、ペン先が比較的やわらかいもの。逆にあまり相性が良くないのはHなどの硬めの鉛筆、細字ボールペン、万年筆といった先端が細く硬いペン先系のもの。先端が細く、硬いペン先で書くと、引っかかりを感じることがあるという。試しに私が取材で使っていた0.7mm のシャーペンで書いてみたら、思っていたほどの引っかかりはなかった。

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私は、日頃から万年筆をよく使ってるので筆圧は結構弱めな方。試しに今度は筆圧を多少強めで書いてみると、なるほど確かに引っかかっていく。引っ掛かるというよりも、その前にペン先が紙に沈み込んでうまく進んでいかないという感じだ。

一方、ストーンペーパーのメリットは、水に強く、破れず、何より木を使わないので環境に優しいということがある。これはいいことだか、悪いことだかわからないが、石なので大きなサイズを手にするとズシリと重い。

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