文具で楽しいひととき
■ その90 「鉛筆を最後まで慈しむ道具」 鉛筆補助軸いろいろ 


  鉛筆 補助軸 エクステンダー


□何事も減っていくというのは、あまり歓迎されることではない。
 最近高くなった車のガソリンや、財布の中身など。

 でも、鉛筆についてはそうは思わない。
 使い込んでいくに従い短くなっていく鉛筆を見ていると、
 「あぁ、もうこんなに使ったのか。。。」とその減り具合から
 自分の仕事の成果みたいなものを感じられて、なんだかうれしい。

 すっかりとその姿を変えた鉛筆に愛おしさすら覚える。

 でも、
 短くなった鉛筆を使っていると、なんだか人間の器も小さいみたいに
 みられてしまう気がして、人前で使うのはちょっとばかり、
 気恥ずかしい感じもする。

 愛おしい相棒を使えないもどかしさとでも言ったらいいだろうか。

 そんな時に、役立つのが補助軸という存在。
 またの名をエクステンダーとも言う。

 今回は、私が集めてきた、とっておきの補助軸たちをご紹介したい。


■ 伊東屋オリジナルの補助軸


  


 先ごろ発売された伊東屋オリジナルの補助軸。
 伊東屋のオリジナル鉛筆、イートンペンシルのデザインのシンプルデザインを
 そのまま補助軸にしましたというとても潔いデザイン。  

 メタル製のボディの表面には、まるで消しゴムのようなラバー塗装が
 施されている。
 手に程よく吸い付くと同時に、ホコリや汚れまでも吸いつけてしまう難点はあるが、
 使い込んでいけば、いずれはよごれていくものなのだから、
 そんなに気にする問題ではないように思う。
 
 使い方は、補助軸の穴に鉛筆を差し込んで、補助軸のトップにある銀色の
 ネジを回して、鉛筆を固定すればいい。


  


 一般的な補助軸と違う点は、鉛筆を固定するためのネジが
 ペン先側ではなく、後ろ側にあること。
 このおかげで、すらっとしたボディに仕上がっている。

 

  


 補助軸のグリップ部分には、握りやすいように凸凹がある。
 よく見てみると、それはらせん状にぐるぐると回っている。
 実はこれ、先ほどの鉛筆を固定するためのねじ山も兼ねていたのだ。

 イートンペンシル同様にレッド、ホワイト、ブラック、グレーのカラーバリエーションが
 用意されている。
 短くなった鉛筆をカジュアルな気分で使うにはもってこいだ。
 せっかくなので、イートンペンシルに合わせて使ってあげるのが
 いいと思う。


■ 定番の補助軸


  


 次に、メタル素材をそのままに生かしたお馴染みの補助軸。
 文具屋さんに行くと、よく見かけるタイプがこれだ。

 先ほどの伊東屋さんのタイプと違い、鉛筆を固定するネジがグリップ部分にある。


  

 
 このタイプ特有の面白いことを発見した。
 それは、筆記音。

 この補助軸で書いてみると、シャラシャラという音を奏でる。
 鉛筆単体では、決して耳にしたことのない独特な音だ。

 これは、補助軸が密閉構造になっているので、
 鉛筆の芯と紙が触れ合う振動が、補助軸の中で共鳴しているためだろう。
 ちなみに先ほどの伊東屋さんのものでは聞こえてこなかった。

 この響きを聞くには、ちょっとしたコツがある。
 鉛筆を補助軸に指すときに鉛筆を深めにさして、
 書く時には、補助軸を握るというもの。
 鉛筆部分を握っても、音はしない。

 短い鉛筆ならではのちょっとした楽しみになりそうだ。


■ 木製の補助軸


  


 最後は、木製の暖かみある補助軸。
 
 鉛筆と同じ木で出来ているので、当然相性はばっちり。

 しかしながらこのタイプを使うには1つ注意点がある。
 それは、かなり短くなった鉛筆にしか使うことができないということ。


  


 これまで紹介してきたタイプと違い、
 この補助軸は、金具の部分までしか鉛筆を差し込むことができない。
 長さにして6cmくらいの鉛筆をさすと、いっきょに新品の鉛筆くらいの
 長さになってしまう。


  


 なので、かなり短い鉛筆しか使えないという訳だ。

 短くなった鉛筆にしか使えないということは、
 それだけ、鉛筆には使い込まれた味わいが出ている。
 一方、この補助軸には木が使われているわけだから、
 メタルにはない味が次第に刻みこまれていく。

 その味わいがあるもの同士の絶妙な組み合わせとなる。

 これもまた、趣きのある鉛筆との付き合い方だ。


□自分の身を、まさに削ってまで、頑張って短くなった鉛筆に
 もう一度、息吹を与えてくれる補助軸。

 鉛筆の最後のその時まで、大切に扱ってあげれば
 きっと、鉛筆も喜んでくれるに違いない。

 そして、1本の鉛筆を使い終わった時には、
 なんとも言えない達成感を味わうことが出来る。


  


(2005年9月27日作成)


■ 伊東屋 鉛筆用補助軸 赤は、こちらで販売されています。





□ 参考情報

   伊東屋オリジナル補助軸  380円
   銀色のメタルタイプ補助軸  110円 (銀座五十音さんで購入)
   
       木製の補助軸         483円  *当時価格 (表参道のpess sixさんで購入)

       *ブラックのメタルのものは、随分前に購入したので値段を忘れてしまいました。
         確か、100円台だったと記憶しております。
□ これまでご紹介した鉛筆関連の評論

   ■ 「老舗文具屋さんのシンプル鉛筆」 伊東屋 イートンペンシル  

   ■ 「大人の鉛筆削り」 DUX社 鉛筆削り

   ■ 「ちょっと変わった2刀流 鉛筆削り」 KUM社 ロングポイント鉛筆削り

   ■ 「サバイバルから鉛筆削りまで 」 ウェンガー ソルジャー
   ■ 「やっぱり鉛筆。」  ファーバーカステル UFOパーフェクトペンシル 

   ■ 「三角形軸の鉛筆」 ファーバーカステル GRIP 2001、ステッドラー Mars エルゴソフト

   ■ 「ありそうでなかった組み合わせ」 トンボ鉛筆 黒赤鉛筆 木物語
  
   ■ 「レトロなエンピツ」 三菱鉛筆 局用鉛筆 

   ■ 「鉛筆を愉しもう」  


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