文具で楽しいひととき

■ 「ペーパーワールドチャイナ2007 レポート」  (2/4ページ)


■ 注目した中国ステーショナリー (つづき)

■ デザイン性の高いノート

 中国出展社の多いエリアを歩いていて、
 これは、ヨーロッパの出展社ではないだろうか、と思ってしまう
 洗練された商品を並べているブースがあった。

 香港の「GOODVIEW ENT. CHINA LTD.」というメーカーだ。

 「 nought & crosses 」というオリジナルブランドを展開しており、
 主にハードカバーのノートやアルバムなどが展示されていた。
 ちなみに「 nought & crosses 」は
 日本で言うところの線を縦横2本ずつ引いて行う○×ゲームのことだそうだ。


  


  


 中でも、目を引いたのは、開催を目前に控えている
 北京オリンピックをデザインモチーフにしたノート。
 五輪にちなんで、5冊セットになっていた。
 この表紙もやはり「PU」製だった。


    


 この他、本革を使ったものなど
 どれもデザインがとてもシンプルで日本でも十分売れそうなものばかりだった。


    

    


 価格は、ものにもよるが、
 大体8ユーロ〜10ユーロ(約1,280円〜1,600円)と、決して安いとは言えない。
 そのため、
 中国市場ではほとんど販売されておらず、
 彼らは欧米市場をメインと捉え、
 デザイン・クオリティにもこだわって商品づくりを行っているだそうだ。

 洗練された印象を受けたのは、当然と言えば当然。

 日本にはまだ進出していないという。


■ 本格万年筆

 今回の展示会で、個人的に楽しみにしていたのが、万年筆。
 きっと中国ならではの面白いものがみられるのだろうと期待に胸をふくらませていた。

 しかし、いくら会場を探しても万年筆はほとんど見あたらなかった。
 あるのは、ボールペンばかり。

 気になって、今回通訳をお願いした上海在住の大学院生に
 そのことを尋ねてみた。

 彼女は、私をまるで不思議な生き物でも見るように、
 こう話してくれた。
 「万年筆はインクをいれなくてはいけませんし、不便じゃないですか。
 中国では万年筆はほとんど使われていませんよ。」

 これが中国の人全ての意見ではないと思うが、
 すくなくとも若い世代はそうなのだろう。

 中国の人の間では、もっぱらボールペン、
 とりわけゲルインクボールペンが好まれているとのことだった。

 これはきっと、漢字という細かな文字を書くのに、
 油性よりもゲルの方が都合がよいからなのだろう。
 特に中国は日本のようにひらがながなく、
 一文字一文字が漢字なので、細く書けることが重要なのだろう。
 実際、ゲルペンの中でも細字が人気だという。

 中国らしい万年筆を取材するという当初の私の目論見はもろくも
 崩れ去りそうに見えた。

 そんな、ほぼあきらめかけたところで、
 不意に「GOLD PEN 」という看板が目に飛び込んできた。
 GOLD PENと言えば、金ペンのことではないか。
 もしやと思って駆けつけてみると、
 そこには万年筆が展示されていた。


  

 HAOLILAI GOLD PEN という会社で、
 8年前から万年筆を作っている上海のメーカー。

 中国では、英雄(HERO)という老舗万年筆ブランドが70年もの歴史があるので、
 このHAOLILAIはかなり後発ということになる。
 しかし、万年筆の輸出高という面では、中国の万年筆メーカーの中でトップなのだそうだ。

 「 HAOLILAI 」というオリジナルブランドの万年筆は、
 どことなくヨーロッパを思わせるデザインの中にも、
 金や銀をふんだんに使っていて中国らしい絢爛豪華さも併せ持っている。

 GOLD PENという社名に相応しく、ペン先は14金製。


  


 ペン先も含めて全て自社の工場で作られている。

 ものにもよるが、 価格は、大体1,000元(16,000円くらい)だと言う。
 現地中国の人たちからすると、かなり高額なペンということになる。

 何百社も出展している展示会で万年筆にほとんど出会えなかったということが、
 先ほど通訳の人も言っていた中国の万年筆事情を如実に物語っているようだ。


      >> 次ページに続く


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