文具で楽しいひととき

■ 「ペーパーワールド チャイナ2007 レポート」  (1/4ページ)


□11月20日〜23日の3日間、上海新国際エキスポセンターで
 ペーパーワールド チャイナ(国際文具・オフィス機器展)が開催された。


  


 ペーパーワールドと言えば、ドイツ フランクフルトが有名だが、
 実は、アメリカをはじめ各国でも開催されている。
 その中のひとつ、成長著しい中国でも3年前から開催されはじめ、
 中国経済同様、展示会も年々成長をみせている。

 今回のペーパーワールドチャイナでは、
 世界23カ国から総勢600社もの出展社が参加し、
 過去最大の規模だった。


  


 23カ国とは言え、その大半は中国、台湾、香港などが中心。

 聞くところによれば、
 中国の文具マーケットは、例えば低価格の筆記具の中で
 国内シェアが最も多い大手メーカーでも、
 そのシェア、わずか10%にも満たないと言う。
 これは何を意味するかというと、
 それだけ中国にはたくさんのメーカーが存在するということだ。

 この展示会には、まさにそのことを証明するかように
 たくさんの中国メーカーが、それこそひしめくように出展していた。

 出展社の数こそ中国が多いが、
 ヨーロッパのメーカーや日本のOA機器メーカーなど
 ひときわ大きなブースを構えているところも見られた。

 たくさんの中国メーカーの中に、いくつかの海外メーカーがあるという、
 まさに今の中国の文具マーケットの縮図のような展示模様だった。

 そんな中、キラリと光る個性を持った中国ステーショナリーを
 いくつか見つけることができた。

 今回のレポートでは、個人的に注目したそうした中国ステーショナリー、
 そして欧米や日本のメーカーが中国市場に向けて
 どんな商品を展示していたかについてもあわせてお届けしていきたい。


■ 注目した中国ステーショナリー

■ 環境に配慮したステーショナリー

□中国というと、急発展の影で、
 環境破壊が大きな問題になっているという報道を
 日本でもよく耳にする。

 そういうイメージあったので、
 中国出展社の間から「環境」という言葉が聞こえてきたのには
 ちょっと意外だった。

 例えば、
 この上海利明工芸品有限公司という出展社がそうだった。

 ここは再生紙を使ったファイルを作っている。


  


 中国では、生産コストという面で言うと
 木材を原料にしたバージンパルプで紙をつくる方が、
 再生紙を使うよりも安く作れるという。

 なのに、なぜ、わざわざ余計なコストをかけてまで
 こうした再生紙を使った商品を作っているのか、
 社長とおぼしき人に聞いてみた。

 昨年、中国政府は、
 政府機関では、環境に配慮した備品を使うようにという
 決議がされたのだと言う。

 それを受けて、この会社ではいち早く取り組んだのだそうだ。

 再生紙というと、紙質やデザインなどで制約が多いと思っていたが、
 ここに並んでいたものは、再生紙と説明されなければ
 そうとはわからないような見映えだった。


    

    


 表面にはまるで革のような凹凸感のあるエンボス加工が施されていた。

 単に再生紙を使っているということだけにとどまらず、
 付加価値があったのには、感心してしまった。

 これなら、進んで再生紙を使いたいという気持ちも起こってくるというものだ。

 こうした環境配慮の波は、紙だけでなく合成皮革の分野にも及んでいた。

 手帳やノートなど合成皮革を使った商品を出展していたブースで
 「この製品には『PU』という素材を使っています。」という声がたびたび聞かれた。

 「PU」とは、樹脂の一種で合成皮革の材料としても使われている。
 以前よく使われていた「PCV」という素材よりも
 環境に優しい素材として、近年注目を集めているそうだ。

 その「PU」の素材メーカー「GIANT GOAL」がオリジナルのステーショナリーを
 展示していた。


  


 「PU」と一口に言っても、
 色の数、表面にエンボスの入ったものまで、その品揃えは目を見張るものがあった。


  


 その「PU」を使ったステーショナリーの中に、クリップボードがあった。
 面白いのは、クリップは見あたらず、折り返しの部分に仕込まれたマグネットで
 パッドを固定できるようになっていた。
 カラーバリエーションもブラウン、ホワイトなどがあり、
 思わず欲しくなってしまういいデザインをしていた。


  

   


 また、ドキュメントケースや壁などに掛けられるようフックのついたタイプなど、
 デザイン・アイデアともにオリジナリティにあふれていた。


   

  


 聞けば、日本の文具メーカーともすでに取引をしているという。

 先ほどの再生紙を使ったステーショナリーでもそうだったが、
 環境への配慮ということだけでは差別化が難しいからなのだろう
 デザイン面で、各社しのぎを削っているようだった。


        >> 次ページに続く

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