文具で楽しいひととき
プラチナ万年筆
#3776センチュリー 富士雲景シリーズ 雲海

富士山の標高3776mをシリーズ名に冠する#3776センチュリー万年筆。その限定版として数々の富士シリーズ万年筆がこれまで登場してきた。富士山の美しさを富士五湖をはじめ、四季折々の景色をモチーフにしたシリーズがあり、人気を集めてきている。そして現在は富士山とその周りを漂う雲の景色を表現した「富士雲景シリーズ」が展開されている。その4作目が発表された。今モデルで「富士雲景シリーズ」は終了となる。
■ 明け方に広がる雲海と富士山
今回のモデル名は「雲海」。幾重にも重なり海のように広がる雲海、その上にそびえ立つ富士山。澄み切った明け方の幻想的な日に照らされた富士山の山肌がボディに表現されている。これは何色と言ったらいいのだろう。キャップと首軸は薄いブラウン系をしている。落ち着いた色の中にも黄金のような明るみも感じられ、光を受けた富士山を表現している。振り返ってみると、一連の「富士シリーズ」でこうしたブラウン系ははじめてではないだろうか。
うっすらとスケルトンになっており、ペン先も見える
そして胴軸には雲海が表現されている。クルクルと回してみるとカットされたくぼみ、そして細かなラインも見えてキラキラと複雑な輝きを放つ。目をグッと近づけて観察してみる。楕円状のカットが不規則に散りばめられている。このカットは以前の「鱗雲」に似ている。ただ「鱗雲」はカットした部分が少し曇っていた。今回のものはくもりはなく、艶やかさがある。それに加え一つ一つのカットの内側には細かな溝まである。これも加わり様々な表情のきらめきを楽しませてくれる。日の光を受けた雲海がここに表現されている。ちなみにこの楕円と溝加工は一度の切削工程で作り出されているという。特殊な刃先を使い切削している。
細かなライン(溝)は光加減により少し黒く写りシャープな印象も与える
ペンを少し離して全体を眺めると、この雲海の上に日の光を受けた富士山の山肌という景色が見えてくる。
■ 握り心地&握り風景
いつものようにスリップシール機構のわずかな重みを感じつつキャップを静かに回す。まずキャップをささずにボディ単体で握ってみる。ボディに広がる雲海と首軸にある富士山の山肌という景色が目に入る。いい眺めだ。個人的には#3776センチュリーはキャップをささないで書く方が軽快にペン先を走らせて好きではある。
ただせっかくのこの美しいボディなので、次にキャップを後ろにさしてみる。こうすると雲海を指先でも感じられて楽しい。一つ一つのくぼみが指先にあたり、そして指紋で感じるほどの溝のタッチもそれに加わる。ガッチリと握れるというよりも程よく指先をホールドしてくれ、あくまでも優しく握れるという印象だ。
キャップをさすと、富士山の山肌のブラウン系をタップリ視界に入れながらの筆記が楽しめる
■ オリジナルインクも付属
今回も万年筆ボディカラーに馴染むボトルインクが付属されている。ボトル越しに見ると、紫色を感じるが、書いてみると赤色が強い。これは夕暮れ時の富士山をイメージしたという。インクの名前は「富士の葡萄染」という。「葡萄染」と書いて「えびぞめ」と読む。平安時代の昔から高貴な色として主に染めものなどに使われていた色だという。
書いてしばらくすると黄色も表れ出してくる。光の加減でフラッシュ効果も生まれキラッと黄金のような色を見せる。この変化したところが「雲海」のカラーに似ている。一緒に使うとより世界観に浸れそうだ。
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今回の「雲海」はこれまでの明るいカラーというよりも渋いブラウン系ということもあり全体的に静けさがある。そんな中でも雲海を表現した複雑なカットが生み出すきらめきがあり、大人しい主張も併せ持つ。富士山と雲海の風景を楽しみながら落ち着きのある筆記ができそうだ。
プラチナ万年筆 #3776センチュリー 富士雲景シリーズ「雲海」 71,500円(税込) 限定1,500本
字幅はEF・F・Mの3種類。2026年7月1日発売
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