文具で楽しいひととき
プラチナ万年筆
#3776 センチュリー
最近私の手の中で存在感が大きくなっている#3776 センチュリー。#3776で瞬記を一年間ほど書いてみて、この万年筆の静かな良さにいつの間にか引きこまれた。そして、F細字もいいものだと教えてくれた万年筆でもある。
■ 太軸を軽快に
キャップを数ミリ緩めたときに重みを感じる。そしてすぐに軽くなる。スリップシール機構がしっかりと効いてくれているのを手で確かめる。私はキャップをささずに単体で書いている。カスタム74あたりと比べると、ボディの長さはやや短めではある。でも私の少し大きめな手にも十分収まる。そして、キャップのネジ山のところに指先を添えて握る。#3776センチュリーは他の万年筆に比べて、このネジ山が少しだけ長い。スリップシール機構の最後のギュッと締め上げる分だろか。
左が#3776センチュリー、右がパイロット カスタム74
太軸のためか、この短めのボディのわりにバランスが良い。このキャップをささない状態だととても軽快さがある。太軸なのに軽いというのにはじめの頃、頭と手が戸惑っていた。
そのネジ山のすぐ後ろには指先でしっかりと感じられる段差がある。長めのネジ山と段差という少々賑やかなグリップだ。それがかえってしっかり握らせてくれる。
■ 力を抜いて書いていく
大きなペン先に目を落とし書いていく。私のおよそ30gほどの筆圧で優しく書いていく。筆圧という自分の力というよりも、むしろ万年筆が持つ毛細管現象の力を最大限生かしていく。私の#3776センチュリーFはインクフローがとてもよく、気持ちよくインクを紙の上に出し続けてくれる。インクフローの良さ、軽い筆圧とが合わさって太字のなめらかさとはまた違うサラサラとした筆記感がある。
軽く書いているので、せっかくの大きなペン先のしなりは私の手にはほとんど感じられない。それでいいと思っている。あえてしなりを封印して書いていくという贅沢な感覚を私は味わっている。ひょっとすると私が感じていないだけで、ミクロの世界ではペン先ではわずかにしなっているのかもしれない。
それをひっくるめた#3776センチュリーの書き味を私は楽しんでいる。
*
ルーペでペン先を覗き込むとFの小さめのペンポイントの一ヶ所だけに確かな面が生まれている。あの書きやすさはこれが作り出しているのだ。一年使い込んでいって作り出したペン先の馴染みである。太軸の軽いボディを優しく包み込み羽根のように軽く書いていく。EFとFの間くらいの繊細な線が作られていく。
あー気持ちいい。
#3776センチュリーは専門店で試し書きをして買うのがいいと思います。
インクはもちろんプラチナ純正のブルーブラックだけを入れている。
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