2021.12.14(496)

「伝わりやすい文字を書く」

ゼブラ

フィラーレ ディレクション

ゼブラ フィラーレ ディレクション

文字の太さや細さにはシーンごとに適切さというものがある、私はそう思う。それは伝わりやすさによって決まってくる。たとえば、会議でホワイトボードに書く時は後ろの席の人からもしっかり見えるようにある程度太い文字で書いた方がいい。一方でデスクでノートに書く時は、伝える相手は自分一人。紙から30〜40cmくらい離れた自分の目であるから、それほど太くなくてもいい。私はこのシーンでは0.7mmのシャープペンや鉛筆をよく使っている。つまり伝えたい対象との距離が大きく関係している。

そして、最近ではzoomで会議という新たなシーンも出てきた。距離というか、モニター越しという新しい環境である。この場合はそこそこ主張のある文字の太さの方がいい。このゼブラの「フィラーレ ディレクション」は、そんなシーンで役立つ。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

■ サインペンの新しい形

ペンのジャンルとしては、これはサインペン、マーカーである。第一印象としてはかなり太い。特にボディがショートサイズのため、その太さがより一層強調されている。

ゼブラ フィラーレ ディレクション全4色のラインナップ。シルバー以外はマットな質感。

私は艶やかなシルバーにグッときた。艶やかなメタルボディは指先にピタリと吸い付くようにフィットする。手にして気づくのは、見た目の印象ほど重くないということだ。ボディをツイストすると、無音でスルリとペン先が繰り出される。出てきたペン先が最後に少し戻り最終地点に落ち着く。まろやかな操作感がある。ただ、このツイスト具合が結構重め。片手ではちょっとやりづらい。これは両手でしっかり持ってツイストしてあげた方がいい。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

このペン先は、ドライアップしにくい「モイストキープインク」を採用している。メーカーによると、ペン先を収納した状態で52週経ってもみずみずしく書いていけるという。ペン先を収納しているとはいえ、ペン先は空気中に触れている状態である。この「モイストキープインク」は空気中の水分を吸収してペン先の渇きを防いでくれるという実に効率的な働きをしてくれる。52週は364日、つまりほぼ1年間も持つという。サインペンで書いていて、ふと手を休めた時についついキャップをしてしまうことがあったが、これははなからそうした心配から解放してくれる。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

ここまでお読みになって、おそらく読者の皆さんの頭にはあるペンが思い浮かんでいるのではないだろうか。それはゼブラの「クリッカート」である。このペンもキャップのないペンで、ペン先が渇きにくい仕様。同じ「モイストキープインク」である。つまり「クリッカート」のメタルボディ版なのである。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

■ 心地よい書き味

同じインクということなら「クリッカート」と同じ書き味だろう。当初、私はそう思っていた。しかし結構違うものがあった。私が一番違いを感じたのは音だった。「ディレクション」の方が筆記音があまりしない印象がある。全くしないわけではないが、「クリッカート」に比べると静かめだった。これはボディ構造によるものかもしれない。わずかにサラサラと聞こえる程度。この音があまりしないことで、私はなめらかな書き味を感じた。ちなみにリフィルのペン先の太さは2つとも同じである。同じなのに「ディレクション」の方が感覚的になめらかに感じるのは、やっぱりこの音によるものが大きいと思う。万年筆の太字系を書くとき、紙を擦る音がほとんどせず、それによりなめらかさをより一層感じることがある。それに似ているのかもしれない。実際に書いた時のタッチも微妙に違っていた。太いメタルボディから伝わっていくる振動が和らぐせいだろうか。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

ゼブラ フィラーレ ディレクションレッドボディだけは赤インク。それ以外は黒インク。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

書いていて、なんかいいぞと思った。フト気づいたのだが、私はいつも原稿を書く時に使っている万年筆(パイロット823 B)の握り心地に近いものがあった。私は最近キャップをささずにボディ単体で書いている。その長さ、太さ具合にとても似ているのだ。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

ゼブラ フィラーレ ディレクション

その一方で書いていてちょっと気になったこともあった。それはペン先の出具合である。太いボディがだんだん細くなってペン先につながっていくのだが、最後のところが結構ガクンと急に細くなる。ちょっと急な感じである。この流れがもっと自然なラインだったらいいのにと思った。書いている時に常に見つめる所であるので。

ゼブラ フィラーレ ディレクション

ゼブラ フィラーレ ディレクション



冒頭でzoomのMTGの時、モニター越しの相手に伝わりやすいと触れた。確かにその用途は大いにある。それに加え、デスクで一人ノートに向かい、自分に伝えるシーンでも活躍させることができる。少々太いので、あまり細かく書き込むのには向かない。私の場合で言えば、商品のタイトルを考えたり、コンセプトを考えるといった時に向いている。太い筆跡がビシビシと自分の脳へ訴えかけてくる。伝えるシーンを選びつつ使っていきたいと思う。

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ゼブラ フィラーレ ディレクション A3のパッドにアイデアを書き広げる時にもいい

ゼブラ フィラーレ ディレクション箱から出すと見慣れない小さなキャップが付いている。これは抜き去って使う。

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