2021.01.19(473)

「ブルーグリーンを調合してみた」

プラチナ万年筆

ミクサブル インク

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

私は万年筆のインクは、その万年筆ブランドの純正ブルーインクを入れるというのを自分なりのルールにして、日々の万年筆ライフを送っている。ここ最近の「趣味の文具箱」を見ると、毎回様々なインクが紹介されていて、どうだ!とばかりにインク見本帳なんかもとじ込まれている。楽しそうだなと思いつつ、私はそうした世界を指をくわえて見ているしかなかった。55号の特集「万年筆インクLOVE」の巻頭には「自分はこのインクだからと決めつけることなかれ」という言葉があった。これは純正ブルーインクと決めつけている、まさに私に向けられた言葉だと胸に鋭く突き刺さってきた。

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

私もいっちょ色々なインクを楽しんでみようかと心が動かされた。「インク沼」とまでは、はまり込まなくても、それこそ「足湯」程度にほんの少しだけ浸かってみるのもいいかもしれない。一旦「純正ブルーインク」というルールは棚上げにしてみることした。

■ 意外と手軽にできるインク調合

私が今回トライしてみたのは、プラチナ万年筆のミクサブル インクを使ってオリジナルカラーのインクを作ってみる方法だ。このミクサブル インクは全9色あり、それぞれ自由に混ぜ合わせてインクの調合ができるようになっている。インクの調合というと、敷居の高さを感じるかもしれない。しかし、このインクとこのインクを混ぜ合わせると、こんな色になるという表が付いているので、それを頼りにしていけば簡単にできるようになっている。

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

実は私自身、以前にシステム手帳の「ダ・ヴィンチ」キャンペーンでダ・ヴィンチグリーンをミクサブル インクで作るお手伝いをした。これがやってみると意外と簡単にできるものだった。

先ほどのインクの調合表を見て、私の目に止まったのがブルーグリーンだった。つまり青緑色。基本は私の好きなブルーでありながら少しグリーンがかっている。その調合表によると、「オーロラブルー」と「リーフグリーン」を1:1の比率で混ぜていけばいいとある。スポイトを使って空の瓶にそれぞれのインクを注意深く入れてみた。混ぜ合わせて、つけペンを使って書いてみると、確かにブルーグリーンなのだが少しグリーンの方が強すぎるように思えた。そこで「オーロラブルー」をさらに少し加えてみた。だんだん自分の求める色に近づいてきた気もする。ただまだ何か足りない。料理の隠し味ではないが、少し深みを出したかったので「スモークブラック」をお塩少々的感覚で加えてみた。

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

こうして出来上がったブルーグリーンは深みのある私の求める青緑色になった。どことなくウォーターマンのブルーブラックっぽさがあるように思われた。この色は少し太めの万年筆で書くと、インクが乾いた時にわずかにグリーンっぽさが出るのだ。実施に比べてみるとブルーグリーンの方がグリーンがずっと強かった。頭の中で記憶している色のイメージというものはあまり正確ではないようだ。そこで、自分の所有しているインクの色見本を作って、デスクの横に貼って確認できるようにした。いずれにせよ、個性的で実にいい色に仕上がった。

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

インク色見本



さて、こうしてオリジナルインクが完成したのだが、魚の骨が喉にひっかかったような釈然としないものが残っている。それは純正ブルーインクを使うという自分なりのルールとの整合性である。このブルーグリーンは言ってみれば、非純正である。このインクと私はどう付き合っていけばいいだろうか。

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

色々と考えていいことを思いついた。このブルーグリーンがあまりにもいい色合いに出来上がったので、是が非でも使いたいという気持ちがこの考えを思いつかせた。言わば、インクの力である。どうしていくかと言うと、スピードライティングとスローライティングに分けていくのだ。つまり、純正ブルーインクはスピードライティング用に使い、今回作ったブルーグリーンはスローライティングに使うというものだ。そもそも純正ブルーインクを使おうと思ったきっかけは、その万年筆の最大のパフォーマンスを引き出して書きたいと思ったからだ。パイロットの万年筆なら純正のパイロットのブルーインクを入れた方がインクフロー的にも断然いいに決まっている。ペン先やペン芯のそれぞれにおいて、その性能を一番引き出してくれる組み合わせである。そのスピードライティングで私は主に原稿を書いてきた。この使い方はそのまま維持していく。

それとは別にゆったりと急がず書くというシーンもある。私の場合で言えば、手紙を書いたりするときだ。それがスローライティング。この用途に今回のブルーグリーンを使っていけばいいのだ。大義名分が自分の中で整った。晴れてブルーグリーンを堂々と使っていくことができる。そうは言っても「インク沼」には近づきすぎないようにくれぐれも注意しようと思っている。

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク ブルーグリーン

プラチナ万年筆 ミクサブル インク「オーロラブルー」「リーフグリーン」「スモークブラック」各1,000円+Tax

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