2015.09.22(339)

「ヴィンテージを感じさせるペン」

A.G. SPALDING

シャープペン

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

■ 実は、野球用品メーカー

「SPALDING」というと、私は小学生時代を思い出す。ロゴが印刷されていた文具がいくつもあった。私も当時、たしか筆箱かなにかを持っていたように思う。そのせいか、私の中ではどちらかと言うと子供向けのブランドというイメージがある。先日、レイメイ藤井のフェアで「A.G SPALDING & BROS」というステーショナリー シリーズを見てそのイメージがガラリと変わった。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

ロゴのデザインも違うし、子供の頃に抱いていたイメージとは全く違う大人の空気がそこには漂っていた。今回、はじめて知ったが「A.G. SPALDING & BROS」とは創業者 ALBERT GOODWILL SPALDINGの名前。

A.G SPALDING & BROS

彼は19世紀にボストン レッドストッキングス、シカゴ ホワイトストッキングスで投手として活躍していた。後に野球殿堂入りも果たした人物だ。1876年に野球を引退してからはスポーツ用品ビジネスをシカゴとニューヨークではじめた。彼が開発した野球のボールはその後100年にわたりメジャー・リーグ・ベースボールの公式球として使用されていたという。

その当時のクラシカルなロゴを使ったのが、今回のステーショナリー シリーズだ。今回新たにレザープロダクトも加わっている。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

そのシリーズの中で私が注目したのがペンシル、つまりシャープペンだ。いくら歴史あるブランドだからと言って名前を付けただけなら私の文具アンテナは反応しない。しかし、このシャープペンに私のアンテナは激しく反応した。

聞けば、このシャープペンは、すでに30年も前から販売されているものだという。レイメイ藤井がラインセンスを受け企画・製造し日本では、ごく一部のショップで販売していた程度で主には、海外に輸出していたそうだ。どうりで私は今回はじめての出会いだった。当時のデザインのまま今も販売され続けている。流行というものは大きなうねりの中で繰り返されていく。

30年前のものがグルリとひとまわりして今また魅力的に見えるようになってきたのかもしれない。

■ 素材感のあるアルミボディ

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

少々太めのボディは、アルミ製。よくあるアルミは表面がザラザラしているが、これには、それがない。ツルツルとしているが握った時に指先が滑る感触はなく、少しばかりしっとりしていて指先の指紋をしっかり捉える。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

何か独特な表面処理をしているようだ。ただ、それだけではないただものならぬものがこのアルミボディからは感じられる。なぜそう思ったかと聞かれてもうまく答えられないのだが、とにかくそう感じたとしか、言いようがない。

人は、素材を見て手にするとそれがうすっぺらな素材で作られたものか分厚いものかが何となくわかるものだ。このアルミボディからは厚みをとても感じた。ノックボタンの方から見るとなるほどとても肉厚なアルミが使われている。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

■ 見た目だけでなく書き心地も◎

このアルミボディの中でペン先だけが色味が違っている。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

少し青みがかっている。分解してみるとわかるがこのパーツ、そして内部に真鍮が使われている。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

真鍮はアルミに比べ重く、これにより低重心になっているのだ。「やじろべい」のようにバランスをとってみるとたしかに少しだけペン先側に中心があった。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

丸みを帯びたアルミ製のノックボタンを一回押し込むと0.5mm芯とともにペン先からガイドパイプがニョキッと出てくる。そのガイドパイプのフォルムが少し変わっている。先端の角がなだらかになっているのだ。もう一回ノックして芯をちょうどいいくらいに出してみる。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

なだらかなガイドパイプということで言えば、カランダッシュ エクリドールなどヨーロッパ系のペンシルでよく見かける。一方まっすぐなガイドパイプはグラフ1000などの製図用シャープペンによくある。

このスポルディングのものは根もとはストレートだが、先端だけなだらかになっている。ちょうど2者の中間的存在で面白い。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

私はこの芯先まわりの眺めにうるさい。なぜなら、文字を書くときに凝視するからだ。さぁ書こうとする時にその眺めが美しくないと落ち着かない。このペンは、なだらかなガイドパイプのせいもあって芯先まわりのラインが美しく決まっている。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

アルミボディの軽さの中にも低重心があり、書き心地がよい。ペンの走りだけでなく脳の動きまでもをスムーズにしてくれそうだ。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

今は、まだ新しいが理想とするのは、使い込まれたゼロハリバートンのスーツケース。所々にキズが付いたり凹んだりしていくときっとアメリカン ヴィンテージらしさがより色濃く出てくることだろう。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

それにしても、これで900円というのはリーズナブルだ。

*記事作成後記

ノックボタンのアルミは、ボディよりもさらに肉厚でした。

レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

これで0.7mm芯タイプがあるとうれしいですね。

* レイメイ藤井 A.G SPALDING & BROS シャープペン

 A.G. SPALDING シャープペンは、こちらで販売されています。
 ミニサイズもあります。
□ レイメイ藤井 A.G. SPALDING

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