2006.09.26(115)

「いつもと違う握り心地」

ワルサー

スパイラル ボールペン

ワルサー スパイラル ボールペン

はじめてこのペンを見かけた時、ワルサーという名前、そしてドイツ製ということもあって私は、てっきりあのピストルのワルサーかと思ってしまった。しかし、よくよくロゴを見てみると、同じワルサーでもそのスペルは違っており、まったく別ブランドであることがわかって、少々がっかりした。

ワルサー スパイラル ボールペン

ワルサー スパイラル ボールペン

ワルサー スパイラル ボールペン

でも、この斬新なスタイル、そしてやはり「ワルサー」という男心をくすぐる語幹に誘われて、ついつい一本買ってしまった。スパイラルペンという商品名にあるように、六角軸のボディが見事にねじられている。

ワルサー スパイラル ボールペン

しかも驚くべきことに、クリップまでもが、ボディのねじれにぴったりと息を合わせるようにねじられているのだ。

■ まるで手でねじったかのようなフォルム

堅いメタル製ボディでありながら、そのあまりに見事なねじり具合を見ていると、ふいにこんなことを想像してしまう。。。

ワルサー スパイラル ボールペン

このボールペンを作っている工場の最終仕上げラインでは、いかにも力持ちそうな巨漢の男が待ち構えていてベルトコンベヤで送られてくる、まっすぐのペンを一本一本「エイヤ!」とばかりに力まかせにグニュッとねじっているのでは。。。と思えるほどの自然なねじりになっているのだ。ちなみに、ワルサー社ではシャープペンタイプだが、ねじられていないペンもちゃんと販売されているということもあり、このことが私の妄想をよりリアルにさせている。

ワルサー スパイラル ボールペン

さて、このユニークなフォルムを手の中に収めて恐る恐る握りしめてみると、見た目ほどの違和感はなく意外とすんなりとくる。ねじれているとは言え、いつも握りなれている六角軸のせいだろう。

ワルサー スパイラル ボールペン

しかしながら、私の握り方のせいかもしれないが、長く書いていると、3本の指のうち、中指だけに少しばかりアタリを感じる。そのクネクネとしたボディを眺めながら書いているとなんだが、書いているこちらの方まで体がクネクネとねじれていくようなちょっと不思議な感じに包まれる。

ワルサー スパイラル ボールペン

次に気になるのは、そのねじれたクリップは果たして、ちゃんと機能してくれるのかということだ。

ねじれたクリップというのは、これまで私も見たことも聞いたこともなかった。そこで、早速シャツのポケットにいつもの様にさしてみた。すると、どうだろう。

ワルサー スパイラル ボールペン

一般のまっすぐのクリップよりもしっかりと固定できるではないか。これは、きっと挟みこむということだけでなく、そこにねじりも加わっていることで、固定力が増しているのだろう。また、ボディとクリップの隙間がほとんどないというのもこの固定力アップに関係しているようだ。

ねじれたクリップがこれほどまでに機能的だったとは、ちょっと意外だった。ポケットからちょこっと顔を出したクリップはボディが隠れているせいで、そのねじれがより強調されていつものペンとは違う胸元の演出が楽しめる。

ワルサー スパイラル ボールペン

らせん状の斬新なペン、その斬新さについつい目が行きがちだが握り心地やクリップの機能性など、実用面もしっかりと考えて作られている。ユニークな中にも、ドイツらしい真面目さも見え隠れするペンだ。

ワルサー スパイラル ボールペン

□追記 (2006年9月27日)
お読みいただいている山口県にお住まいのM様より、「WOERTHER」は、「ワルサー」ではなく、「ヴェルター」と発音するのではないかと。。。ご指摘をいただきましたので、ここに追記と言う形でご紹介させていただきます。英語もそうですが、海外の言葉を日本語に直すのは、難しいですね。

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