2005.08.16(87)

「由緒正しき製図ペン」

ステッドラー

マルス プロフェッショナル712

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

ちょっと大きめのステーショナリーショップに行くと、筆記具売り場やノート売り場の他に、必ず覗くところがある。それは、製図用品売り場。私は、製図を専門とする仕事は全然していないのだけれども、プロの道具を彷彿とさせる品々は眺めているだけでとても楽しい気分にさせてくれる。そんな中で、ずっと気になっているペンがあった。ステッドラー マルス プロフェッショナル712だ。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

製図のペンによくある専用ケースの中に収まっていて、店頭では、おいそれと触ることが出来ない。ケース越しに見える銀色のペンはこうごうしい程の輝きを放っていた。先日、このマルスプロを手に入れることができた。

■ とっても軽量

ケースをぱかっと開き、厳かな気持ちでそのペンを持ってみると、拍子抜けするほどのあまりの軽さに驚かされる。重量にして、11.5g。ちょうど新品の鉛筆2本分くらいの軽さだ。ケース越しに見えていた時は、てっきりメタル製かと思い込んでいたのだが、実際のところは、ABS樹脂製だった。ボディには、本物のアルミと見間違えてしまうほどの仕上がりになっていて、造りの良さに、ただただ感心するばかり。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

このデザインは、ドイツのデザイン賞「デザインプラス」を受賞しているそうだ。もし、私が審査員でも、きっと賞を贈ったことだろう。ネジ式キャップをふつうのペンよりも多めの2周り回転させると、キャップがはずれて、ようやくペン先が現われる。ちょっとまどろっこしい感じもするが、これはペンの命であるペン先をしっかりと守るためなのだろう。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

ペン先は、さすが製図のペンだけあって、金属製のスリーブでしっかりと覆われている。ペンの先端に行くに従い、2段階に細くなっているスリーブは定規をあてて細い線を正確に書くこともできるし、もちろん通常の筆記にだって快適に使える。ペンを握ってみるとゴム製のグリップに突起物が1つあることに気づく。これは、ペンの転がり防止のためのストッパーの役割になっているようだ。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

製図をしている人の机は、斜めになっていることが多いので、プロの人たちにはきっと、こうした配慮は助かるに違いない。プロでない私は、この出っ張りを違うふうに使っている。それは、握った時に、親指を添えるというもの。こういうちょっとした手がかりがあるほうが、とても安定したグリップが得られように私には感じる。

■ リフィル交換は後から押し出す

このペンのリフィルの交換方式がとってもいかす。ついつい、ボディをひねって分解したくなるところだが、これはちょっと違う。ペン先の反対側を見てみると、両端が半円状にくぼんでいる。そこに指をかけて、中に収まっている軸を押し出すとペン先側からリフィルが少しばかり顔を出す。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

それを引っ張りだすと、ボディと同じくらいの長さのリフィルがみるみると出てくる。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

リフィルを装着するには、ペン先側からリフィルを差し込んでいくだけ。リフィルのボディに付いているレール状の溝が、本体ボディとしっかりかみ合う仕組みになっているので、少しのがたつきもなく、しっかりと固定される。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

差し込むだけという簡単さと、プロのミリ単位での使用に耐えられるペン先の安定性を両立した誠にいかした方式だ。リフィルはなんと11種類も用意されている。細いものは0.1mmから最大で0.8mmまで。気分でお好みの太さのペンを入れてみるものいいと思う。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

私は11種類の中のちょうど真ん中くらいのサイズである0.35mmリフィルを使っている。ノートへ筆記にもちょうどいいし、いざとなればロディアの5mm方眼のひとマスの中にも一文字を書き込むこともできる。

ステッドラー マルス プロフェッショナル712

製図用のペンというものは、結構値がはるものが多い。そんな中、このマルス プロフェッショナルはとってもお手頃価格。プロの道具が気軽に楽しめる素敵なペンだと思う。

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