2014.03.18(301)

「ひとつの文具に向き合う」

私の文具選びの基準は、5つある。

・デザインが優れている。
・機能的である。
・長く使える。
・価格が適正である。
・使っていて幸せな気分が味わえる。

これらに照らし合わせて自分では結構厳選しているつもりでもいつの間にやら、たくさんの文具が私の周りにはある。いずれも気に入ったものばかりなので、以前は、そうした一つ一つの文具をしっかりと受けとめ、日々の生活でできるだけ使っていた。

しかしながら、一度にひとつの文具しか使えない。使おうと思いつつ使えていない文具が生まれる。
すると、私の心の中はザワザワとしてくる。次はこのペンを使おう、それからその後には久しぶりにあのペンを使おうなんていうことが頭をかすめる。

はじめのうちは、色々な文具をとっかえひっかえ使うのが、それはそれで楽しかった。しかし、あるときなんだか自分が文具に操られているような気がしてきた。次はこれを使って、その次はこれ、というのでは忙しすぎる。あるきっかけがあり、それぞれのカテゴリーごとに1つずつに絞りこんでみた。

たとえば、今は鉛筆であれば、今は伊東屋のイートンペンシル、グレーの色鉛筆は三菱鉛筆、消しゴムはプラスのWエアイン、せんは小さな見出し用などなど。

ひとつの文具に向き合う

ひとつの文具に向き合う

それ以外の文具は、ひとまず机の上から全部片づけてみた。しだいに心の中のザワザワ感が潮を引くようになくなっていった。自分で判断して選び抜いた文具だけを身の回りに置き、それらととことんつきあってみる。心の中のバランスが整えられたような
心持ちになった。

■ ひとつの文具と向き合うと心穏やかになれる

このひとつの文具ととことん付き合うというのは、心のザワザワがなくなること以外にも色々な心地よさがあった。たとえば、使っている文具がどんどん小さくなっていく様を目の当たりにできる。

つまり、文具の「減り」が実感できる。ひとつのものを使い続ければ、減るスピードも速くなるのだから、当たり前の話だ。この「減る」という感覚がなんとも心地よかった。なんだか、久しぶりに味わえた気がした。

ふつうなら「減る」というのは、あまり好ましいものではない。食べ物や貯金通帳の残高が減っていくのを見るのは悲しい。しかし、文具に限って言えばそれがうれしいのだ。それは何故なのか?

たぶん、単に減っているだけではないからだと思う。つまり、減った分だけ「何かを生み出している」ということなのだ。鉛筆が減って短くなった分だけ、何かを書き残している訳だし、消しゴムにしたって書いたものを消し、そこにまた新しいものを書いている。

ひとつの文具に向き合う

ひとつの文具に向き合う

ひとつの文具に向き合う

ノートのページが減った分だけ、仕事のプロジェクトが着実に前に進んでいる証となる。このなにかを生み出しているという感覚が減ることを通じて感じられるのだ。

ひとつの文具に向き合う

ひとつの文具に向き合う

特に今の時代は、デジタル中心なので、減る実感が味わいにくい。パソコンの100GBのハードディスクを1GB使ったところで表示される数字が変わるだけ。これは果たして自分が減らしたのか、自然に減ったのかいまいち実感がわかない。

■ 1つずつ使う良さは他にもある

1カテゴリー1つと決めているので、以前のようにどれを使おうかと、もはや悩まなくても済む。思いたったらすぐに手に取り、作業に取りかかれる。文具に操られていた感じが一転して、自分が操っている心持ちよさを手に入れた。

そうして、1つのものを使い切れば、ストックしておいた中からどれにしようかと選ぶ。この時ばかりは少々悩んだって構わない。あれがいいかな、それともこれかな、または今回のものが気に入ったのでもう一度同じものを使おうなどなど。そうして選び抜いたら、またとことん付き合う。以前は、買ってはみたものの使ってみたら自分に合わないというものもあった。

できるだけ、その文具のいい面を探そうと努力はするが、それでもどうしても相性が合わないということはある。そんな時は、我慢して使うのは自分にとっても、その文具にとってもよくない。だから、手元から放してしまう。

その文具とは、残念ながら自分との相性が合わなかったということが分かっただけでよしとする。次に同じカテゴリーのものを買う時のひとつの判断基準をひとつ手に入れた訳だから。

はじめのうちは、これは少し合わない、あれもちょっと違うかな、という時があった。でも、そうしたことを繰り返していくうちに弓矢の的の命中度がだんだんとあがっていくように、自分に合う文具像というものがおぼろげながら見えてくるようになっていった。

■ ひとつの文具を手にすると集中できる

私は仕事をする時、たとえば何かの企画を考える時は0.7mmのシャープペン1本とノートだけを机にポンと置く。その他のペンや文具類はペンケースにしまって視界からその存在を消してしまう。すると余計なノイズがなくなり、考えることだけに集中できる。

自分で選び抜いた文具と一体になっているような感覚に浸れる。

ひとつの文具に向き合う

*記事作成後記

机の上に厳選した文具を配置する時、私が意識しているのは、日々仕事で「活用」する文具は机に置き、今は使っていない文具を「保存」して、視界から見えなくするということです。つまり、「活用」と「保存」。そう仕分けすると、快適な心持ちになり仕事もはかどるようになった気がします。

選び抜いた文具で仕事をする快適さを本の中でも一部紹介しています。

□「モノが少ないと、快適に働ける」
書類の山から解放されるミニマリズム整理術

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