2013.03.19(276-4)

「ペーパーワールド2013 4」

展示会レポート

■ クリエイティブ系の画材を中心に展示していたぺんてる

ぺんてるは「クリエイティブ ワールド」の中にブースを構えていた。ブースを埋め尽くしていたのは、ぺんてるの各種描画材アイテム。カラーの筆ペン「アートブラッシュ」や「筆タッチサインペン」をはじめ、日本ではちょっと見かけないものまであった。

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これは「WET ERASE 」というペン。ガラスなどに描けて水で簡単に消すことができる。レストランの店頭にあるメニューボードなどによく使われるという。

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黒インクだけを集めた「 Inking Center 」。

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日本で未展開という「アウトラインマーカー」。

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これで描くと文字が縁取りされるというユニークなもの。日本でも展開して欲しい。ブースではこうした各種画材を使って無地のカレンダーにユーザーが思い思いの絵を描いてオリジナルのものを作るというデモが行われていた。

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日本でカレンダーと言うと、予め写真や絵などが描かれているが、ドイツでは絵の部分が無地になっていて、自ら写真を貼ったり絵を描くというスタイルが定着しているのだという。また、紙を折り紙のように折りたたんで作るブックマークのデモも行われていた。

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こうした画材の中で、少しだけだが一般筆記具も展示されていた。中でも注目したのが「エナージェル スターリング」というモデル。

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ゲルインキボールペン「エナージェル」のメタルボディタイプだ。メタルとはいえ、それほど重くなく軽快に使える。中でもゴールドタイプはとってもインパクトがあった。

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シャープペン芯の「アインシュタイン芯」は、芯を橋渡しした上に何枚ものユーロコインをのせて、芯の強さをアピールしていた。私がぺんてるブースを訪ねたのは、会期3日目。「アインシュタイン芯」は、すでに3日間もユーロコインを支えていた。

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ぺんてるは日本の文具メーカーの中でもいち早く海外進出をしている。ヨーロッパなど海外ではぺんてるは「ボールぺんてる」、「サインペン」、「エナージェル」に代表される一般筆記具ブランドというイメージがすっかりと定着している。

そんな中で今回ぺんてるのもう一つの柱である画材の出展は、多くの海外バイヤーに新鮮に受け入れられていたようだった。

■ 名刺交換を印象的にするアイテム

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ホール6.2には、これぞヨーロッパ デザインという手帳やノート、革製品が集まっていた。そのひとつ、フィンランドの「 PRIVATE CASE 」というブースにちょっと面白い名刺入れがあった。名刺入れの表にはベルトのようなものがある。

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パチンとボタンを外し、そのベルトをそのまま引き上げると中に入った名刺がスルスルとせり上がってくる。

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「Nice to meet you!」というのがこの商品名。これで名刺交換をすればスムーズに名刺が取り出せ、しかもちょっと印象的な感じになる。素材にはリサイクルレーザーが使われブラック、ホワイト、レッドの3色がある。

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名刺ホルダーは縦スタイルだが、この他に少し大きめで横長タイプもあった。こちらはクレジットカードホルダーとして使う。カードだけでなく二つ折りしたユーロ紙幣もおさまる。

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いずれも名刺、クレジットカードとほぼ同じという、極限までの小ささだ。小さいということは指をさし込む余地が少なくどうしても中身が取り出しづらくなりがち。その点これは、中のものがさっと取り出せる仕組みを持っているのでなかなか便利だと思う。

商品説明をしてくれたデザイナーの Ari Korolainenさん。

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■ 素材の暖かみを活かしたペン

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素朴なウッドを使い、ウッドならではの暖かみのあるペンを作り出してる「 e+m 」 。日本でも色々なショップでも見かけるようになってきている。今回の新作はウッドではなく、レザーを使ったものだった。

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素材は違うもののe+m ならではの素朴さ、そして使いやすいペンに仕上げられていた。レザーをボディにまとったペンは色々とあるが、多くはシート状の革をボディにクルリと巻き付けたものばかり。

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しかし、これは革をリング状にカットし、それらを軸にセットするというユニークなスタイル。他とは違うレザーのペンを作りたかったということと、そして何より握った時のグリップ性を考えて、このリングを積層させる構造を考えだしたのだという。実は、当初はグリップの部分だけにレザーリングをセットしてみたが、デザイン的にあまり美しくなかったので、軸全体にセットすることにしたのだという。

この一つひとつの革のリングは、ペンの軸にただただ通されているだけ。そこには接着剤などは一切使われていない。リングをビッチリとはめ込み、最後に圧力をかけて固定させているという。ボディの表面には裏革のようなちょっとフサフサとした感触があるが、これは裏革ではない。シート状の革から型抜きの要領でリングの形をこしらえている。

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フサフサとしていたのは、革の内側の部分が出ているためだ。しいて言えば、「横革」ということになる。。。ペンを握ってみると、所々わずかに凹凸があり、それがかえって程よいグリップを生み出している。

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これはボールペンタイプで、後軸をくルリと回転させるとペン先が出てくる。

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この他、今後2ミリ芯のペンシルタイプも作っていくそうだ。こちらも、後軸を回転させる方式。薄めのブラウンの他、ダークブラウンもラインナップされる。

■ ジーンズ、 Tシャツを使ったコットンペーパー

3日間の取材日程もいよいよ最終日となった。初日、二日目は筆記具や紙製品などが集中しているホールを見て回った。残すホールは、スクール用品、ギフトラッピング、画材、PCアクセサリー。それらをすべて見ていく時間はない。

その中で私が選んだのはPCアクセサリー。というのも「PCアクセサリー」と書いてあるそのすぐ後に「ノート」というカテゴリーも併記されていたからだ。

ホール3.1に足を踏み入れてみると、そこにはプリンターの用紙やパソコンのアクセサリーなどがあちこちに並んでいた。ところが私の目当てであるノートが全然見あたらない。そこで一本一本の通路をチェックしていくことにした。3本目の通路に差しかかったところで、PCアクセサリー カテゴリーとしてはちょっと場違いなものが目に入ってきた。

ブースの前で大きな樽を2つ並べていたのだ。

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一体なにやってるんだろうと、樽の中を覗きこんでみると、白い綿みたいなものが水の中に混ぜ込まれていた。担当の人がやってきて、こう説明してくれた。「使い古したジーンズやT シャツを使って再生コットンペーパーを作っているんです」樽のすぐ横にはジーンズや Tシャツが裁断された布切れがあった。

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これらを使っているという訳だ。これは面白そうだと思い、詳しく話を聞いてみることにした。使い古したジーンズや Tシャツを細かく裁断して、その後は、基本、水だけで作るそうだ。樽の中に入っていたのは白い Tシャツから再生コットンを取り出したもの。

「私たちの再生コットンペーパーはこういう風に作るんだ」とそのやり方を見せてくれた。網状のものに木枠をはめ、それを樽の中に沈め、すくい上げるとコットンだけが枠の中に残る。

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触らせてもらったが、簡単につぶれてしまうほどやわらかい。

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ただ、確かに繊維状のものがあるのがわかった。これを特殊な機械で水分を完全に抜くと、再生 Tシャツのコットンペーパーが出来上がる。

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再生 Tシャツで作られたとは思えない仕上がりだった。この紙はプリンターに通すことができ、出力サンプルを見せてもらったが、クッキリと印刷されていた。

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また、エンボス加工も可能とのこと。

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そしてこちらが再生ジーンズで作ったコットンペーパー。

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なるほどジーンズのブルーがしっかりと残っている。面白いところでは Tシャツで作ったコットンペーパーに花の種を混ぜ込んだものもあった。

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これは樽の中にTシャツのコットンを入れる段階で種も混ぜるのだという。出来上がった紙にはしっかりと花の香りまでした。もちろん印刷もでき、印刷物として使い終われば花の種として使うことができる。紙に水を二日ほど浸し、土に埋めると芽が出始めるという。これでグリーティングカードなど作ったら後々花も楽しめて素敵だと思う。

プリンターだけでなく、もちろんペンで書くことも出来た。紙は耐水性にもなっていた

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この「 moinho (ムイニョ)」はポルトガルのメーカー。

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ポルトガルは洋服の製造が盛んで、製造工程で出来た余った繊維がたくさんあり、この再生コットンを考えだしたのだそうだ。リオで開催された環境サミット「 RIO +20」の手帳に同社の再生コットンが採用された。

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■ 紙を使ったリングノート

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文具の展示会というものは、機械が動いたりといったことがないので、基本はどこのブースも静かだ。しかし、このブースはそんな中でもとりわけ静かだった。ブースには女性が一人立っていて、リングノートだけが静かに展示されていた。

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そのリングが一際大きい。ひとつのリングが縦3~4cm 横1.5cm くらいはある。

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実はこのリングは紙で作られている。紙と言っても、フニャフニャと柔らかいものではなく、しっかりとした硬さがある。リングが紙であることの最大のメリットは、ノート全てが紙なので廃棄が楽であること。廃棄の際にリングと紙を解体する必要がない。また、販促物としても最適な面がある。ノートを販促物にする場合に一般的には宣伝文句は表紙に印刷される。

このペーパーリングなら、その大きなリングにも広告が掲載できる。ノートを開いて使っている時にも広告メッセージが伝えられる。

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ノートの見開き性もなかなかよかった。

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■ ノートの中にペンを隠す

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日本ではまだ見たことのないデザインノートを展示しているブースがあった。

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その一つのノートを開いてみると、なんと中にボールペンが隠されてるではないか。

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常々私はノートとペンはいつも一緒にいるべきだと考えていたので、このノートにはとても共感してしまった。徹底してるのはそのボールペンのスペース。ボールペンの形に合わせてノートの中が型抜きされている。ただ上の方は開放されているので、ペンの取り出しやすさはしっかりと確保されている。

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さらに驚いたのは、ノート開いたまま逆さまにしてもペンは落ちない。

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よく見るとボールペンスペースの右下の方にわずかに出っ張りがあった。

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このスペースは、あくまでこのボールペン専用に型抜きされたものなので、他のペンは収まらない。ノート部分にはミシン目があり、メモパッド風に使っていく。どうしても綴じ部分にペンがあるので、紙の裏面に書くということは出来ない。表紙を閉じている時は手帳やノートのようだが、あくまでメモパッドとして使っていく。

また、ペンが隠されてはいないが、これもノートとしっかりとセットされていた。

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表紙の綴じ部分にはトンネルのような膨らみがあり、その中にペンが収まっている。

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このトンネルは紙だが、厚い紙で作られており強度は十分。

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このスタイルなら他のペンも使えそうでは?と尋ねてみると、予めセットされるペンのみだという。クリップのはさみ具合により、セットしてもスルスルとはずれてしまったり、ペンが長すぎると誤ってノックボタン押して、ペン先が出てしまいポケットを汚してしまいかねないからだという。

セットされているペン( Senotor社)は、そうした観点がクリアされて安心して使うことができるものだという。日本での代理店はまだない。

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