文具で楽しいひととき
■ 「 MADE IN THE U.S.A. のノート」 FIELD NOTES COUNTY FAIR 1,155円/3冊セット


 


□休日は
 洗いざらしのボタンダウンシャツと、
 はき慣れたジーンズで過ごすことが多い。

 これを身につけると体の中のスイッチが
 オンからオフに切り替わって、
 体の中で張りつめていた糸みたいなものが
 少しずつ緩んでいくような気がする。

 結局、
 私にとっての洋服は
 このシャツとジーンズだけで
 十分じゃないかという気さえしてくる。

 そんなリラックスした時に、
 このノートはとても合うと直感的に感じた。


□私たち日本人の間で
 「フィールドノート」というと、
 おそらく色々なノートが思い浮かんでくるのではないだろうか。

 一方で、
 アメリカの人たちの間では、
 古くから親しまれている
 「フィールドノート」がある。

 それは
 農場の人たちが使うノート。

 その「フィールドノート」は
 アメリカの種メーカーをはじめ
 トラクター・フェンスといった農業関連企業が
 作っていたという歴史がある。

 農場の人達へのノベルティ、
 つまり販促物として配られてきたものだ。

 大きさこそポケットサイズとほぼ同じだが、
 各社で趣向をこらしたデザインのものを作り、
 顧客である農場の人たちに配っていた。


 


 「 フィールドノート 」とは、
 そもそも「農場ノート」という意味。

 農家の人たちは、
 ジーンズのポケットにこの「フィールドノート」を入れ、
 日々の農場での作業内容などを
 そこに書きとめていた。

 アメリカで「フィールドノート」と言うと、
 そうしたイメージがしっかりと根付いている。

 しかしながら、
 時代とともにこの「フィールドノート」も
 だんだんと使われなくなってしまった。

 その「フィールドノート」に注目していたのが、
 オレゴン州ポートランドのグラフィックデザイナーのAaron氏。

 彼は、
 こうした古き良き「フィールドノート」の魅力にみせられ
 コレクションをはじめ、
 その数は数百冊にも及んでいた。

 そして、
 2008年に友人のデザイナーとともに
 「フィールドノート」を現代風にアレンジして蘇らせた。

 素材から印刷加工に至るまで
 全て MADE IN THE U.S.A. というこだわりで。


□今回ここで紹介するのは、
 「 COUNTY FAIR 」というシリーズ。


 


 「 COUNTY 」とは、州の意味。

 イリノイ、ニューヨーク、カリフォルニアの3州のタイプを取り上げるが、
 このほかアメリカ全50州のバージョンもある。

 鮮やかなブルー、レッド、イエローの3色が
 ワンパックになっている。


 


 表紙には
 ゴールドで「FIELD NOTES」と印刷されている。


 


 48ページと比較的薄めで、
 ポケットに入れていても邪魔にならず、
 角が丸くなっているので、
 ポケットに入れる時にとてもスムーズ。

 表紙にはほどよい厚みがあり、
 立ったままの筆記も快適にできるなど、
 フィールド(農場)で使いやすい作り込みは、
 ちゃんと残されている。

 表紙の鮮やかさに目を奪われがちになるが、
 この質感がまたいい。

 指先の指紋に全神経を集中させ、
 その表紙をそっとなでてみると、
 とても細かいテクスチャーがあるのがわかる。


 


 使い込んでいったら
 違う味わいが出てきそうな予感がする。

 その表紙を開くと裏側には、
 このノートを使い始めるにあたって
 記しておくべき
 記入欄になっている。


 


 上から
 所有者名、このノートに書きとめる内容、
 使い始めた日と終了した日、
 そして誤ってどこかに置き忘れてしまった時に
 拾ってくれた人へのお礼の有無といった情報だ。

 ノートのタイトルや日付といった情報は
 表紙に書き込むことが多いが、
 あえて内側になっている。

 「フィールドノート」の表紙のデザインを
 そのまま楽しんでほしいということなのだろうか。


□紙面は約5ミリの方眼。


 


 この「COUNTY FAIR」シリーズは
 3冊とも5ミリ方眼だが、
 この他ベージュ表紙の「 FIELD NOTES 」(3冊パック)には、
 方眼の他、無地や横罫線がある。

 ちょっとユニークなところでは、
 その3種類の紙面を一冊ずつミックスさせたタイプまである。

 先程も触れたように
 MADE IN USA ということで、
 この中に使われている紙も当然アメリカ製。

 アメリカの紙というと、
 リーガルパッドのように
 少し存在感のあるものをイメージしてしまうが、
 これは日本の紙では?と
 思ってしまうほどの滑らかさがある。


 


 しかも、
 罫線の色も薄めのブルーで
 日本人の私たちにも
 ごくごく自然に使える。


□そして、
 裏表紙の内側にも
 先ほどの表面裏に負けないくらい
 びっしりと記載されている。

 ブランドストーリーから始まり、
 この「フィールドノート」の使用例、
 さらにこのノートの製造工程までもが
 こと細かに書かれている。

 この製造工程の中には
 使われている紙の種類、インクの種類から
 製造機械に至るまでおしげもなく記されている。

 見る人が見れば、
 同じものが作れてしまうというくらいの詳細さだ。


 


 そして、
 一番下にも注目すべき記述がある。

 私が持っているものには
 「"COUNTY FAIR" THIRD PRINTING, FEBRUARY,2012」
 とある。


 


 つまり、
 「第3回目の刷り、2012年2月印刷」という
 このノートの製造された情報だ。

 もちろん
 この情報は「フィールドノート」を作るたび、
 変えるのだという。


□一番後ろには、
 各州の情報が記載されている。

 各州の標語をはじめ、
 人口や広さ、
 その州を代表する農産物などが書かれている。


 


 ちなみにイリノイの標語は、
 「State Sovereighty, National Union (州には主権、国家の団結)」。

 カリフォルニアは、
 「I have found it (我発見せり)」。

 そして、ニューヨークは、
 「Ever Upward (つねに上に)」。

 知っているようで
 あまり知らないアメリカのことが色々と書かれていて
 興味深い。


□私は、
 この「フィールドノート」を休日用のアイデアノートとして
 使いはじめている。

 このノートにあわせるペンは
 やはり鉛筆が似合う。


 


 しかも、
 半分より少し短くなってきたくらいの
 使い込んだものが
 ちょうどいい。

 私は木軸が美しい
 トンボ鉛筆の「木物語」をあわせてみた。

 これにドイツの「MANUFACTUM」で買ってきた
 メタルのキャップをセットしてみた。

 この組み合わせをポケットに入れて、
 休日の犬の散歩の時などに
 アイデアやFacebookのネタなどを書きとめている。


 


 小さなノート、
 そして短い鉛筆という最小限の組み合わせだが、
 むしろこういうシンプルな構成の方が
 アイデアが出てきそうなそんな予感がする。


 


■記事作成後記

 2月開催された展示会「EXTRA PREVIEW」にて
 「フィールドノート」の様々なアイテムが発表されていました。


 

 

 
   フィールドノートの鉛筆

 
   カリグラフィーのような文字も書ける芯が平べったい鉛筆


(2013年4月2日作成)


 ■ 各種フィールドノートは、こちらで販売されています。


 □ フィールドノート


 


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