文具で楽しいひととき
プラチナ万年筆
#3776 センチュリー 富士雲景シリーズ 絹雲
今年もこの季節がやってきた。#3776センチュリーの限定シリーズが発表される時期だ。#3776センチュリーのデビューを記念して始まった富士山をモチーフにした万年筆である。最初の「富士五湖シリーズ」の本栖が2011年だったので、もう14年目になる。その間#3776センチュリーは万年筆市場の中でしっかりとしたポジションを築いている。
さて、今回発売される「富士雲景シリーズ」はどんな雲と富士山をイメージしたものになっているのだろうか。発売を前に一足早くプラチナ万年筆さんに見せていただいた。
■ 空気感と流れる雲
今回のモデル名は「絹雲(きぬぐも)」という。夏の終わりから秋にかけて見られる雲だ。流れるような筋状の雲や、薄い雲を引き伸ばしたような優しい雰囲気がある。絹雲という表現は現在の気象用語では「巻雲(けんうん)」と呼ばれているそうだ。誰しも一度は見たことがある雲であると思う。雄大な富士山の上を様々な形で流れていく絹雲の美しさが調和している。静と動を感じる。
ボディは静けさのある2トーンカラー。夏から秋にかけての季節の変わり目は空の色が青々とした空気を感じる。その空気感をイメージしたという。なるほどブルーグリーンが淡いスケルトンカラーで表現されている。これまでの「富士雲景シリーズ」ではグリーンやネイビーブルーとやや濃いめのスケルトンカラーだったので、今回の透明感のあるカラーは新鮮だ。
淡いスケルトンキャップ越しにペン先が美しく見える
そして、透明の胴軸には絹雲の世界観が緻密に作り出されている。今回は2種類の加工が施されている。流れる筋状の雲はV刃彫刻という手法でしなやかに、それでいて勢いよく刻まれている。指を添えるとV状にクッキリと彫られた感触がある。両端は浅く、内側にいくに従いやや深くなっていて躍動感がある。
その合間には絹雲のもう一つの表現がある。薄くかたまりになった雲が細かな加工で形作られている。緩やかな波のようなラインが何本も連続している。じっくり目を凝らすと、その並び方はあるラインは少し上に飛び出したり、ラインの間隔も同じではない。雲の自然さがよく表れている。これらは光線彫りという手法が使わている。
この2種類の加工を一工程ずつ行なっているという。それらが組み合わさって絹雲が立体的に描き出されている。
ところどころ加工がないところもあり、ほのかにレンズ効果を生み出している。
■ 優しい握り心地
V刃彫刻はやや深めだが、細かな光線彫りの方は浅めになっている。そのため手にした時の指先のタッチはとても優しい。キャップを外すと首軸もキャップと同じスケルトンブルーグリーンになっている。
外したキャップは尻軸にセットした方がブルーグリーンと絹雲の並びがたっぷりと味わえて見応えがある。しかも、この方が絹雲加工を指先でも感じながらのライティングが楽しめる。
■ 秋の紅葉を表現したインク
今回も特別に調合されたボトルインクが付属される。「錦織る富士(にしきおるふじ)」という名前だ。秋の富士山を囲む美しい紅葉を表現したインクになっている。ボトル越しからは赤紫に見える。
しかし実際に書いてみると、色としてはむしろオレンジを感じる。筆跡が乾くと光加減によってはゴールドのような輝きを見せてくれる。紅葉は赤いところと黄色もある。そうした紅葉の世界観が味わえるインクになっている。時折見せるこのフラッシュはキラキラとした輝きを見せる。
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淡いスケルトンカラーのブルーグリーン、そして繊細な絹雲と当初は大人しめな印象があった。しかし、じっくりと手にしていくと静けさの中にもしっかりとした個性も感じられてくる。そんな今回の富士雲景モデルだった。
プラチナ万年筆 #3776センチュリー 富士雲景シリーズ 絹雲
字幅はEF、F、M 世界限定2,500本 47,300円(税込)
世界2,500本限定。2025年7月1日発売。
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