文具で楽しいひととき
■ その187 「全く新しい書き心地の蛍光マーカー」 ステッドラー テキストサーファーゲル 157円


  


□この書き味には正直たまげた。

 「書き味」とはよく言ったもので
 料理の味がそれぞれ違うようにペンにもいろいろな味がある。

 しかし、これはこれまで味わったことがないものだった。

 少なくとも蛍光マーカーの中では。

 ステッドラー テキストサーファーゲルは
 そんな驚きをたっぷりと味わえるペンである。

 蛍光マーカーは筆記具の中でも、意外と歴史が浅い。

 1971年頃に作られたそうで、万年筆やボールペン等に比べれば
 圧倒的に新参者的な位置付けである。
 よくよく考えてみると、私よりも4つも下ではないか。

 そんな比較的新しい筆記具ではあるが、
 筆記具業界の中でも、
 ちゃっかりと自分のポジションを築き上げている。

 実際、蛍光マーカーと言えば、
 誰れの頭にも、フェルト製のペン先が斜めにカットされていて
 そこに水性インクがにじんでいるというのがすぐに思い浮かぶはずだ。

 蛍光マーカーはこれまでもそしてこれから先も
 ずっとこのスタイルが受け継がれると、私は思っていた。

 そう思っていたものだから、
 今回のテキストサーファーゲルには度肝を抜かれた。


□ボディばいわゆる普通のペンスタイル。


  


 私たちが日本でよく手にする蛍光マーカーに比べればやや太め。


  


 注目すべきは、その太さではなく、軸の形状だ。

 日本の蛍光マーカーは
 ボールペン等のように軸が丸いのが一般的。

 しかし、海外のものは、ボディが平べったくなっているものが多い。

 これは蛍光マーカーのペン先が、平らなスタイルになっているので
 その向きがキャップを開ける前からでも
 わかるようにしているためだろう。きっと。。。

 しかし、今回のものは、海外のものであるのに、
 なぜか丸い軸をしている。

 その理由はキャップを開けると
 なるほどそういうことだったのか、とわかることになる。

 ペン先は平べったい形状ではなく、なんと、
 丸い形になっている。


  


 確かにこの丸っこい形状なら
 ペン先の向きを気にする必要はない。

 その形状もそうだが、びっくりして思わず息を飲んでしまうのは 
 そのペン先が、半透明に透きとおっているところだ。


  


 これまでにない丸っこいペン先をしているが、
 「私はこう見えましてもれっきとした蛍光マーカーです!」
 とまるで意思表示するように蛍光マーカーらしい色をしている。


  


 そのユニークな形状、透明感については十分わかった。

 では、これはどんな書き味であるのかが、
 我々として多いに気になるところだ。

 そこで、
 紙の上にこのペン先を優しく添えてみる。


  


 ペンを置いているというよりかは、
 むしろスティック糊を置いているような印象。

 タッチとしては、やわらかいという感じはあまりしない。

 しかし、どうだろう。
 そのペン先をひとたび横に滑らせてみると、一転、
 滑らかな書き味が手の先からビシビシと伝わってくる。

 そうか、これは商品に「ゲル」とあった。
 この滑らかさはそのためなのだろう。

 「ゲル」と言えば、誰もが知る「ゲルインク」である。

 「ゲル」の特長は、普段は結構粘度が高いのだが、
 力が加わると、いきなり滑らかになる。

 このマーカーもそのゲルの特性を活かしているようだ。


  


 この書き味、
 ゲルではあるのだが、いわゆるゲルインクボールペンとは
 ちょっと違う。

 どちらかというと、
 クレヨンをすこしばかり滑らかにしたような書き味。

 実際にやったことはないのだが、女性が使う口紅で書いたら、
 きっとこんな書き味なのではないだろうか、とも思う。

 商品名に「テキストサーファー」とあるように
 まるで文字の上を波乗りするかのようなスムーズさだ。

 ラインを引き終わり、ペン先を紙から放す瞬間、
 ペタッとペンが紙と離れるのを拒むかすかな抵抗を感じる。

 引かれたラインは、紛れもなく蛍光マーカーである。


  


  


 よくよく筆跡を見てみると、ところどころに
 ちょうどクレヨンで描いた時のようなカスみたいなものが出ている。


  


 これまでの蛍光マーカーでは、
 「ラインを引く」と言っていたが、
 これは、「引く」ではなく、
 「ラインを塗る」といった表現のほうがしっくりとくる。


□このように
 これまでの蛍光マーカーとは大きく違うということはおわかり頂けたと思う。

 ちなみに、書き味だけでなく、
 他にも色々な違いがある。

 例えば、これまでのように、重ね塗りをしても色はうまく混ざり合わない。


  


 インクは速乾性があって、書いたそばから筆跡を擦っても大丈夫。

 また、ペン先が丸っこいということで、筆跡の幅はこれまでよりやや細め。

 書いた後のペン先をルーペでもって観察してみると、
 その部分は見事にすり減っている。


  


 ということは書き込んでいるうちに
 太いラインが引けるということになるだろう。

 一方、すり減るということは、ペン先が段々と短くなっていくということも意味する。

 これについては、ペン先の反対側をねじれば、
 スティック糊のようにグングンとペン先が繰り出されていくということで解決。


    


 この繰り出し式には、もうひとついいことがある。
 それはインクの残量が一目瞭然であること。

 これまでの蛍光マーカーだと、
 はたしてインクがどれくらい残っているかが外からはわかりづらく、
 「書いてみる」という工程を踏まねばならなかった。

 その点、テキストサーファーゲルでは
 ペン先を見ただけで書けるかどうかが瞬時に判断できる。
 
 つまり、今まで悩ましかった「蛍光マーカーの捨て際」という問題に
 キッパリと決着がつけられる訳だ。


  


□ペン先のスタイル、透明感そして独特なタッチの書き心地。

 これは一度体験してみる価値は大いにある蛍光マーカーだと思う。

(2009年9月1日 作成)


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