文具で楽しいひととき
■ その102 「蛍光マーカーが飛び出す多機能ペン」 ラミー ピックアップ 
                                            

    


□何色ものボールペンを1本から繰り出す多色ボールペンに対して
 種類の違ったペンを1本にまとめた多機能ペン。

 その多くは、ボールペンとシャープペンの組み合わせがほとんどだ。

 このラミー ピックアップ、
 ボールペンと蛍光マーカーを1本にまとめたちょっとユニークなものになっている。


□蛍光マーカーは、たくさんの情報の中から重要な部分だけを
 目立たせてくれるという実用性は誰もが認めるところだが、
 デザインのよいものとなると、あまり選択肢がない。

 そんなこともあって、机の引き出しにはしっかりと入っているものの
 いつも持ち歩くというペンでは残念ながらないように思う。

 このラミー ピックアップはちょっと見ただけでは
 蛍光マーカーが入っているとは到底思えない。
 多機能ペンにありがちな仰々しさが感じられない静かな佇まいをしている。


  


 ちょっと濃いグレーのメタルのボディはなんと一枚の鉄板を巧みに
 折り曲げて形作られている。

 クリップまでもがその1枚の鉄板からできているというこだわりよう。
 そのクリップの先端はどうやって曲げたのだろうかと関心してしまうほどの
 滑らかなラインに仕上がっている。


    


□では、どうやって蛍光マーカーを出すかと言えば、
 ボディの中央にはこれ見よがしに黄色のマークが意味深に付いている。


  


 こういうものを見せられると、人間の心理として、ついつい触ってみたくなるもの。
 そこを軽く押してみると、
 パコッという小さな音と共に、ペンのトップ部分が5mmほど飛び出す。


  


 これを引き抜いてあげれば、ふつうの半分くらいしかない蛍光マーカーが
 出てくる。


  


 とても短い蛍光マーカーだが、
 グリップの両側はスパッとカットされてフラットになっているので、
 そこをつまむように持てば、短いなりにしっかりと握れる。

 そもそも蛍光マーカーはふつうのペンと違って、
 そんなに長時間使い続けるものではなく、
 必要なところをさっと塗るのがほとんどなので、これくらいの短さでも十分いける。


      


 なお、先ほどの蛍光マーカーを飛び出させるボタンは結構繊細で、
 ちょと触っただけでも飛び出してしまうことがある。

 でも、飛び出したマーカーはロックが効いていて
 ペンを逆さまにしても、振っても外れないようになっている。


  


□多機能ペンのもうひとつの機能であるボールペンは
 ボディをツイストすると現れてくる。


  


 あまりにも何気なく、そのボールペンが現れるので
 ついつい見過ごしてしまいがちだが、
 この部分、結構苦労して作られていると私はみている。
 なので、ここはしっかりと触れておきたい。

 と言うのも、先ほどの蛍光マーカーを収納するため
 ボディの6割近くがすでに使われてしまっている。

 ボールペンとしては、
 「使う頻度がボールペンの私の方が断然多いのだから、
 もっとスペースをよこせ!」
 
 一方の蛍光マーカーも負けじと、
 「いやいや、今回の多機能ペンは蛍光マーカーの私が加わったことにこそ
 意味があるのだから、むしろ私の方が主役だ!」
 といった、激しい勢力争いが行われたかどうかはわからないが、
 結果として、ボールペンが一歩譲ったところで収まっている。


  


 ということで、4割程度という大変限られた空間の中で
 ツイスト式ボールペンを実現させている。

 限られたスペースには当然小さなリフィルが必要となるので、
 ラミーピコにも採用されているM22と呼ばれる
 コンパクトタイプが使われている。


  


 そして、ボディをツイストすると
 ふつうのボールペンと同じように
 ボールペンが繰り出されると思いきや、実は違うのだ。


    


 ペン先をガードしている部分がツイストするたび出たり入ったりしている。
 つまり、ボールペンのペン先自体は動いていないという訳なのだ。

 蛍光マーカーのようにボタンを押すと飛び出すという派手なギミックこそないが
 ボールペンもなかなか、がんばっているではないかと、思ってしまう。

 ボディの4割くらいしかスペースがないからと言って、
 「えーい、キャップ式にしてしまえー」と安易な方法をとらずに、
 しっかりと使い勝手を考えて作りこんでいるところがさすがラミーだと思う。


  


□ペンという限られた空間を余すところなく使い切った
 これまでとは一味違う多機能ペン、
 
 ボールペンと蛍光マーカーを仲良く使ってあげようと思う。


(2006年3月14日作成)






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