2015.05.12(330)

「わびさびが感じられるペン」

カランダッシュ

エクリドール ペンシル

カランダッシュ エクリドール シェブロン ペンシル 0.7mm

仕事でいつも持ち歩いているポスタルコのリーガルエンベロープ。その中に一本だけペンを忍ばせている。カランダッシュ エクリドール シェブロン ペンシル 0.7mm。

カランダッシュ エクリドール ペンシル

外出先などで万が一手元にペンがないときのために使っている。使用頻度はあまり高くはないが、私にとっていざというとき活躍してくれる懐刀のような存在。頼りにしているペンだ。

カランダッシュ エクリドール ペンシル

ついこの間も外出先のカフェでこのカランダッシュを握り企画のアイデアをスケッチブックに描きなぐっていた。ふとペンを走らせるのを止めてそう言えば、このペン、いつ買ったんだっけ?なんでこのペンを買ったんだっけ?ということが頭をよぎった。

考えてみると、私はペンを買うときにはそれなりの理由やきっかけがある。もちろん衝動買いすることもあった。でも、それも衝動というきっかけである。

はて、このカランダッシュはどんなきっかけだったのだろうか??カランダッシュのペン先を紙から離しコロコロと人力クルトガのように転がしながら
頭の中の引き出しをあちこち引っ張り出してみた。だんだん思い出されてきた。そうだあの人だ、あの時だ。

■ 20年以上前のおもいで

まだ、私が会社に勤めていた時。先輩社員の方が当時、独身だった私を捕まえてそろそろ保険に入ってみたらと外資系の営業の方を紹介してくれた。まぁ、話だけでも聞いてみるかと会ってみることにした。

待ち合わせ場所に現れたのは私より10歳くらい年上の男性だった。話だけ、と軽い気持ちで会ってはみたが、保険の話しは、その方には悪いが全然興味が持てるものではなかった。早く終わらないかなぁと思いつつ一応聞くふりだけはしていた。

すると、その人がスーツの胸ポケットから1本のボールペンを取り出して紙の上になにやらグラフみたいなものを書いて説明をはじめた。私の目はだぶんいきなり輝いたのだと思う。私が保険の話に興味が出てきたと思い込んでその人は俄然やる気を出して説明に力を込めた。

もちろん、私は保険の話しではなくペンに興味を持ったのだ。使い込んだことがひと目でわかるシルバーらしきボールペンだった。もともとは銀色をしていたのがすっかりと黒ずんでいる様子だった。でも、いわゆるブラックボディとは違う、所々に銀色が見える黒ずみだった。

カランダッシュのエクリドールかな、、それにしては、少し軸が太い感じだな。。と、首をかしげている様子がこれまた保険を真剣に悩んでいるように見えていたようだ。

「っで、どうされます?」という声で現実に世界に戻された。保険については、まだ結婚もしていないんで、今はいいです。。と断った。百戦錬磨の保険セールスの彼にとってそんなどこでも聞くような断り文句の切り返しは何十通りも持っているようで、それからさんざん説得を繰り返された。でも、私も譲らなかった。

そんなことより私には聞きたいことがあった。それは、あのボールペンの名前を確認することだ。これ以上保険の説明をしてもムダだと判断してくれたようで、資料をトントンテーブルの上で揃えてカバンにしまいはじめた。

今がチャンスと「そのペンは、なんていうんですか?」と聞いてみた。スーツのポケットにそのペンをしまいながら「これはレミニッセンスです」と教えてくれた。そうか、「レミニッセンス」かぁ。

その時に見たシルバー(銀製)のペンがすっかり黒ずんでいる「わびさび」のような美しさに惹かれてしまった。どうして「レミニッセンス」を買わなかったかは今となってはよく覚えていないが、たぶん、価格が高かったからあきらめたのだと思う。

その代わりとして、数年後にカランダッシュ エクリドール シェブロンのペンシルを買った。

カランダッシュ エクリドール ペンシル

買ったのはその当時よく通っていたアメ横のペンショップ。当時は、今のように黒鉛芯にこだわっていた訳ではない。むしろ、仕事ではボールペンの方をよく使っていた。それなのにボールペンではなく、あえてシャープペンを買ったのだ。

カランダッシュ エクリドール ペンシル

その理由も覚えていないが、シャープペンを買った当時の自分をでかしたぞ!と褒めてあげたい。ただひとつだけ、このペンを買った時のことでハッキリと覚えていることがある。

それは店のおばさんがロジウムメッキされているのにする?それともされていないほう?と聞いたことだ。おばさんは、ロジウムメッキされていると、シルバーによくある黒ずみが起こりにくいからいいよと勧めてくれた。私は、キッパリとロジウムメッキでないタイプ!と言い切った。

カランダッシュ エクリドール ペンシル

それから何年もの月日が流れた。私のカランダッシュの黒ずみはあの人のと比べると、まだまだである。

カランダッシュ エクリドール ペンシル

□ カランダッシュ エクリドール シェブロンシャープペンシル(現行品)は、こちらで販売されています。

現行のものが黒ずみが出るタイプであるかは不明です。。

*関連コラム
■「書類の持ち運びが快適になる」ポスタルコ リーガルエンベロープ
■「シンプルさの中の精巧」カランダッシュ 849コレクション ボールペン
■「よろいをまとった万年筆」カラン ダッシュ アイバンホー万年筆