2014.09.23(314)

「万年筆の極細楽園」

パイロット

カスタム743 極細(EF)

パイロット カスタム743 極細(EF)

私が日頃よく使っている万年筆は太字系ばかり。その中に一つだけEF(極細)がある。それは原稿校正用の万年筆。

パイロット カスタム742 極細(EF)

パイロット カスタム742で、買ってからこのかた赤インクしか入れたことがない。

パイロット カスタム742 極細(EF)

もうかれこれ7年の付き合いになる。この極細万年筆の書き味が近頃とてもよくなってきた。当初はカリカリとしていたものがカリカリ加減が影を潜め、紙の上で滑らかに走っていく。たとえるならつま先でスケートしているよう。以前、校正はイヤーな仕事のひとつだったが、今ではこの万年筆の書き味が楽しめるので進んで取り組む仕事になった。

なにもこの「極細楽園」を赤インクの校正の時だけにしておくのは全くもってもったいない。青インクの時でも楽しんでみたい。そう思うようになった。そこで、普段使いできるちょっといい極細万年筆を買うことに決めた。

善は急げとATMで念のため3万円少々を引き出し、それを握りしめ地元横浜の伊東屋さんへと向かった。

■ 普段使いの極細万年筆を買う

これまで万年筆を買うときは予めどのモデルにするかは心に決めていた。しかし、今回はモデルは全く決まっておらず、ただただEF(極細)というスペックだけ。店に着き、店員さんに「国産万年筆の極細が欲しいのですが」と用件を簡潔にキッパリとお伝えした。このとき私からはあえてメーカー名やモデル名はなにも言わなかった。

すると、店員さんも私のメラメラと燃えるEFへの熱い想いを感じ取ってくれたのか、「色々とお出ししてみますね」と次々にEF万年筆を試し書きができるようにテキパキと準備をしてくれた。出していただいたのは、パイロット カスタム74、742、743、セーラー万年筆 プロフィットスタンダード、プロフィット21、プラチナ万年筆 #3776 センチュリー。

自分の名前と住所をひたすら書き続け、書き味の定点観測を行った。

パイロット カスタム743 極細(EF)

私の手によるとこの中で気になったのはパイロットのカスタム74と743の2本だという。校正用万年筆で愛用している742をあえてはずしたのは、私の手によると、こういうことらしい。校正はひたすら書き続けるよりも文字を読み、間違いがあった時だけ書き込んでいく。

求められるのは、必要な時にさっと書き出す「瞬発力」。そのため少々硬めの742のペン先の方がこの用途にはいいという。しかし、今回は校正ではなく、原稿を書いたり、一筆箋に書いたりとある程度の文章を書くという用途。

求められるのは、自然に流れるような書き味。ほんの少しだけやわらかさがあった方がいい。あまりにやわらかすぎるのは心地よすぎて自然に書いていける自信がない。

そうしたバランスの点で74と743がちょうどよかったという。74は742よりもペン先が小さいが、書いた印象がとてもよかった。実は、この時私が書いていた74は、店頭で長らく試し書き専用万年筆として使われ続けてきたものだという。そのためだろうか、ペン先の角がほどよくこなれていてすこぶる書きやすいものだった。

この試し書き用の74 EFを買いたいといったらOKですか?と念のため店員さんにお聞きすると、ペン先はそのままにボディだけ新品にして販売できるとのことだった。それも踏まえて74と743を再び書き続けること5分。それまで私はペン先の書き味だけに意識を集中させていた。ボディの握り心地という点でどうなのか?と再び私の手にそこのところを聞いてみた。

すると、軸が少しばかり太い方が自然に握れるという。

パイロット カスタム743 極細(EF)

なるほどそう言われてみれば、私は743をウェバリー、フォルカンの2本、さらには743と同じ軸の太さを持つ823も2本も所有している。どうやら私の手はこの太さにすっかりと慣れてしまっているようだ。そもそも私の手は大きめなのでこうした太い軸との相性もいいのだろう。

今回は、自然に流れるようにEFを楽しむというのが重要なポイントだったので、ゆったりと握れる743に決めることにした。

パイロット カスタム743 極細(EF)

■ これで743は3本目になる

こうなると、どれがEFでウェバリーでフォルカンなのかがわからなくなってしまう。

パイロット カスタム743 極細(EF)

そこで以前、アサヒヤ紙文具店さんに教えていただいた方法で区別することにした。キャップに「EF」と刻印するというものだ。

パイロット カスタム743 極細(EF)

ペンにこうして名入れをするのははじめてだ。あまり目立ちすぎたらイヤだったので素彫りという、色が付かないスタイルにしてもらった。

■ 普段使いを楽しむ

早速、原稿や一筆箋でこのEFを使っている。

パイロット カスタム743 極細(EF)

パイロット カスタム743 極細(EF)

パイロット カスタム743 極細(EF)

パイロット カスタム743 極細(EF)

EFとは言え、Bで書く時と同じような大きさの文字で書くと、自分の文字ながら全く違う印象になる。なんだか、ちょっと繊細な印象になる。書き味はまだカリカリとしたところがあるが、校正用万年筆の時のように5年、6年と使い続けていくうちになめらかになっていくことは実証済みだ。

あせらず、ゆっくりとその道のりも含めてEFを楽しんでいこうと思う。校正用万年筆と違ってこのEFは一度に書く分量も格段に多いのでもっとはやく辿り着けるかも知れない。

パイロット カスタム743 極細(EF)


* パイロット カスタム743 EF(極細) 30,000円+Tax

□ 私が743 EFを手に入れた伊東屋 横浜店
□ パイロット カスタム743 極細(EF)は、アサヒヤ紙文具店でも試し書きして購入できます

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