2017.12.19(396)

「キリリとした削り仕上げ」

M+R

鉛筆削り 0601

鉛筆削り M+R 0601

ふだん鉛筆を削る時は、肥後守を使っている。ザクザクと木軸を大胆に削り芯がほどよく現れてきたら、刃先の角度を少し水平にして芯だけをシャーシャーとうすくそぐように仕上げていく。自分の好みの削り仕上げにできる良さがある。万年筆のインクを補充するのは、とても楽しい。それは補充するというよりも万年筆に栄養分を飲ませてあげるというのに近い。そして、鉛筆を削るという作業も文具の使い手を幸せに気持ちにさせてくれるものがある。いずれも面倒な作業と言えばたしかにそうなのだが、言葉には言い表せない喜びがそこにある。インクを使って減らしたもの、そして鉛筆の芯を減らしたものだけに許された特別な行為という点が心をくすぐるのだと思う。

肥後守 BLACKWING 鉛筆

鉛筆削り M+R 0601

さてさて、その鉛筆削りにおいて肥後守とともに、これも併せて使っていこうというものに出会ってしまった。手持ち式の鉛筆削りだ。その価格なんと4,000円+taxもする。

鉛筆削り M+R 0601

■ 他と違う削り仕上げ

穴に鉛筆を差し込み、そのまま鉛筆をグリグリと押し込みつつ回して削っていく手持ち式鉛筆削り。なんとなくのイメージだが、このタイプは削り仕上げがちょっとずんぐりとしたものが多いという印象があった。私は芯先を少し長めにした仕上げが好みなので、最近はあまり使う機会がなかった。

鉛筆削り M+R 0601

鉛筆削り M+R 0601

しかし、これは違った。値段が高いだけではなかったのだ。削ったものは芯先がシュッと長く、よくよく目を凝らしてみると心なしか削られた木軸の部分が内側に絞り込んだようになっている。まさに「シュッ」としているのだ。大変に美しい削り仕上げである。

鉛筆削り M+R 0601左が「0601」で削ったもの。削った木のアウトラインが内側にスリムになっている。右が一般的なもので削ったもの。

鉛筆削り M+R 0601やろうと思えばここまでキリリと芯を尖らせることもできる。(書く時は少々筆圧を弱めにしないとすぐにポキッとなるが。。)

■ 何が違うのか?

では、一体この「0601」は他の手持ち式鉛筆削りとどこが違うのだろうか。そこのところが気になってくる。キリリと尖った鉛筆をいったん脇に置いて「0601」を手に取りあちこちをなめるように見てみた。M+Rには一般的な「0604」というタイプがある。それと見比べてみると「0601」の方がボディも刃も長い。いずれも一本のネジで刃が固定されている。基本はこの刃が違うのだろうと思い、「0601」の刃を片目をつぶってさらによく観察してみた。すると穴の方がほんの少しだけたわんでいるように見えた。また鉛筆が入っていく円すい状の穴もまっすぐのラインではなく、わずかに緩やかなカーブを描いている。おそらく、これによりあのシュッとしたラインが生み出されるのだろう。

鉛筆削り M+R 0601左がキリリ派の「0601」、そして右が通常の「0604」

鉛筆削り M+R 0601



この「0601」を使うと肥後守では到底できないキリリとした芯先に仕上がる。その芯を守るためには、BLACKWINGのポイントガードというメタルキャップがいい。文字通り芯先のポイントを守ってくれる。ふだんアイデアを考えながら書いていく時は肥後守で削ったくらいの芯先がちょうどよい。しかし、たまに表などを少しばかり細かく書き込む時もある。そうした時にはこれまで0.5mmや0.7mmのシャープペンを手にしていた。「0601」のキリリとした芯ならその用途にも使える。あえてシャープペンではなく「0601」を使う喜びはそのシュッとしたラインにある。思考の合間に芯先を指先でスリスリと触ると、「箸休め」ならぬ、ちょうどよい「鉛筆休め」になる。

BLACKWING ポイントガード

BLACKWING ポイントガード

鉛筆削り M+R 0601

鉛筆削り M+R 0601

M+R 鉛筆削り0601
BLACKWING メタル製キャップ ポイントガード

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