文具で楽しいひととき
■ ステッドラー ドイツ工場見学 レポート


 


□どうやら東京が梅雨入りした模様と
 気象庁がハッキリしない発表をした6月中旬、
 ドイツ ニュルンベルグへと出発した。

 目的はドイツの鉛筆ブランド
 ステッドラーの工場見学。

 文具メーカーの工場見学というと
 比較的気軽に行われていそうだが、
 実はそうでもない。

 工場というのは、
 各社とも企業秘密の総本山みたいなところがあり、
 おいそれと入れるところではない。

 今回
 「ステッドラー日本」社、
 そして文具商社の「日東商会」社からお誘いを頂き、
 参加させていただく機会を得た。

 本来はステッドラー商品を日頃からよく販売している
 有力販売店の方々が対象になっているのだが、
 なぜだか私もお誘いをいただいた。

 こうした機会はめったにないので
 二つ返事で「ぜひ行きます!すぐ行きます!!」と
 快諾させていただいた。

 今回の出張は一週間。

 そのため、
 直前の週は2週間分の仕事を
 キッチリと片付けて準備万端整えた。

 やや肌寒い成田空港から
 ルフトハンザに乗り込み12時間ひたすら雲の上を飛び、
 フランクフルト空港へと向かった。

 ドイツの人たちが
 きっちりとした性格であるのは私も知っていたが、
 飛行機がフランクフルト空港に着陸して
 ゲートに横付けされ、完全にストップした時間が
 到着予定時間と2分と違わなかったのには、さすがに驚いた。


□ドイツは今回が3回目。

 もう5年くらい前になるが、
 以前の訪問はペーパーワールドの取材だった。

 あぁドイツに来たなと久しぶりに感じたのは、
 空港内の案内看板を見た時。


 


 くっきりとしたネイビーに真っ白な文字で描かれている。

 なにごとも白黒ハッキリさせる国民性なのだろうか。

 そういえばこのネイビーにホワイトというカラーは、
 ステッドラーのロゴマークの色を思い起こさせる。

 さて、
 フランクフルト空港から
 ステッドラーの工場があるニュルンベルグまでは
 「 I C E 」という特急列車を使った。

 空港から少しばかり歩いて、
 エレベーターを降りると
 いきなり駅のホームになっている。


 


 日本で電車に乗るには
 改札でスイカをピッとやっているので、
 何もせずにホームに来てしまうと、
 なんだか悪いことをしているようで
 落ち着かない。

 成田からフランクルトまでの
 フライトは12時間。

 前回訪れた時と比べると、
 それがあまり長くは感じられなかった。

 おそらく前回は一人旅で
 食事の他は、映画、本しか娯楽がなく、
 後はただただ座っているしかなかった。

 しかし、今回は
 いろいろとお話しさせていただける方が何人もいた。

 誰かと話すというのは
 こんなにも時間を楽しくさせてくれるのかと
 改めて思い知らされた。

 そのせいか飛行機を降りた時も
 疲れはあまり感じず元気ハツラツだった。

 しかし、駅で「ICE」 を待ってベンチに座ったあたりから、
 今まで姿を見せていなかった疲れが
 突如としてどっと現れだしてきた。

 時計を見るとドイツ時間で16:00。

 ドイツのサマータイムも換算すると、
 日本はプラス7時間ということになるので、23:00。

 この時間を認識した途端、
 さらなる疲れが
 毛布のようにずっしりと私の体に覆い被さってきた。

 というのも
 私は毎朝4:30に起きている関係で、
 夜は21:30頃には床についている。

 23:00と言えば、深い深い眠りの中だ。

 閉じつつあるまぶたの隙間から他の参加者の方々を見ると、
 みなさん余裕しゃくしゃくという感じで
 楽しそうにおしゃべりしたり、
 記念撮影などをしている。

 そうこうしていうちに
  ICEがなんのアナウンスもなくホームに入ってきた。


 


 それに乗り込み各自席に着くと、
 やはり特にアナウンスなどないままに走り出していく。

 この「ICE」の乗り心地が実にスムーズ。

 アナウンスもないが、
 日本の電車でいうところの「ガタゴト」という音、
 そして振動もほとんどない。

 スーッとスムーズにまるで滑るように線路の上を走っていく。


 


 それにあわせて、
 私も滑るように夢の中へ落ちていった。

 元気そうに見えていた他の人達もやはり疲れていたと見えて、
 あちらこちらからいびきが聞こえだしてきた。

 2時間近くぐっすりと眠り、
 目を覚ますと、
 窓には草原の山々が広がっていた。

 今にも「フランダースの犬」のおじいさんが
 パトラッシュと一緒に出てきそうな風景だ。

 そうした山並みが
 すこしずつ町に変わっていき、
 ニュルンベルグ駅に到着。


  


 ここでも改札を通らず、
 いきなり町中へと出る。


 


 ニュルンベルグの町の第一印象は、
 石造り建物がやけに多いなというものだった。

 道路はコンクリートになっているが
 町のあちこちに歴史を感じさせる石作りの建物がある。

 古い建物と新しいビルが共存している。

 こうした光景は
 日本でも見ることができる。

 なのに、
 日本とはどこか違う。

 そうだ、コンビニがないのだ。

 日本で駅前と言えば、
 あちこちにコンビニを見かける。

 ここでは全くない。

 聞けば、
 ニュルンベルグに限らず
 ドイツにはコンビニはあまりないという。

 この時の時間はドイツ時間で19:00。

 空には雲があるものの、
 まだまたは明るい。

 ステッドラーの方によると、
 この明るさは21:00くらいまで続くという。

 日本との時差があり、
 しかも全然夜にならないこの状況に
 私の体内時計は
 ハナから調整することを諦めてしまった。


□ドイツと言えばビールにソーセージ。

 ホテルにスーツケースを置いて、
 ほどなくして
 ホテルから5分ほど歩いたレストランに
 みんなで夕食へと向かった。

 到着した日は日曜日。

 それなのに町には
 不思議と人がほとんどといっていいほどいない。

 ドイツでは基本的に日曜日は
 お店もレストランもほとんどが休んでしまうのだという。

 休むときは、
 みんなで一斉に休むということが
 どうやらかなり徹底されているようだ。

 ドイツにコンビニがない理由が
 なんとなくわかった気がした。

 さて、
 私たちが入った日曜日もやっているレストランには、
 すでにドイツ人らしき団体が何組もいた。

 まずは、
 ビールで乾杯となるが、
 ドイツではそのビールの種類が実に豊富。

 日本のように「中生」などサイズで選ぶのではなく、
 ビールの種類を指定しなければならない。

 メーカーの銘柄ではなく、あくまでも種類。

 ヴァイツェンと呼ばれる白ビール派と
 ピルスナー派に分れて
 まずは乾杯。

 仕事をした後のビールはおいしいが、
 仕事をしていなくたって、おいしい。

 ドイツビールが
 疲れた体の毛細血管にいたるまで
 じわりじわりとしみ渡っていく。

 私はピルスナーを飲んだのだが、
 これは日本のビールに比較的近い
 癖の少ない飲み味。

 ふとビールのジョッキを見ると0.4リットルという刻印ある。


 


 白ビールのジョッキには0.5リットルとある。


 


 注ぎ入れるビールの容量もきっちりと決まっている訳だ。

 こういうなんでもハッキリとさせるところが
 何ともドイツらしい。

 こうしてドイツ ニュルンベルグ 文具の旅は
 スタートしていった。





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