■「プロも納得のシャープペン」 プラチナ万年筆 プレスマン 210円


 


シャープペンを使っていて気になるのが、
 さぁ書こうと思った矢先に
 芯がポキッと折れてしまうこと。


 再びカチカチとノックを押して
 芯を出さなければならず、
 まさに出鼻をくじかれた気分だ。


 こうしたシャープペンの芯の折れやすさに
 果敢に立ち向かい作られたのが
 このプラチナ万年筆のプレスマンである。


 このペンは新製品ということではなく、
 発売されてから30年にもなる、まさにロングセラー。



□そもそもの開発のきっかけは
 新聞記者や速記者といった、
 たくさんの文字をしかも一気に書くことが求められる
 プロの方々から折れづらいシャープペンが欲しい、
 という要望から生まれたものなのだ。


 外観からすると、
 何の変哲もなさそうな感じ。


 手にすると、
 一般のシャープペンよりもやや軽めな印象がある。


 これはこのペンが開発された当時、
 まだ鉛筆が主流の時代だった。


 それゆえ鉛筆から持ち替えても
 違和感がないようにするためだったという。


 ノックを押すと芯がカチカチと出てくる。

 これは普通のシャープペンと同じ。

 しかし、一点だけ違うのは、
 芯の太さが0.9mmと太いことだ。


 一般には0.5mmなので、
 これは見た目としても明らかに太い。


 こうして
 そもそもの芯を太くすることで折れにくくしている。


 太めの芯ということだけで言えば、
 なにもこのプレスマンだけではない。


 他にもそうしたシャープペンはある。


□プレスマンの底力はさらにある。


 一般に書き出しにポキッと芯が折れてしまうのは、
 いつもよりも力が入りすぎてしまうからだ。


 特に何か重要な事を書こうとすると、
 人は思わず力んでしまう。


 そうしたことをふまえて、
 このプレスマンでは筆圧をかけると
 内蔵されているスプリング機構が作用して、
 芯が引っ込むようになっている。


 これなら力んでメモしたときにも
 おおかた大丈夫という訳である。


 この様な2重の対策で芯を折れにくくしている。

 
□しかし、
 一方ではシャープペンは書いているうちに
 芯を使い切ってしまうことも起こりえる。


 そのために
 何本かの芯をあらかじめ予備にいれておくものだ。


 しかしながら、
 一本の芯を使い切り、
 次の芯を出すためには、
 どうしても何度もノックをカチカチとやらなければならない。


 運悪く取材中などにこれに出くわすと、
 イライラしてしまう。


 この点についてもプレスマンには
 しっかりとした対策が講じられている。


 プレスマン専用の替え芯(別売り10本入りで105円)は、
 その長さがなんと10cmもある。


 一般のものは6cmなので、
 倍近くもある。


 つまり、
 芯をとぎらすということが少なくなるのだ。


 ちなみに、
 この専用の芯は
 あえて2Bという濃いめのものが採用されている。


 この書き味が実に滑らか。

 先ほどのクッション効果と相まって
 実に気持ちよく筆記できる。


 機能性だけでなく気持ちよさも考えられていたのだ。


この様に大量の文字をよどみなく書くことに徹したプレスマン、
 こんなにこだわり満載で210円。


 これはかなりお買い得だと思う。

 このペンでプロ気分な書き心地を味わってみては。



*このコラムは、神奈川新聞での連載「至福の文具」を加筆修正したもです。



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