■ 「万年筆との相性が良いエマージェンシーメモ」 デザインフィル カードメモ 126円


  


□「エマージェンシーメモ」。

 エマージェンシーとは緊急事態のこと。

 そもそもメモは必要な時にさっと取り出し
 書きとめるものなので、
 メモ帳全般がそもそもエマージェンシーとも言える。

 しかし、
 これは私の場合だけかもしれないが、
 ここぞという時に限ってメモを持っていくの忘れてしまうことがある。
 これこそエマージェンシーという事態。

 そんな時に私を救ってくれるのが、
 小さく携帯しやすい「エマージェンシーメモ」という訳。

 このエマージェンシーメモには
 今はもう廃盤になってしまった
 住友スリーエム<ポスト・イット>スタイルカードノートを
 これまで使っていた。


  


 これは、ほぼカードの大きさなので、
 財布の中に収めておくのにちょうど良い。

 いつも持ち歩く財布に忍ばせておけば
 いちいちメモ帳を持たなくちゃと気をもむ必要もなくなる。

 その「エマージェンシーメモ」の仲間に入れてあげたいアイテムが
 このほど、発売された。

 デザインフィルのカードメモ。


  


□名前の通りサイズは、カードとほぼ同じ。


  


 サイズだけでなく右側のページを開く側は、
 カードのように角を丸く仕上げている。

 表紙は、おそらくこれは紙だと思うが、
 光沢感のあるシルキーなものが使われている。


  


 小さいながらも、上品な顔立ち。

 横から見てみると、とってもスリム。
 パッケージの説明書によるとその薄さ1.6mm。

 これはクレジットカード2枚分に相当するそうだ。
 財布に入れておくには最適な薄さだ。


  


 財布の中のメインは、
 お札やクレジットカードである。

 ある意味、メモ帳は財布の中では居候的存在となるので、
 基本は身を縮めていなくてはならない。

 そうした立場をしっかりとわきまえたスリムさである。

 そもそもメモ自体を薄くするには、
 単純に考えれば中の紙の枚数を減らせばいい。

 しかし、あまり枚数が少ないのも
 非常事態の際に困ることもある。

 今回のものには、31枚が綴じられている。

 30枚ではなく、「31枚」というのが
 なんとも微妙。

 説明書によると、
 1ヶ月31日分ということらしい。

 私のようにエマージェンシーメモで使う身としては
 1ヶ月毎日非常事態が起きたら
 たまったものではないが、
 ま、メモの分量としては安心だ。


□では、次に
 この薄さの立役者である紙についてみていこう。

 このメモには、とても薄いタイプライター用紙というものが使われているそうだ。

 その1枚をめくり、親指と人差し指ではさみ
 紙の質感を味わってみる。


   


 ペラペラとしていて、とてもソフトな感触。

 光にかざすと、うっすらと向こうの様子が見える半透明。


    


 女性が使う油取りの紙のようだ。

 別の言い方をすれば
 トレーシングルペーパーのコシの硬さを取り除いたようでもある。

 このメモ帳一冊分で
 わずか6グラムしかないという。

 説明書によると、
 「薄さ重さに関しては、生産状況により誤差が生じる場合があります」とある。

 それだけ繊細な作り込みが必要ということなのだろう。

 工業製品は基本どれを買っても同じものである。

 しかし、それは安心感があるともいえるが、
 一方では多少の味気なさも感じてしまう。

 万年筆のペン先は同じ型番であってもその書き味には、
 微妙に個体差があったりするが、
 私はこれを個性として受けとめている。

 今やそうした個性を感じるものが、
 めっきり少なくなっている。

 この薄さ重さが生産ロットによって違うというのは
 個人的にはとても歓迎すべきことだと考えている。


□この紙、一見すると
 ソフトでとても頼りなさそうだが、
 実は見かけによらず懐が深い一面も持っている。


  


 この紙、万年筆との相性が良いという。

 非常事態の時に、
 はたして万年筆を取り出せるか、
 正直あまり自信がないが、
 気持ちとしては、むしろそうした時にこそ
 万年筆を取り出せる心の余裕を持っていたい。

 そこで、
 その時のために、
 この紙の万年筆での書き味を味わってみた。

 ペリカン M800の太字で書いてみると、
 確かに気持ちいい。

 この紙の持つ一枚一枚のソフトさを31枚重ねあわせることで、
 よりタップリとしたソフト感が生み出される。

 その上に万年筆のペン先をゆっくりと走らせると、
 上質なクッションの上のような気持ちよさに包まれる。


  


  


 インクのにじみはなく、ペン本来の太さの線が書ける。


  


 心なしかインクの乾きも一般の紙よりもいいような気もする。
 それこそエマージェンシーな事態の中で
 サッと乾くのはうれしい。

 裏面をめくってみると、先程書いた筆跡の後ろ姿が
 曇りガラス越しのように浮かぶ。


  


 透けているが、
 インクを裏面にまで通してはいない。

 つまり裏抜けはない。

 私の持っている万年筆と純正インクで試してみたが、
 モンブランのブルーだけは
 ほんのわずかに裏抜けらしきものがあったが、
 概ね良好だった。

 薄いのに懐が深いと言ったのはこのため。

 試しに裏面にも書いてみたが、
 表面のタッチや書き味に大きな差は感じられなかった

 どうやら表裏性のない紙のようだ。


□そうそう、それから
 この紙、
 鉛筆での書き味もいい。

 鉛筆はほぼどんな紙でも書けるので、
 とりたてて書き味ということをあまり意識しないが、
 これはいい。

 表面がややふさふさしているので、
 その凹凸に鉛筆の黒鉛が気持ちよく定着していく。

 鉛筆で書いていると実感できる紙である。


    


□「エマージェンシーメモ」ということで、
 普段は財布に入れておくことになる。

 カードサイズなのでカード用のポケットもしくは
 札入れに入れておくことができる。


  


 カードポケットに入れると、
 「MEMORANDUM CARD」の文字が顔を出す。


  


 あまりにもカードのように身を隠してしまうので、
 この目印は、便利かもしれない。

 財布だけでなく、名刺入れに入れてもOK。


  


 入っていることをうっかり忘れてしまうくらいのしっくり具合。

 実際にエマージェンシーの際に、
 書くとき時のために、
 裏面には多少厚めな台紙があるので
 立ったままの筆記も安心。


  


 一枚一枚のメモは便せんのように糊で綴じられており、
 書いたメモは、ピリピリと綺麗に切りとれる。

 この書いたメモをノートに貼り付けるもよし
 または、そのまま誰かにメモとして渡してもいい。

 私も実際に使ってみたが
 この紙ならではの楽しさを一つ見つけた。

 それはメモがお役目ご免となって
 ゴミ箱に捨てるときに丸める瞬間。


  


 「クシャ」といういい音がする。

 「クシャ」と表現したが、まさにその「クシャ」という音がする。

 「はい、一つの仕事が終わり!」という合図のようでもある。

 そうそう、Windows でデスクトップのゴミ箱を空にするとき、
 やはり、「クシャ」という音がする。

 私はその音が結構好きでいつも楽しみにしている。

 その音にもどことなく似ている。


□薄い半透明の紙、
 それでいて万年筆との相性も抜群。

 そして、丸めるときの「クシャ」という音。

 この「3点セット」、
 どこかで以前味わったことがあるような気がする。

 そうだ、
 以前に取り上げた「TSのエアメール便せん」だ。


    


 本棚からそのエアメール便せんを取り出して、
 それぞれの紙質を比べてみると、
 なんともよく似ていた。

 ひょっとすると、
 同じ紙なのかも知れない。


(2010年2月23日作成)



 *後日、デザインフィルの方にお聞きしたところによりますと
  TSのエアメール便せんもタイプライター用紙を使っているとのこと。

  どうやら、この2つは同じ紙だったようです。


 *今回のカードメモは一般的なメモやノートとはちょっと違う
   大人な雰囲気の表紙になっています。
   そのカラーと万年筆の組み合わせを考えてみました。

   こんな風に合わせるのも楽しいかもしれません。


  


  


  



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