文具で楽しいひととき
■ 「ラミー2000シルエットを感じさせる万年筆」
   ラミー ステュディオ 万年筆 マットステンレス 12,000円+Tax


 


□ラミーのペンは、
 新製品として売り出されたばかりの時より
 ある程度時間が経ったときの方が
 その良さが感じられる。

 これこそ「バウハウス」の考え方なのだろう。

 「バウハウス」には、
 流行を追わない、時間軸で考えない
 という考え方があるそうだ。

 2005年に発売されたラミー ステュディオを
 その9年後に
 急に欲しくなり買ってしまった。

 いつもなら欲しいと思っても
 少しばかりの検討期間をはさんで
 頭を冷やしてから
 それでもどうしても欲しいという場合に
 買うようにしている。

 しかし、
 今回の場合は、その頭を冷やす期間が
 とても短かった。

 もう、こうしてはいられない
 という状態になってしまったのだ。


□それには
 あるきっかけがあった。

 とある文具ショップのガラスケースの中で
 ラミー ステュディオの万年筆を見かけたのだ。

 それ自体
 べつに珍しいことでもなんでもない。

 そのラミーステュディオはキャップがはずされ
 尻軸に差した状態になっていた。

 ふつうはキャップを締めた状態が多いので
 その点は違っていた。

 そして、
 そのすぐ隣にはラミー2000の万年筆が
 先輩後輩が肩を並べるようにディスプレイされていた。

 やはり、こちらも
 キャップが尻軸にささった状態で。


 


 この2本のペンが並べられた姿に
 私はやられてしまった。

 そのシルエットの美しさに。

 ラミー2000は、
 万年筆でもシャープペンでもそうだが、
 後軸からペン先にいたるボディラインが
 一本で結ばれるように美しい。

 私がラミー2000を
 こよなく愛しているポイントだ。

 ラミー ステュディオ 万年筆も
 同じようにそのラインが実に美しかった。

 ひとつひとつのパーツ
 たとえば、クリップやペン先の形などは
 比べれば違っている。
 
 なのに
 こうして並べてみると
 内側から醸し出されるなにかが
 とても似ているのだ。

 以前、ドクター ラミー氏に
 インタビューをしたときに
 ラミーのペンはクリップの形がどれも違うのに
 ラミーらしさを感じるのはなぜですか?と聞いたことがある。

 ドクター ラミー氏は
 「中に貫かれている精神が同じだから」
 そう答えてくれた。

 まさにそれを感じた。

 ステュディオと言うと、
 プロペラのようなクリップばかりに
 これまで注目していたせいで、
 この全体のフォルムの美しさを
 すっかり見落としていたようだ。

 
□もうひとつやられてしまった点がある。

 それは、
 マットステンレスというボディ材質ならび仕上げだ。


 


 ステンレスボディに
 ヘアライン加工と呼ばれる
 まさに髪の毛ほどの細いラインが無数に施されている。


 


 ブラックとシルバーと色こそ違うが
 これもラミー2000とよく似た点だ。

 これは、
 現代版のラミー2000と呼んでも
 いいのではないだろうか、と
 私はガラスケースを腰かがめながら
 しみじみと見入ってしまった。

 値札を見れば、
 12,000円+Tax。

 これは意外と安いではないかと
 財布に手が行きそうになったが、
 その手を止めた。

 このマットステンレスボディタイプは、
 ペン先がステンレスなのだ。


 


 最近は、金ペンばかりを使っているので
 その点だけがとても気になる。

 ひとまず
 お店をあとにして頭を冷やすことにした。

 
□しかし、
 来る日も来る日もあの2本が並んだ
 美しさが頭から離れなかった。

 町でステンレス製の手すりを見れば思い出し、
 ラミー2000のシャープペンを見ては
 やはり思い出し、、という日々だった。

 思い悩んでいても仕方ないので
 気になるステンレスペン先を一度
 しっかりと試させてもらおうと
 行きつけの文具店に足を運んでみることにした。

 万が一のために
 1万円札と5千円札を一枚ずつ財布に忍ばせつつ。


□お店につくと
 ズラリとペンが並んだガラスケースの中でも
 すぐにラミー ステュディオと目があった。





 ラミー ステュディオの方も
 私のことを見ているような、そんな気がした。

 店員の方に
 試し書きのお願いをした。

 メラメラとした私の熱い気持ちとは裏腹に
 店員の方は、
 冷静に試し書きの準備をされる。


 


 私の喉の手は、
 いつでも飛び出せる準備を整えていた。

 「はいどうぞ」とラミーステュディオを差し出され、
 喉の手ではなく
 右手で受け取った。

 まず、意外だったのは
 メタルボディのわりに
 思っていたほど重くなかった。


 


 ラミー2000の万年筆よりも
 すこしばかり重いくらいだった。

 サラサラとした質感のマットステンレスの
 指触りを味わいつつ、
 紙の上でペン先を走らせた。


 


 ペン先が紙にあたった瞬間
 やっぱりそうか。。。と感じた。

 いつもの金ペンと違うタッチなのだ。

 ようは硬いのだ。

 私はそんなに筆圧は強い方ではない。

 だから
 金ペンのしなりは
 ふだんそれほど使っていないだろうと思いこんでいたが
 そうでもなかったようだ。

 こうして改めてステンレスペンで書いてみると
 しなりのない書き味にしっかりと違和感を覚える。

 ただ、硬さはあるものの
 ペン先はスムーズに走る。

 試し書きさせてもらったのはF(細字)。

 日頃、国産万年筆を使っている私には
 M(中字)に近い太さだった。

 これは、ノートに書くときに使いたいので
 買うならEF(極細)だなと、
 もう「買うつもり人間」に私は変身していた。

 考えてみれば、
 マットステンレスのボディと
 同じ材質のステンレスペン先というのも
 相性としてはいいじゃないかと
 無理矢理ないい訳が頭によぎった。

 店頭には
 あいにくEFの在庫がなかったので、
 スカラのEFで念のためラミーのEFの細さを確認して
 最終的に私は「買った人間」へと進化を遂げた。


 □数日後、
  取り寄せてもらったステュディオを受け取り
  早速、この原稿を書いている。


 


 満寿屋の原稿用紙は
 万年筆の筆跡が他の紙に比べて
 やや細めになる傾向がある。

 パイロットのFの筆跡と比べてみたら
 ほぼ同じくらいだった。


 


 ラミーのちょっと太めのEFもしっくり馴染む。

 また、ノート(スケッチブック)に書く時にも
 たまに手にしている。

 こちらは原稿用紙の時より
 やや太めの筆跡になる。

 うまい具合に私が普段よく使っている0.7mmシャープペンと
 同じくらいだった。

 会議の時にスケッチブックに色々と書き込むのに
 ちょうどよさそうさだ。


 

 


 書き味は少々硬めだが、
 久しぶりに
 ワクワクさせてくれる万年筆に出会えた。



■記事作成後記


 一応、ステュディオの特長でもある
 クリップのフォルムについても触れておきます。


 


 根元は平らになっていますが、
 クリップの先端に行くに従い、
 だんだんと縦になっていくのです。

 横だったものが縦になっているのですが
 その流れがあくまでも自然。

 よくよく観察してみると、
 これは一枚の板状のものを
 折り曲げてこの独特のフォルムを作り上げています。

 それがよくわかるのが先端の部分。

 折り曲げているので、
 ここだけは2重になっているのです。


 


 2枚重ねということは、
 そこだけ厚みが倍になる訳です。

 でも、
 全体の印象は全て同じ厚みに見えます。

 実は、根元の横のところは
 エッジが折れ曲がっていて
 厚みがあるように見せているのです。


 


 以前、ドクター ラミー氏から
 このステュディオのクリップ加工は
 とても難しいと聞いたことがあります。

 なるほど
 たしかにこれは相当に大変そうな
 複雑な作りこみをしています。

 それから
 よくよく見てみれば
 キャップをした姿もラミー2000とよく似ていました。


 

 
 


 (2015年2月3日作成)


 ■ ラミー ステュディオ 万年筆 マットステンレス(EF) は、こちらで販売されています。



 



  ■ Facebookページ はじめました。

    



* 関連コラム

 ■ 「ようやく手に入れた ラミー2000 万年筆」

 ■ 「使うほどにわかる計算しつくされたデザイン」 ラミー2000 ペンシル

 ■ 「私の愛用原稿用紙」 満寿屋 原稿用紙 102

 TOP   他の文具コラムを見る

 画像で文具コラムを探す


Copyright (C) 2003 Tadashi Tsuchihashi,All rights reserved.