2012.09.25(264)

「マニラフォルダー天国」

マニラフォルダー@マニラ

今年の夏はバカンスでフィリピンに行った。

我が家では、最近アジアへの関心が高まっている。中でも経済成長に勢いがあるアジアの国々。昨年の夏はマレーシアだった。アジアの成長というものを肌で感じ、それと共にバカンスも楽しむというのが我が家の家族旅行のメインテーマになりつつある。

それからもうひとつ理由がある。それは、ここ数年の日本の異常なほどの猛暑。テレビのニュースでは猛暑や熱中症について連日報道されている。私が子供の頃はなかったことだ。そんな中昨年、マレーシアに行って気づいたのだが、マレーシアの方が実はそれほど暑くなく意外と過ごしやすかった。

地理的には日本よりもずっと南にあり、東南アジアということで蒸し暑いというイメージがあったが、今や気候の勢力図が変化しているようで、日本の夏よりもずっと過ごしやすくなっている。つまり、東南アジアがちょっとした「避暑地」になっているという意外な事実。今回訪れたフィリピンもしかりで日本よりも過ごしやすかった。気温は、26°~30°くらいで日本の夏に比べたら断然体に優しい。湿度もそれほど高くなくなにより夜の寝苦しさというものがなく毎晩ぐっすりと眠ることができた。

ただひとつの難点は、クーラーがこれでもかと効きすぎているところ。ショッピングセンターやレストランなどに入ると、まるでスーパーマーケットの鮮魚売り場並に冷え冷えしている。防寒ならぬ、防冷対策が必要となる。さて、そうした今回のフィリピンバカンスはまずマニラからスタートした。

マニラと言えば、フィリピンの首都。いくつもの高層ビルがそびえ立ち、建設中のビルもあり、今、まさに勢いがあるということがそうしたビルの多さで実感できる。

マニラフォルダー

マレーシアのクアラルンプールでは、中心街に世界のブランドショップが軒を連ねていたが、ここマニラではまだそこまでではないようだった。それから、これはフィリピン、マレーシアに共通して感じたことだが、町中にはピストルを持ったガードマンがやけに多い。

たとえば、マニラの金融系の会社がたくさん入っているビルは、タクシーで車寄せに入る際に一台一台武装したガードマンに止められ、トランクを開けたり、車の底に爆弾などをしかけていなかを棒のついた鏡でチェックしていた。

ガードマンはピストルを腰に携えている人だけでなく、中には鉄兜にショットガンというものものしい出で立ちの人もいた。ビルに入る際も空港によくある金属探知機をひとりずつくぐりボディチェックも受ける。こうした、ボディチェックは金融ビルに限らず市内のちょっと大きなショッピングセンターに入る際も行われていた。

マニラフォルダー

はじめのうちは、そのものものしさに別になにも悪いことをしているわけではないのに
なんだかビクビクしてしまったが、数日もすれば、こちらもすっかりと慣れて、ガードマンと笑顔を交わすまでになった。

海外旅行と言えば、その国ならではの文具探しが私の大きな楽しみのひとつになっている。しかし、今回のフィリピンバカンスでは、あくまでもバカンスを中心に据え文具探しという点では、正直全く期待していなかった。

というのも、昨年訪れたマレーシアではそもそも文具店が少なく、あってもめぼしい文具が見つけられなかったので、きっとフィリピンも似たり寄ったりだろうとそう確信しきっていた。

そんな中、マニラでとあるショッピングセンターをブラブラと歩いていたら、「OFFICE WAREHOUSE」というショップに出くわした。きっと、昨年のマレーシアの時と同じであまり収穫はないだろうとそれこそ期待値ゼロモードで店内へと足を踏み入れてみた。

マニラフォルダー

店内にはビジネス系文具が中心でその他、各種事務用品、プリンター、PC周辺用品、そして携帯電話なども販売されていた。まぁ一応念のためチェックしておくかといつものやり方でまず店の左側の通路からクネクネと全ての通路を回ってみることにした。

一番はじめの通路はペン売り場。ボールペンがズラリと並んでいた。ドイツのシュナイダー、そして韓国メーカーが幅をきかせていた。こうして文具店に足を踏み入れると、私の「ノドの奥の手」はいつ飛び出していいように臨戦態勢にはいる。しかし、このペン売り場ではノドから手が出てくるということはなく、このペン売り場では、終始、ノドの手は引っ込んだままだった。

唯一、ノドの手が反応を示したのは、コーリン鉛筆。これはおそらく日本では売っていないものだろうと2Bを一本だけ買うことにした。

マニラフォルダー@マニラ

ふつう日本での鉛筆売り場は、硬度ごとに分けてディスプレイされているものだが、ここでは、一カ所にドサッとまとめて入れられていた。なので、2Bが欲しい私はまるでくじ引きみたいに何回も鉛筆を取り出して硬度を確認しなくてはならなかった。

となりの通路には事務用の糊、テープ、付箋などがあった。ここでは、ノドから手は一度も出てこなかった。まぁ、こんなものかと最後の通路を足早に通りすぎようとした。そこはファイル売り場になっていた。

■ マニラでマニラフォルダーを買う

と、ここでこれまですっかりおとなしくなっていた「ノドの奥の手」がムクムクと反応しはじめた。ファイル売り場の棚三台分という結構なスペースを使い「マニラフォルダー」が並んでいたのだ。そうだ、ここはマニラなんだから「マニラフォルダー」があるのは当たり前じゃないか。なんでそんな簡単なことに気づかなかったのだろう。

その売り場にはおそらく近くの会社で働いている女性が小脇に書類を挟み込んだマニラフォルダーを抱えて品定めをしていた。これぞ本場で正しい「マニラフォルダー」の使い方ではないかと思わず興奮してしまった。日本で書類をちょっとファイルしておく時は「クリアフォルダー」を使うが、ここマニラでは、「マニラフォルダー」がそれにあたる。

■ マニラフォルダーには色んな種類がある

きっとフィリピンのオフィスでは、空気みたいに当たり前な存在なのだろう。売り場を改めてみてみると、一口に「マニラフォルダー」といっても色々な種類があることに驚かされる。私が日本で愛用しているクリーム色をしたものからはじめて見るものとして横幅が長いタイプというのもあった。後日、現地の人に聞いたら、この横長タイプはリーガルパッド用とのことだった。確かにフィリピンの文具売り場では少し長いリーガルパッドというものがあった。

さらにマニラフォルダー売り場をひと棚ずつ丹念に見ていった。次に目にとまったのが、茶色のクラフトタイプ。これぞ昔よく見ていたアメリカ映画のオフィスシーンで登場していたマニラフォルダーの色に近い。私が日頃使っているSMEADのものと比べるとその色の違いは一目瞭然。

マニラフォルダー@マニラ

マニラフォルダー@マニラ

色だけでなく、紙質も別物。どことなく段ボールのような質感。こうした茶色がかったクラフト調だと気になるのはマニラフォルダーのしなやかさだ。

マニラフォルダー@マニラ

やはりマニラフォルダーはクニャクニャとしていないといけない。店頭で少し遠慮しがちにクニャクニャと曲げてみると、まずまずの「クニャクニャ」具合だった。

マニラフォルダー@マニラ

ちなみに私がしなやかさを求めるのは、中に入れた書類ごとパラパラとめくることができるためだ。日本の「個別ホルダー」があまり好きではないのは、このしなやかさに欠けるため。そのためどうしても書類の「閲覧」というよりも「保存」が中心になってしまう。これは私のマニラフォルダーライフを楽しくしてくれそうと思い、6枚ほど買うことにした。

次に見つけたのが、白いマニラフォルダーになぜかビニールのカバーがついているタイプ。私はグリーンを買ったが、ほかにピンクやイエローなどもあった。

SONY DSCマニラフォルダー@マニラ

マニラフォルダー@マニラ

マニラフォルダーはインデックスで書類を識別するが、きっとこれはカバーの色そのものでカテゴリー分けするのだろう。これも後日、現地の方に聞いたところによると、フィリピンはホコリっぽく、雨もよく降るので、フォルダーを汚さないためのカバーらしい。つまり、アウトドア仕様という訳だ。

■ カラフルなマニラフォルダー

マニラフォルダー@マニラ

そして、次の棚にはカラータイプもあった。ただ、このカラーフォルダーでやや気になったのは、その紙質。これはコート紙のようなものが使われていて、質感的にやや高級感がある。

マニラフォルダー@マニラ

マニラフォルダーとしてはその分しなやかさに欠ける。マニラフォルダーならではのちょっとザラついた紙質でこうしたカラータイプがあればいいのにと不満を感じつつも一応レッドとホワイトを数枚ずつ購入してみることにした。

マニラフォルダー@マニラ

マニラフォルダー@マニラ

気になる値段だが、改めてレシートと現物をチェックしてみたが、レシートの明細にはどれも「FOLDER」としかなく、どれがどれやら区別がつかない。大体ひとつ4ペソ、つまり、8円くらいのようだった。こうしたおみやげものというのは買ってみて成功したと感じる時とちょっと失敗したかなという時もある。

それに気づくのは大体において日本に帰ってから。今回、私は買ったばかりのマニラフォルダーを帰国を待たずにフィリピン滞在中から使ってみた。ちょうど買ったばかりのおもちゃを家まで我慢できずに電車の中で開けてしまう子供のように。。

今回のフィリピンバカンスは3週間ほどと結構長く、バカンスだけでなく仕事もする予定にしていたので、その仕事の中で、本場のマニラフォルダーを次の滞在先であるセブのホテルで使ってみた。選んだのは、あの茶色のマニラフォルダー。しかかり原稿をこのマニラフォルダーにはさみホテルのプールサイドにおもむきマニラフォルダーを下敷き代わりにして、原稿チェックを行ってみた。

マニラフォルダー

実際に使ってみると、これがすこぶるいい。

マニラフォルダー@マニラ

フォルダーのしなやかさはこれまで使ってきたクリーム色よりもやや上かもしれない。店頭でフォルダーを試し曲げしたときには気づかなかった。やっぱり実際にお金を払って買い、しっかりと自分のものにした上で普段の自分の生活の中に一度じっくりと落とし込んでみないことには本当の意味でのその文具の使い心地というものはなかなかわからないものだ。

あまりの使い心地のよさに今更だが、この茶色タイプをもっと、それこそ20~30枚くらい買っておけばよかったと悔やまれた。

セブのショッピングモールで文具店を探してみたが、残念ながらそもそも文具店自体がなかった。ショッピングモールに入っているちょっとしたデパートのようなところで、おもちゃ売り場の隣にある文具売り場をチェックしてみた。

すると、あるではないか、マニラフォルダーが!マニラフォルダーはフィリピンの人たちにとってきっと欠かすことのできないステーショナリー アイテムなのだろう。ここで茶色タイプを3パック(計30枚)を買った。

マニラフォルダー@マニラ
【すでに1パックは封を切って使ってしまったので、写真は2パックです。。】

当面、日本で使う分は確保することができた。フィリピンでは、こうしたマニラフォルダーは本当に一般的なものらしくこの売り場の中でも棚二つも使って並べられていた。ここでもちょっと面白いものを見つけてしまった。それは、カラーのマニラフォルダー。この前のカラーのものは、紙質がちょっとツヤツヤとしてしなりに欠けたが、これは、本来のマニラフォルダーらしい紙質になっている。

マニラフォルダー

思っていたとおりしなり具合も上々。

マニラフォルダー@マニラ

今回のバカンスでは、ゼブにあるマクタン島というところにも滞在した。セブの中でもリゾート色が強いエリアだ。リゾートホテルのレストランは味のわりに値段が高いので我が家では、ほぼ毎晩タクシーで町中に繰り出し夕食をとっていた。

ところで、フィリピン料理と言えばこれ!という代表的なものがすぐさま思い浮かぶという人はいるだろうか。かくいう私もまったく未知の料理だった。実際、現地のフィリピンレストランを訪ねてみると、同じアジアということでフライドライス(チャーハンみたいなもの)や焼きそば、焼き鳥みたいなものなど私たち日本人でもすんなりと馴染めるものばかりだった。

ただ、フィリピン料理ならではの特徴として、少しばかり味付けが甘いというのがある。しかし、これとて日本料理で砂糖をよく使うことを考えれば日本人の舌にはむしろ合うように感じた。いつもの海外滞在中だと途中で現地料理に飽きて、中華や和食を食べることがあるが、今回は、ほぼフィリピン料理で通すことができた。日本にあまりフィリピン料理店がないがもっと出来てもいいのにと思ってしまった。

さて、ショッピングセンターの中に入っているレストランに行った際には念のため文具売り場も見るようにした。家族から「またマニラフォルダー見るの?」「もうさんざん買ったからいいんじゃないの?」と言われつつ、「これは仕事なの!」と言って必ず見るようにした。

そうは言ってみたもののこれまですでに定番のクラフト調のものからカラータイプ、そしてカバーの付いたものまでかなりの種類、それこそマニラフォルダー専門ショップがオープンできるくらい手に入れたのでもうさすがにこれ以上はないだろうと、うすうす感じてはいた。

■ PP製のマニラフォルダー

そう思っていたのだが、いやいやさすがフィリピン、さらにユニークなものがあった。それは、クリアフォルダーのようなPP系の素材のタイプ。

マニラフォルダー@マニラ

当然クニャクニャとよくしなる。ただ紙製ではないのでインデックスに直接書き込めない。ならばと、マニラフォルダーそのものの色でカテゴリー分けしてしまおう。

マニラフォルダー@マニラ

ということで信号の3色も購入。安全、注意、危険と色で区別するころができる。

マニラフォルダー@マニラ

この売り場には定番のクラフト調のマニラフォルダーもあった。

マニラフォルダー@マニラ

以前買ったクラフト調のものとくらべると色というよりも紙の質感が違う。さらに一段階ザラザラとしている。

マニラフォルダー@マニラ
【上がここで買ったざら紙系のマニラフォルダー】

とまぁこのような感じで私はいたるところでマニラフォルダーを買ってきた。フィリピンはまさに「マニラフォルダー天国」だった。

マニラフォルダー@マニラ

日本でもどこかの商社が本腰をいれてこうした様々なマニラフォルダーを扱ってくれないだろうか。日本でいまひとつマニラフォルダーが普及しないのは日本ではクリアフォルダーが幅を効かせているからなのだろう。マニラフォルダーは書類をはさむだけというシンプルな構造なので、書類が落ちやすいという面がある。一方、「クリアフォルダー」は2辺がガードされているので落ちにくい。

この点が基本で重要視されているように思う。ならば、書類がすべり落ちないマニラフォルダーというものをどこかのメーカーが日本文具メーカーの持ち前の開発力で作ってつくれないだろうか。

そのときのネーミングは「マニラフォルダー」ではなく、「ジャパンホルダー」というのがいいと思う。もし、そのプロジェクトがどこかのメーカーで発足したらぜひ参加したい。

■ 記事作成後記

マニラフォルダーだけでなく同じような紙を使った封筒も買ってきました。

マニラフォルダー@マニラ

*関連リンク
「マニラフォルダー」がどうしてそんなに使いやすいかは以下のコラムをお読みいただくとおわかりになると思います。
「やっぱり使いやすいマニラフォルダー」
「とりあえず+美しくファイル」ヤマサキデザインワークスペーパーフォルダー タント
「封筒兼ファイル」オキナ タント封筒

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