文具で楽しいひととき
■ 「ノートとバインダーの中間的存在」 SUPER BINDING NOTEBOOK 1,050円


 


□私は文具を買う時は、
 それを何に使うかをハッキリと意識した上で
 手に入れるようにしている。

 いわば「大儀名分」。

 大好きな万年筆を一本一本買っていく時にも、
 これは原稿を書くためのもの、
 これは校正用、ノート用、一筆箋用と、
 こと細かに分けている。

 とは言っても、
 たまに、その万年筆がどうしても欲しくて仕方なく、
 ある意味で無理やり
 その理由を考えたこともなくはない。

 その文具とじっくりと向き合うのには
 用途を明確に決めて、
 つき合っていくのも
 決して悪いことではない。


□今回、これを買う時、
 その「大義名分」がさっぱり思いつかなかった。

 というのも、
 これはノートとバインダーを
 足して二で割ったようなものだったため。

 ノートであれば、
 ○○用ノートとその用途も考えやすいが、
 ノートとバインダーとなると、
 どう使っていいか皆目見当がつかない。


□これを見かけたのは吉祥寺のサブロさん。

 店頭でこの商品を手にして、
 正面から見たり裏返したりして、
 しばらく店頭で見つめ続けていた。

 私としては、ほんの10秒くらいだったつもりだが、
 きっと3分くらいはずっと見続けていたかもしれない。

 ずっとそればかり見続けていると、
 変に思われてはいけないので、
 一旦手を離して
 隣のコーナーに移動して、
 クリップあたりを手に取ったりして頭を冷やし、
 再びまた手にするというのを
 たぶん2、3回くらい繰り返していたと思う。

 今考えると、
 ノートとクリップを繰り返し
 見続けるその動きも
 十分に変だ。

 いつもなら気になる文具があれば、
 「大義名分」がすぐに思いつくのに、
 今回ばかりは全く思いつかない。

 けど、
 これは買っておくべきだという
 天の啓示みたいなものにつき動かされ、
 右手右足を一緒に動かしながら
 ギクシャクとレジへと歩いていった。

 ひょっとして、
 用途が思いつかずに
 本棚の肥やしになってしまわないか。

 いや、しかし
 あとで欲しくなって
 また吉祥寺にくる時間とお金を考えたら
 1,050円は、一往復分の交通費なので
 今ここで判断すべきだと、
 用途ではなく、全然違う大義名分をひねりだして
 ひとまず買ってみることにした。

 そして、
 帰りの電車の中で
 車窓を流れる景色を見るとはなしに
 ぼんやりと眺めていて、
 その文具の用途、
 つまり、こんどは本当の「大義名分」が
 ふと思いついた。

 それは「外出校正」。


□改めて、
 今回の商品をご紹介すると
 「 SUPER BINDING NOTEBOOK 」という。


 


 ノートのようでバインダーのようでもあると申し上げたが、
 商品名でも、
 まさにその二つをつなげたものになっている。

 サイズは A 5サイズ。


 


 私が「大義名分」を一旦棚に上げてまでして、
 これは欲しい!と
 実は思ったのがこの表紙の素材。


 


 表面には細かな凹凸があり、
 ちょっとザラザラとした独特ない指触りがある。

 紙とファブリックの中間のような感じだ。

 どうやら、
 この商品の作り手の方は、
 とにかく「中間的」というのが好きらしい。。

 画用紙くらいの厚みがあるが、
 硬さはなく、しなやかさに富んでいる。

 クニャクニャと曲げても、
 紙のように折れ曲がってしまうこともない。

 表紙にある「SBN」は、
 商品名の「SUPER BINDING NOTEBOOK」の頭文字。

 その表紙の右側に
 白い輪ゴムがクルリと巻かれている。


 


 これを右側にずらすと
 表紙が広げられるようになる。


 


 広げると中には、
 もうひとつ「返し」みたいなものが付いている。


 


 それを観音開きのように広げると、
 この商品をいかに使っていくかのマニュアルページがある。


 


 文章などはなく
 イラストと単語だけというシンプルな構成。


 


 いくつかの使い方が紹介されているが、
 一番最後に、
 一言「 NO RULES」とある。

 つまり、
 使い方に決まりはなく、
 あなた次第ということだ。

 これをお店で見て、
 私はいきなり下駄を預けられた感じがして、
 どうしていいのかわからなくなってしまった。

 
□このマニュアル以外は無地のノートが続いている。


 


 と言っても、
 ページ数はそれほど多くなく40ページ。

 もう一つの主役であるバインダーはいずこに…。

 それは、
 このノートの綴じ部分が担っている。


 


 ノートは3本の輪ゴムだけでとめられている。

 バインダーとして使う際は
 ここの輪ゴムに挟みこんでいく。

 マニュアルでは、
 ここにレシートやポストカードやチラシなどを
 挟んでおくといいとある。

 確かに A5サイズの見開き、
 つまりは A 4サイズなので、
 大方の紙類は対応可能という訳だ。

 私がまずはじめに思いついたのは、
 出張の時のレシート管理にいいかもしれないと思った。

 しかし、
 そうした用途は他のアイテムでも
 十分対応可能だ。
 
 つまり、
 わざわざこれを使うという感じでもない。

 もっとこれにピッタリと合った、
 それこそ、
 この「SBN」にしかできないというくらいの
 カチッとはまる使い方はないだろうか。

 そう考えてる中で
 思いついたのが先程の「外出校正」。


□「外出校正」とは、
 文字どおり外出中に
 しかかりの原稿の校正を行うというものだ。

 私はこの作業を
 移動中の電車の中で行うことが多い。

 これまでは、
 そうしたしかかり原稿を収納している
 ポスタルコのリーガルエンベロープを
 移動中デスク代わりとして、
 その上で校正をしていた。


 


 これはこれでとても快適でいいのだが、
 一つ気になるのが
 席に座って校正作業にいそしんでいると、
 隣の人や前に立っている人から
 丸見えになってしまうこと。

 さすがに、
 これはちょっと気になる。

 まわりの視線を気にしながらの校正は
 正直あまりはかどらない。

 この人の目を気にせずという点で、
 今回の「SBN」は都合がいい。

 私は原稿をいつも A4を50%縮小して
 割り付け印刷をしている。

 これを「SBN」のゴムバンドで留めると、
 校正原稿が、まるで一冊のノートのようになる。


 


 リーガルエンベロープの時のように、
 ベタと広げずノートの広げ具合一つで、
 横そして前の人の視線を遮ることができる。

 特に、
 右側には「返し」があるので
 右方向の視線ブロックにも役立つ。

 ただ
 この使い方には、
 ひとつ欠点がある。

 それはページのめくり方が
 ちょっと特殊なこと。

 1ページ、2ページは
 一番上に見開きなっているのでいいが、
 今問題は3ページ目以降だ。

 3ページ目を見る場合は、
 1ページ目のうしろをめくる。


 


 4ページ目は2ページ目のうしろとなっていく。


 


 いつもと違うめくり方になってしまう。
 
 しかし、
 そもそもがそんなに大量なページ数が
 あるわけでもないので、
 大きな問題ではない。

 表紙の程よい厚み、
 そして予め綴じ込まれているノートが
 程よい台となって、
 手に持ったままでも、
 校正用の万年筆を快適に走らせることができる。


 


 これがいいのは、
 端からは、あくまで
 ノートになにかを書き込んでいる人という感じになって、
 電車の中で校正をしていても
 あまり目立つことがないところ。


 


 校正に夢中になって電車を降りる駅になったら、
 「返し」の部分にあるマチに
 校正ペンをサッとセットすることもできる。


 


 本当はノートをノートとして、
 つまり
 何かを書くという使い方もしたいところだ。

 「外出校正」では、
 厚みを増すという役割にとどめているのは
 やや残念な気もする。

 ちなみに、
 このノートも私の校正原稿同様
 ゴムバンドに挟んでいるだけなので、
 もし書き終わったら
 A4のコピー用紙をセットすれば末長く使うことができる。

 考えようによっては、
 今流行のスキャンを前提としたノートとして、
 割り切った使い方なんかもいいかもしれない。

 ここに日々ノートとして書いていき、
 書き終わったらゴムバンドから外して、
 そのままスキャンしてデジタル化してしまうというものだ。

 そもそも A 4の紙なのでスキャンもしやすい。

 ま、いずれにしても
 私は当面「外出用校正」に特化して
 使っていこうと思う。

 だがそこは
 「NO RULES」なので、
 いつでもフレキシブルに用途が変えられるのも
 この「SBN」 のいいところだ。 


 


 (2012年4月17日作成)


  ■私はこのSUPER BINDING NOTEBOOKをサブロさんで買いました。





□ 関連リンク

 ■ 「校正専用として買った万年筆」 パイロット カスタム742 万年筆

 ■ 「書類の持ち運びが快適になる」 ポスタルコ リーガルエンベロープ

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