文具で楽しいひととき
■ 「日々作られる味わい深さ」 PH   A4ドキュメントファイル  1,470円
                          レターファイル     1,050円


 


□先日、エリック・クラプトンが演奏している映像を見た。

 使いこまれたブラックのギターからは、
 深みのある音が繰り広げられていた。

 そのギターのネックには
 これまでたくさんの曲を演奏してきたのだろう
 指を抑えたあとがほどよく刻みこまれていた。

 それを見て
 道具が使い手とまるで溶け込むように密接な関係を作り、
 とても輝いているのをすごく感じた。

 道具が一番美しい姿であると思う。

 このドキュメントファイルも、
 そんな美しい姿が深まっていく予感がすごくしてくる。


□ハイタイドがパピエラボとコラボして作り上げた
 ステーショナリーブランド、PH(ペーハー)。

 パピエラボは活版印刷の良さを見直し、
 様々なステーショナリーをつくり出している。

 その活版印刷の技術と
 ハイタイドのデザイン性を活かしたノートなどを
 これまで作り上げてきた。

 ちなみに「PH」 というブランド名は、
 2社の頭文字をとって付けたもの。

 「ペーパー」に似た語感があり、
 両社の特徴をよく表しているネーミングである。

 この PHから
 2月中旬頃に発売される予定のドキュメントファイル。


 


 展示会で一目ぼれしてしまった。

 素材には、「芯材紙(しんざいし)」という、
 ちょと聞き慣れないものが使われている。


 


 名前こそ聞き慣れないが、
 実は私たちの生活では、馴染み深いもの。

 これは洋服によく使われるもので、
 たとえば、帽子やジャケットの内側に入れてハリを出すためのいわゆる芯材。

 縫製もできる紙で、
 とても強度があるのが特徴。

 紙の一種ということだが、
 これまであまり出会ったことのない感触だ。

 これは紙というより、むしろ布のようだ。

 これまで洋服の内側に収まっていて、
 表にはあまり出ていなかったので、
 特に新鮮に感じられるのかもしれない。


 


 ドキュメントファイルを手にしてみると、
 まずザラザラとした質感が伝わってくる。


  


 そして次に、「しっとり」、「ひんやり」が、続けざまにやってくる。

 
□このPHには、すでにノートとメモがあり、
 この芯材紙が使われ
 そこには活版印刷がされている。

 当初このファイルも、
 同じように活版で作成することを検討したいう。

 しかしながら
 展開時の寸法も大きくこのサイズでの版が作れないことと、
 ムラなく印刷をしたいことから、今回はオフセット印刷を選択したそうだ。

 オフセットと言っても
 そこは、PH
 年代物の印刷機を使い、
 職人さんが付きっきりになって、
 インクの量、印圧、スピードを調整しながら行い、
 見事に味わい深い質感を作りだしている。

 印刷というと、
 いかにも作り上げられたという雰囲気になりがちだが、
 これにはそういうところが全くない。

 あくまでも自然さというものはそこには漂っている。

 この独特な質感に合わせ、
 ハトメの留め具もこだわりに溢れている。


 

 


 アルミ製になっていて、
 芯材紙のマットな質感と実にピッタリ。

 さりげなく「PH」と刻印されている。

 そして、
 それを固定する紐がロウ引きされたものが使われている。

 こちらもやはり、しっとりとした触り心地。

 新品なのにどこかビンテージ的な印象がある。

 ハトメということでいえば、
 私はポスタルコのリーガルエンベロープを
 かれこれ5年くらい愛用している。

 日々何度となく紐を縛る、そして解くというの繰り返しているので、
 このハトメというのには、個人的にはちょっとうるさい。

 ハトメにおいて、
 とっても大切なのは留め具が
 ほんのわずかだけ持ち上がっているということ。

 ここが下地にピッタリとくっついてしまっては
 紐を巻くときに、すき間が狭くてとてもやりづらい。

 紐を留め具の下に滑り込ませるように、
 かなり慎重に行わなくてはならなくなる。

 その点この PH は留め具が1mmちょっと上に取り付けられている。


 


 実際に紐を巻き付けてみたが、
 まずまずの巻き心地。

 ちょっとやりづらいと感じる時は、
 ドキュメントファイルごと少しばかり折り曲げて、
 留め具の下のスキ間を大きくしてあげるという手もある。

 柔軟性があるので、
 こうしてことも出来てしまう。


 


 この紐の巻き方だが、
 いろいろと試してみて、
 このPH の場合は、こうした方がヒモの長さをうまく使え、
 それでいて巻き姿も美しくなるというやり方がある。

 それはまず交差に結びつけ、
 そのあと留め具の外周にクルリと一周させ、
 最後に上の留め具を半周くらい巻くというもの。


 


 こうすると、斜めの線と直線がうまい具合に組み合わさって
 何とも美しい姿となる。


□さて、ここで紐を解き、
 中を分けてみよう。

 いわゆる袋状のスタイルではなく、
 十字状に広がるスタイルとなる。


 


 机の上で広げると、
 まるで風呂敷を広げたような状態になる。

 内側は白いままであり、ここでようやく紙であったのか、
 少しばかり実感できる。

 A 4サイズを入れても余裕しゃくしゃくといたちょっと大きめなサイズ。


  


 クリアフォルダーやマニラフォルダーあたりもOK。


  


 私は、これまで袋スタイルのものを使ってきたので、
 こうした完全に広がってしまうタイプは、
 果たして使いやすいのだろうかとちょっと心配していた。

 机の上ならこうして広がっても大丈夫だが、
 問題は手持ちのまま中の書類を出すという時。

 実際に試してみたが、
 それほど困るということもなかった。

 手に持ったまま上ぶたを広げても、
 中の書類は両端が固定されているので、
 そう簡単に落ちたりはしない。


 


 慣れれば、特に問題はなさそうだ。

 このスタイルならではのメリットもある。

 留め具をしっかりととめたままでも
 横から覗きこめば、中にどんな書類が入っているかが
 わかってしまう。

 これは袋状のものでは、
 ちょっとできないことだ。


 


 
□このケースには、
 A 4サイズの他にレターファイルという小ぶりなタイプもある。


 


 レターというようにハガキや封筒あたりも入ってしまう程よいサイズ。

 使い方としては、
 封筒、一筆箋、ハガキなど、
 手紙にまつわるものを一式入れておくにピッタリ。


 


 ビジネスシーンでは、
 出張の時にこれを持っていって、
 各種領収書や出張でもらった名刺などを
 入れておくのにもちょうどよさそう。


□さて冒頭で申し上げた通り、
 このケースには使い込むことで、
 出会える美しさというものがある。

 使い込んでいくことで、
 芯材紙にはシワや折り目がタップリと刻みこまれていく。


 


 先程も触れた通り、
 この素材は非常に強度があるので、
 こうしてクシャクシャになった状態でも使用上全く問題がない。

 むしろ程よく柔らかくなって使いやすいくらいだ。


 


 さらに留め具のアルミも次第に変色していくという。

 新品の時と比べると、
 私は断然この使い込んだ方に惹かれる。

 木や革が次第に美しくなるというのは知っていたが、
 紙でもこんな美しさが味わえるとは思いもよらなかった。

 鞄に入れてしまうのではなく、
 常に手に持ちこの味を日々作り、そして楽しみたいと思う。


 


(2011年2月8日作成)
 

  ■ PH ドキュメントファイルはこちらで販売されています。





 PH(ペーハー)サイト

 ■ハイタイドサイト

 ■パピエラボサイト




□ 関連リンク

 ■ 「やっぱり使いやすいマニラフォルダー」

 ■ 「書類の持ち運びが快適になる」 ポスタルコ リーガルエンベロープ

 ■ 「とりあえず何でも入れたくなる間仕切りファイル」  ライツ社 パートファイル


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