文具で楽しいひととき

■ その132 「ジウジアーロデザインの椅子の比較」 岡村製作所 バロン VS コンテッサ


  岡村製作所 バロン Baron


□以前、このコラムでもご紹介したことのある岡村製作所のコンテッサ。

 ジウジアーロデザインの美しさと快適な座り心地を併せ持つ
 シーティングマシーンである。

 もう、かれこれ2年ほど愛用しているが、その魅力は色あせることなく
 私の中でいまだにお気に入りの椅子として君臨し続けている。

 そんな私の幸せそうな座り姿を見ていた妻が、
 仕事場で使う椅子を新調したいと言いだし、
 夫婦で色々と検討した結果、
 コンテッサの弟分にあたるバロンというモデルを買うことにした。

 そこで、今回は
 ジウジアーロの2種類の椅子を色々な角度から比較をしてみたいと思う。


  岡村製作所 バロン Baron
         左: バロン 、 右:コンテッサ


□まず、デザイン面から見てみよう。

 2脚ともに共通しているのは、
 後姿がうっとりしてしまう程の美しさがあるということだ。

 コンテッサのトレードマークにもなっている
 背もたれから座面につながる美しいラインは
 バロンにもしっかりと受け継がれている。


  岡村製作所 バロン Baron  岡村製作所 コンテッサ
          バロン                        コンテッサ


 ただ、ちょっと違うのは
 コンテッサはメインフレームでその美しさを形作っているのに対し、
 バロンでは、背もたれ自体の形状で表現している。


  岡村製作所 バロン Baron


 なので、コンテッサ程のグラマラスさはなく、
 シンプルでスッキリとしたという印象がある。


□次に座り心地を比べてみると、
 ちょっとした違いが感じられた。

 それは、体のホールド感。

 コンテッサの方が体を包みこんでくれているというフィーリングが
 やや勝っているようだった。


  岡村製作所 バロン Baron
        奥:バロン 、 手前:コンテッサ


 特に、座面については、それが顕著に表れていた。
 2つの座面のサイズを比べてみると、
 奥行はバロンの方が3cmほど短くなっていた。

 わずか3cmくらいではあるが、
 この差は座り心地に如実に表れてくる。
 身長180cmの大柄な私が座ると、
 太ももの裏側が少しばかり座面からはみ出てしまう。

 しかし、小柄な妻に言わせると、
 バロンくらいの方がちょうどいいと言っていたので、
 体の大きさや好みによるものが大きいと思う。

 
□そして、これは人が座っているのをみて
 気づいたのだが、
 座り姿がシャキッとして見えるということがあった。
 
 それは、先ほどの背もたれから座面につながる独特なフォルムにより、
 そう見えているようだ。

 どういうことかと言うと、
 人は、姿勢を正して椅子に座る時に、背筋を弓なり状にそらすことが多い。
 コンテッサにしろ、バロンにしろ、その腰の部分がすでに、弓なり状になっているので、
 普通に腰を掛けてたとしても、あたかもビシッと背筋を伸ばしたように見えてくるのだ。

 椅子単体での美しさだけでなく、
 座り姿まで意識してデザインしているとは、恐れ入った。


  岡村製作所 バロン Baron  
       左: バロン 、 右:コンテッサ


□お次は機能面での比較。

 いずれも座面の上下・前後やリクライニングの調整はバロンもできるようになっている。

 しかし、コンテッサでは、アームレストの下についているレバーで操作できるのに対し、
 バロンは座面の下に操作系が集中している。


  岡村製作所 バロン Baron
        奥:バロン 、 手前:コンテッサ


 こういう調整は、一度決めてしまったら、そんなのしょっちゅう変えるものでもないので、
 それほど気になることもないと思う。


□こう比較してみると、値段もそれなりにお高いコンテッサの方が
 何かと優れている点が多いようだ。

 しかし、
 実は、ひとつだけコンテッサユーザーの私でも
 これはやられた!とバロン打ち負かされてしまった事があった。

 コンテッサユーザーとしては正直かなり悔しいことだった。

 それは、ヘッドレストである。

 コンテッサもバロンもヘッドレストはオプションで付けられるようになっている。


  岡村製作所 バロン Baron
       左: バロン 、 右:コンテッサ


 コンテッサは、おにぎりを逆さまにしたような形をしており、
 とってつけた感というものがそこはかとなく漂っている。

 どことなく、
 歯医者さんで治療をしてもらう時に頭をのせるタイプにも
 似ている。


  岡村製作所 コンテッサ


 一方のバロン君ときたら、
 背もたれの幅をそのまま活かして横幅たっぷりのヘッドレストになっている。
 これはもうヘッドレストというよりかは枕と言った方がいいかも知れない。


  岡村製作所 バロン Baron


 しかも、とってつけた感は微塵もなく、悔しいけど完全に椅子と一体化している。
 
 そして、この頭ののせ心地ときたら、これまた悔しいのだ。

 やはり、おにぎりと枕とでは、当然のせ心地は違ってくる。


  岡村製作所 バロン Baron
         左: バロン 、 右:コンテッサ


 コンテッサのおにぎりタイプは、
 正しく座った状態でそのまま頭をまかせる分にはさほど問題はないが、
 すこしでも頭がずれると、不安定さが付きまとう。

 その点、バロン君は枕なので、
 寝返りを打つように頭を右に左に移動してもしっかりと受け止めてくれる。

 なので、 椅子で昼寝をするときの寝像が悪いという人は、
 バロンをお選びになった方がいいかも知れない。

 ちなみに、コンテッサにこのバロンのヘッドレストをつければと思うところだが、
 それは、残念ながらできないようになっている。


□以上のようにそれぞれには長所と短所があった訳だが、
 それを踏まえ、

 私は、仕事をする時は体のホールド感に優れたコンテッサを使い、
 ちょっと一休みで昼寝や読書をするときは、
 頭のホールド感に優れたバロンを妻に内緒で使うようにしている。

 バロンのリクライニングをばっちりと効かせて、頭をこのヘッドレストにまかせていると、
 今度は、フットレストが無性に欲しくなってきてしまった。


  岡村製作所 バロン Baron


(2007年6月5日作成)

■ 各種バロンは、こちらで販売されています。

■ バロンはこちらで手に入ります。

■ こちらでも手に入ります。





□ 関連リンク

  ■ 「ジウジアーロデザインの椅子」 岡村製作所 コンテッサ


 TOP   他の文具コラムを見る

 画像で文具コラムを探す


Copyright (C) 2003 Tadashi Tsuchihashi,All rights reserved.