文具で楽しいひととき
■ 「シャープペンの字幅を使い分ける」


 


□ボールペンの場合は
 ノートに書く時は0.7mm の中字、
 手帳に書く時は0.5mm の細字という具合に、
 結構多くの人が
 別段意識することなく使い分けているように思う。

 でもシャーペンの場合はどうだろうか。

 ノートも手帳も
 0.5mm 一辺倒ではないだろうか。

 かく言う私も以前は
 0.5mm 一辺倒派に所属するメンバーの一人だった。

 しかし、
 ある時ノートに0.5mm シャーペンで書いていて
 違和感を覚えたことがあった。

 それはまだ
 私が
 横罫線ノートを使っていた頃にさかのぼる。

 たしかその時は、
 何か企画のアイデアを練っていた。

 罫線と罫線の間に頭に浮かんだキーワードを、
 うん、このアイデアはなかなかいいかもと
 思いつつ書きとめていた。

 しかし、
 なかなかいいと思っていたアイデアなのに、
 いざノートに書きこんでみると、
 あまりいいように感じられなくなっていた。

 なんでだろう?

 その時、はたと気づいたのが
 0.5mm のシャープペンでノートに書き込んでいると、
 自分の書いた筆跡とノートの罫線が
 ほぼ同じ太さになっていたのだ。


 


 それはそれで
 収まりが良くてキレイには見えた。

 だけど主張してくるものがない。

 罫線と罫線の間に
 私の書いた文字が
 すっかりと溶けこんでいってしまっているのを
 すごく感じた。

 さっきいいと思っていたキーワードが
 書いてみると、あまりいいと感じなかったのは、
 きっとこの罫線と自分の筆跡が
 同じだったからなのではないだろうか。

 そう気づいたのだ。

 そこで
 少し太めの0.7mm シャープペンで書いてみると、
 0.5mm の時より自分が書いたものが
 罫線より少しばかり際立って見えた。


 


□人は目に見えているものに反応して、
 それが元になって次の行動をとる
 ということがある。

 たとえば、
 何か書いている時に、
 一文字目がすごくキレイに書けたとする。

 すると、
 その次の文字はその流れに乗って
 キレイに書き続けられる。

 逆にきたない文字になってしまった時は
 ずっときたないまま。

 アイデアだって同じなんだと思う。

 主張のあるアイデアを
 ノートに書き込めこむことができれば、
 ウンなかなかいいぞ!と気分もそれなりに盛り上がって
 次にもまたいいアイデアが生まれてくるように私は思う。

 というきっかけがあって以来、
 私はノートには0.7mm シャーペンを
 使うと心に決め実践している。

 私が使っている0.7mm シャープペンは
 以下のとおり。

 ラミー2000(0.7mm タイプは日本未輸入タイプ)
 ラミー イコン
 ラミー CP 1
 ぺんてるグラフ1000
 ラミー スクリブル
 ぺんてるケリー(0.7mm タイプは海外輸出仕様)
 カランダッシュ エクリドール
 カヴェコ スペシャルペンシル


 


□一方、手帳に書く時は0.5mm と決めている。

 私の使っている A 6 マンスリーダイアリーは、
 1日の記入スペースが少ないので、
 より細い方が書きやすいためだ。

 0.3mm という選択肢もあるが、
 私のお気に入りのラミー2000ペンシルには0.3mm がないので
 今は0.5mm としている。


 


□また、
 0.9mm シャープペンを手にする時というのもある。

 それは取材をする時だ。

 私は本などの取材では
 基本的に
 ボイスレコーダーはほとんど使っていない。

 ノートにメモを取るということだけに徹している。

 一期一会という訳でもないが、
 その場で観たり聞いたりしたことを、
 その場で記し、翌日に原稿としてまとめている。

 この方がライブ感のある
 原稿が書けそうな気がするので。

 なので、
 取材はある意味一発勝負。

 ががっと殴り書きのように書いていくので、
 どうしてもある程度芯先が太くないと
 安心して書いていけない。

 0.9mm だとそれがちょうど良い。

 今、私がよく使っている
 取材用の0.9mmシャープペンは、
 ぺんてるグラフ1000とプラチナ万年筆のプレスマン。


 


□用途にあわせたシャープペンを手にし、
 ノックボタンをカチカチとノックして
 芯を出していくと、
 なんだか自分自身のスイッチまで
 今はアイデア発想モードであるとか、
 取材モードといった具合に
 切り替わっていくのを感じる。


 


 (2013年5月28日作成)


 ■ ラミー2000 ペンシル0.7mmは、こちらで販売されています。

 ■ ぺんてる グラフ1000 0.7mm


 ■ ラミー2000 ペンシル0.5mm


 ■ プラチナ万年筆 プレスマン

 ■ ぺんてる グラフ1000 0.9mm




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