文具で楽しいひととき

■ その25 「勝負万年筆」 モンブラン マイスターシュテュック 146


 モンブラン マイスターシュテュック 万年筆 146


□「男の三種の神器」というものがある。

 腕時計、万年筆、ライターの3つ、
 昔は腕時計はオメガ、
 万年筆はパーカー、ライターはロンソンだったが、
 今はロレックス、モンブラン、ダンヒルらしい。

 私はタバコはやらないので、ライターには縁がないが、
 腕時計と万年筆は大好きだ。

 腕時計はオメガ派で、
 万年筆はここぞという時にはモンブランを取り出す。

 ここぞというのは、ワープロでタイプアップしたレターの締めくくりに
 直筆の署名をする。といった場面や、ちょっとあらたまった時の手紙。
 重要な会議や商談の時などである。


□今回ご紹介するのは、そんなここぞという時に私が使っている
 モンブランの万年筆マイスターシュテュック146。

 モンブランと言えば、トレードマークの「ホワイトスター」がある。
 これは山の頂上に雪が積もったイメージのデザインである。


 モンブラン マイスターシュテュック 万年筆 146



 ペン先にある「4810」の数字はヨーロッパ最高峰の
 モンブランの標高を表わしている。
 
 ちなみに、日本のプラチナ萬年筆のペン先には「3776」とある。

 以前、同社の方にお聞きしたところ、
 日本一の万年筆という想いをこめて、
 富士山の標高を入れているという。(あっぱれだ)


 モンブラン マイスターシュテュック 万年筆 146


□話はモンブランに戻って、
 私はこのマイスターシュテュックを
 入社して数年で購入した。

 まだ20代だったが、
 一生ものとして永く使えるものをと思い
 それなら、
 早くから良いものを購入して自分で使い倒して
 ミドルエイジになった時に、
 自分も万年筆もいい味が出ていればいいなぁ
 と思ったからだ。

 ペン先はMを選んだ。
 146は程よい太さの軸が特徴だが、
 その太さにはやはりペン先もある程度太くないと
 なんとなくバランスが悪いような気がした。

 146の上には149というさらに太軸があるが、
 シャツのポケットに入れたりする
 携帯性を考えると私の場合146がちょうどよかった。
 
 私の146は、
 はじめから書きやすかったわけではなく、
 購入したての頃は、
 なんて書きづらいんだと思ったことも実はある。

 その後も要所要所で使い続けて、
 しばらくすると、
 万年筆が私の書き癖を把握してくれたようで
 滑るようにヌメヌメと書けるようになってきた。

 車で言うところ慣らし運転が終わったというところだろう。

 何でもそうだが、おろしたての道具を使い続けて、
 自分の体の一部にするという行為は道具好きの私にとって
 至福の作業となる。


 モンブラン マイスターシュテュック 万年筆 146


【ちょっと長い追記】

□このコラムを書いてから
 11年の月日が経過した。


 


 改めて
 今、感じる146のインプレッションを少々。

 ここ最近
 146の出番は実のところ減ってきていた。

 別に146が気に入らないという訳ではない。

 ただ
 この時期私の手に
 パイロットやペリカンなどがしっくりときていた。

 他の万年筆を使い続けて
 ふと、146を久しぶりに手にして書いてみた。


 


 すると以前よりも
 書きやすく感じられるようになった。

 引き出しで休んでいた146が
 熟成した訳ではない。

 むしろ
 熟成したのは私の方かもしれない。

 「やっぱり146っていいな〜」と
 しみじみと感じた。


 


 具体的に言葉にはしづらいが。。。

 ペン先のスムースさであったり
 密度の詰まった樹脂製ボディ、
 キャップを尻軸にセットして
 握った時のホッとするバランスの良さなどなど。。

 安心の書き味がある。

 それから
 これもあるかもしれない。

 以前はモンブランに対して
 私の方が少し遠慮していたところが
 あったかもしれない。

 それが
 今はしょせんは「道具」と
 割り切ってつきあえるようになった。

 それが146と私の距離を
 数センチだけ縮めてくれたのかもしれない。


□私の146は
 手に入れてから
 かれこれ現在20年くらいが経っている。

 現在私は48歳。

 中身は別として
 年齢だけ見ればミドルエイジだ。

 当初、自分も146もミドルエイジになって
 いい感じになっているのだろうと期待したが、
 確かにそれはあったのかもしれない。

 30年後はまた
 違った印象になるのだろう。

 インクだけを入れ続けて
 ペン先もボディもずっと同じという万年筆は
 他の筆記具と違って
 時の流れをタップリと味わえるというのを再認識した。


 2004年5月4日作成 
 2015年9月25日追記作成


 ■モンブラン 146 万年筆






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