2019.07.09(435)

「ボディパーツのカラーが選べる万年筆」

伊東屋

マイマイティ

伊東屋 マイマイティ 万年筆

先日と言っても5月のことになるが、銀座 伊東屋さんの横浜元町で「使う万年筆 土橋正の場合」と題したトークイベントでお話させていただいた。当日は持っている万年筆を全部持ってきてくださいと伊東屋さんから頼まれた。自宅や事務所などあちこちに点在していたものを集めてみると、その数およそ40本。現段階(まだ増えていく気がする)での私の万年筆人生をこうして目の当たりにしてみると色々なことが思い出されてくる。赤いラミーサファリから本格的に私の万年筆人生がスタートし、モンブランの164、146と続いていき、様々な万年筆と共に万年筆人生を歩んできた。それぞれいつどんな時に入手したものかといった当時のことも思い出すことができる。

銀座伊東屋 横浜元町

万年筆人生

トークイベントは3Fの万年筆がズラリと並んだ売り場で行われた。その一角には、銀座 伊東屋 横浜元町だけのオリジナル万年筆がある。「マイマイティ」だ。これはご縁だと感じ1本迎え入れることにした。そして、私の「万年筆人生」はまたひとつ厚みを増した。

トークイベント 銀座・伊東屋 横浜元町「使う万年筆 土橋正の場合」

■ 自分で選ぶという楽しさ

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋のオリジナルペンと言えば、「ロメオ」が有名。実はほぼ同じ頃「マイティ」という万年筆もあったという。細みのボディの実用的モデルという位置づけだったそうだ。その「マイティ」をベースにして横浜元町のオープン後に登場したのが、この「マイマイティ」。最大の特徴は、ボディパーツが8種類に分かれ、自由に選んでその場で組み立ててもらえるというものなのだ。

特にボディパーツはキャップの天冠、キャップ、首軸、胴軸、尻軸、そしてその手前のリングに分かれる。それぞれに8色もある。それに加え金属パーツのクリップ、ペン先なども数種類から選ぶことができる。選択肢はおよそ430万通りもあるそうだ。それらを前にどれにしようと迷ってしまう。そんな私たちの気持ちを伊東屋さんはすっかり先回りしていて、パーツのシミュレーションをできるようにしてくれている。それぞれのパーツがカラーパレットで用意されている。それらを木枠のくぼみにまるでパズルでもするようにはめこんでいく。そして、その上から万年筆フォルムのフレームをかぶせると、自分が選んだ完成イメージを万年筆スタイルのフォルムの中で見ることができる。気が利いているのは、キャップを付けた状態と外した状態の両方をチェックできるようフレームが別に用意されているところだ。

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

■ 私が選んだ仕様

伊東屋 マイマイティ 万年筆

売り場には、たとえばこんな組み合わせができますよ、といくつかの参考モデルがディスプレイされている。へーこんな色の合わせ方もアリなんだと思わせてくれるものがいくつも並んでいる。私も早速選んでみた。まずベースとなる色を決める。直感でグッときたブルーグレーに決めた。そしてアクセントカラーとしてキャップの天冠、尻軸リングだけはグリーンにしてみた。ちょっとクラシカルな雰囲気漂うカラーリングになった。

対応いただいた店員さんから、キャップを外した首軸だけを違う色にされるのもいいですよ、とアドバイス頂いた。せっかく色が楽しめるのにシンプル好きな私はほとんど色を使わなかったので、もったいないと思われたのかもしれない。なるほどそれはいいと、私は全く違うベージュのマーブルを首軸にした。そして金属パーツのクリップとペン先はシルバーにしてセレクト完了。

「マイマイティ」コーナーの壁には小さな引き出しがわんさとある。そこにひとつひとつのパーツが入っている。私が選らんだパーツリストを手に店員さんがその引き出しから該当のパーツをひとつひとつ取り出していく。パーツが全て揃い、いざ組み立てという直前に店員さんが持ち手にマステを巻いた爪楊枝を取り出した。見ているとボンドをプレートに上に出していく。ペン先とペン芯を合わせたユニットを首軸に取り付ける際、爪楊枝をヘラ代わりにしてボンドで固定していた(その他いくつかのパーツ組立にもボンドは使われていた)。書いてくうちにずれてしまう恐れがあるので、こうしてしっかりと固定していくのだそうだ。次々に組み立てられ、ものの15分ほどで万年筆の形になっていった。ちなみにボンドが完全に固まるまでおよそ半日ほど待ってからインクを入れるのがよいという。

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

■ カクテルインクデビュー

今やインク花盛り。様々な限定インクが次々に登場している。私はその盛り上がりから一歩身を引いて眺めている。というのも私は純正インク派。使う万年筆の純正ブルーを入れることを基本としている。なので、限定インクの類はこれまでほとんど試したことがなかった。銀座 伊東屋 横浜元町では、カクテルインクというサービスを提供している。自分で色を選んで調合してもらうのではなく、あらかじめ用意されたインクカラーがいくつもあり、それを作るためにその場でインクを調合してくれるというものだ。

伊東屋 カクテルインク ムーンレスナイト

伊東屋 横浜元町 カクテルインク

ある意味でこれも純正と言える訳でもあるし、トライさせてもらうことにした。私が選んだインクカラーは「ムーンレスナイト」。月のない夜という名のとおり、かなり濃いめのブルーで少しグレーも感じられる独特な色合い。私が選んだ「マイマイティ」のブルーグレーボディともよく似合っている。

伊東屋 カクテルインク ムーンレスナイト

伊東屋 マイマイティ 万年筆

■ 書き味インプレッション

伊東屋 マイマイティ 万年筆

クリップをクルクルと外すと狙いどおり首軸がほどよく主張する。さぁ書こうとした時にアレ?と思った。いつもはキャップを尻軸にさすが、「マイマイティ」はメインボディが結構長め。ささなくても十分な長さがある。逆にさすと少々長すぎてしまう。よし、これはささないで書くことにしよう。

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆クリップの先端はリング状になっていて持ち上げるとクルクルと回転する

伊東屋 マイマイティ 万年筆天冠にはマイマイティの「M」の刻印

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆メインボディで比べると、ペリカンM800より少し長いくらいだった

紙の上でペン先を走らせてみる。私が選んだのはFだったが、とてもスムースに紙の上を進んでいく。スチールペン先ではあるが、わずかながらしなりも味わえる。もうひとつ発見だったのは、この細軸ボディが妙に手にしっくりとくることだった。普段よく使っている万年筆はパイロットのカスタム823やペリカンM800などやや太軸系が多い。それに比べるとこの細軸はかなり新鮮だった。でも手になじむ感覚が確かにあった。さてこれは、どうしてだろうと思ってしまった。たぶんこういうことかもという心当たりがあった。この軸の細さはふだん使っているシャープペンに近いものがある。さすがにシャープペンより少し太いが軽快さに共通点がある。

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆細軸万年筆に開眼してしまった



落ち着いたカラー、そしてそれに合わせたインクカラー。キャップをささない軽快さ、そして細軸と新たな楽しさを色々と気付かせてくれる一本となった。いつもと同じ万年筆を使い続けるのも良いが、たまには違う路線を攻めてみるのもいいものだと思った。私は所有している万年筆を大まかに分けている。それは筆記スピードによる分け方だ。ゆったり書くスローライティングと原稿など殴り書きでもするように書いていくスピードライティングである。今回の「マイマイティ」は、そうしたスローライティングとスピードライティングでいくと、ちょうど真ん中くらいの「ミディアムライティング」にちょうどよいように感じた。そうした場面で使っていこうと思う。

伊東屋 マイマイティ 万年筆

伊東屋 マイマイティ 万年筆 カクテルインク ムーンレスナイト

銀座 伊東屋 横浜元町 オリジナル「マイマイティ」万年筆 私の選んだものは8,550円+Tax
カクテルインク「ムーンレスナイト」1,600円+Tax

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