2016.02.02(348)

「ペンホルダーのようなペンケース」

カンダミサコ

ペンシース

カンダミサコ ペンシース

「ペンホルダー」と「ペンケース」の違いはどこにあるのか。

なんとなくの定義だが、ペンホルダーは何かにくっついているという印象がある。たとえば、手帳カバーだったりバッグのポケットだったり。そして、ホルダーという言葉が表すように筒状のスペースにスルスルとセットしていくというイメージもある。一方ペンケースは、何かに付属されていることはなく、それ単体でしっかりと自立している。

その意味でいうと、これはペンホルダー的にスルスルと入れるのだが、なにかに付属されている訳でもなく、あくまでも単体だ。ペンホルダーのようでもあり、ペンケース的でもある。

カンダミサコ ペンシース

■ カンダミサコさんによる「ペンシース」

「シース」とは「さや」という意味、「さや」とは刀を入れる筒のことだ。なるほど「ペンシース」は、このアイテムをうまいこと表現している。一本だけ入れる点もそうだ。厚みはあるが、フワフワとしたやわらかさに富んだレザーが使われている。両端は斜めにカットされ、台形を逆さにしたようなフォルム。

■ ただの筒抜けではない

カンダミサコ ペンシース

片側からのぞいて見ると、向こう側が見える筒抜け。ペンを収納するアイテムとしてはかなり斬新だ。これで果たしてペンをちゃんとホールドできるのだろうか。入れたはいいが反対側からスルスルと出てきてしまわないだろうか。

しかし、その心配には及ばなかった。これは大変に意味ある筒抜けになっていた。内側をさらに目を凝らしてじっと見てみると、縫い目の部分になにかある。ペンシースのフォルムを25%縮小コピーかけたような、同じフォルムをしたものがちょこんと付いている。

カンダミサコ ペンシース

これは、クリップホルダーだ。ここにペンのクリップをさしこんでいく。つまり、このペンシースはペンをスルスルと筒にさし込むと同時に、クリップも専用の筒にさし込んでいくのだ。つまり、2重のホールド。これなら筒抜けでも安心だ。

■ クリップにあわせてセットできる

そのクリップホルダーの取り付け位置が左右で微妙に違う。ロゴのある側はクリップホルダーが少々奥にあり、反対側は手前に付いている。そもそもペンのクリップの取り付け一は全て同じではない。たとえば、ラミー ステュディオはキャップの先端ギリギリからクリップが付いている。パイロット カスタム823あたりだと少し下からクリップが付いている。

カンダミサコ ペンシース

このクリップの位置にあわせて、差し込む側を選んでいく。

■ 結構太軸ボディもOK

いくつかの太軸系の万年筆で試してみた。ペリカン M800はグリップがギリギリから出ているので、左側から入れていく。ロングボディをすっかりと収めてくれる。

カンダミサコ ペンシース

カンダミサコ ペンシース

カンダミサコ ペンシース

ラミー2000 万年筆もクリップはギリギリタイプなので左側からセット。余裕しゃくしゃくで飲み込まれる。

カンダミサコ ペンシース

カンダミサコ ペンシース

パイロットカスタム 823は、クリップが少し下から付いているので、右側からセット。尻軸がわずかに出てしまう。ちなみに、パイロットの場合だとクリップの先端に玉があるのでクリップホルダーにさし込む際に少々きつい印象があったが、入れられない訳ではない。

カンダミサコ ペンシース

カンダミサコ ペンシース

ラミー ステュディオ 万年筆は、左側から。

カンダミサコ ペンシース

カンダミサコ ペンシース

■ 押し出して取り出す

こうしたペンケースからあペンを取り出す時は、ふつうペンの頭(キャップ側)から引き出すものだ。しかし、これは逆から行う。ペンの頭から引き出すこともできなくもないが、ペンの後側から押し込んで、ペン先を出す方がやりやすい。

カンダミサコ ペンシース

■ 一本さしペンシースを使うシーンとは?

いつもは4本の万年筆を入れるペンケースを持ち歩いている。この1本ざしペンシースはいつ使ったらいいだろうか。つまり、万年筆を一本だけ持って行くというシーンだ。私の場合で言えば、出張の時がある。展示会取材出張の時は、取材した翌朝(5:20)に起床してホテルの部屋で前日にインプットしたことを万年筆を手にして原稿用紙のマス目に向かう。

その時のために万年筆を1本だけ携えていく。ここ数年その用途でよく使っているのがパイロット カスタム743 ウェバリー。それをこのペンシースに入れて、次回の出張に臨もうと思っている。

カンダミサコ ペンシース

私は、このカンダミサコ ペンシースをPen & Messageさんで手に入れました。 3,000円+Tax

■追記
その後、カンダミサコさんのカートリッジケースを購入した。1月に代官山蔦谷書店で開催された展示会「ステーショナリー マーケット」に神戸の「Pen and message」さんが出店していて、そこで入手した。

カンダミサコ カートリッジケース

これも出張用に最適だ。普段はコンバーターでボトルインクを吸入しているが、さすがに出張先にボトルインクを持っていけない。出張の時だけはいったんコンバーターは外してカートリッジを使っている。海外展示会取材ともなると、1日で原稿用紙10〜20枚くらい書くことがあるので、カートリッジも数本必要となる。これまではカートリッジをゴムバンドで束ねていたが、ちゃんとしたケースに入れたいな〜と思っていた。

カンダミサコ カートリッジケース

このカートリッジインクケースはまさに、その用途にピッタリである。パイロットのカートリッジインクが3本入る。万年筆に1本セットしてけば4本を持っていけることになる。これだけあれば大丈夫だ。このカートリッジケースも一緒に次の出張から使ってみようと思う。

カンダミサコ カートリッジケース

カンダミサコさんのカートリッジケース

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