2009.09.29(189)

「やわらかいノート」

ジークエンス

360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

リング綴じのノートは、クルリとノートを折り返して半分のサイズになり、しかも紙面もフラットになる。この点を気に入って、リングノートを愛用している人も多いと思う。一方の、綴じノートは、ページ数が少ないノートであればリングノートのように折り返すこともできるが、ぶ厚くなってしまうと、この折り返しが結構つらい。

そんな常識を覆してくれるノートがこのほど発売された。ジークエンスの360ノートである。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

私が買ったのは L サイズと呼ばれるもので、おおよそ A5サイズくらいのもの。この他、Mサイズ、Sサイズもあった。カラーバリエーションはブラックとレッドの2色。私は迷うことなくレッドを選んだ。このレッド、鮮やかな中にもやや落ち着いた色合いになっていて、これくらいであれば仕事で使っても大丈夫だと思ったから。

表紙はおそらく合成皮革ではないかと思う。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

最近の合皮は全く油断がならない。昔は合皮と言えば、合皮らしい雰囲気というものがどれにもあったものだ。しかし最近のものは、どんどん本革に近づいている。このジークエンスのカバーは、横から見ると、ごくごく薄いシート状であるのに、ノートの上に手のひらをのせた時のタッチがとてもソフトで心地よい。この合皮カバーは完全にノートに張りあわせられていて、どこまでも一体化されている。

■ 分厚いノートに便利なしおり

表紙には、商品の簡単な説明が書かれたラベルがちょこんとある。他のノートと同じように、いざノートを使う時には取り払って捨ててしまおうと思ったのだが、これは違うようだ。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

一見、表紙に貼られているようだが、実は違っていて、クリップのように挟み込まれている。しかも、内側にはマグネットが付いている。ということで、これはしおりとしても使える。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

本や手帳にはしおりはつきものだが、ことノートとなると、とたんにしおりが姿を消してしまう。特に、今回のようにこれだけ分厚いノートを使う上ではしおりの存在は助かる。

外観のご説明はこれくらいにして使い心地に移ってみよう。とっても薄い合皮カバーということで、表紙に親指をかけ、めくろうとした時、とてもしなやかにめくれる

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

このソフトさ、表紙を開いているというよりかはページの一枚をめくっているというくらいのものである。このソフトさこそ、このノートの最大の特徴。今度はノートもろとも折り曲げてみる。

■ 柔軟性抜群

すると中の紙がペコペコとしなる音を立てながら盛大に折れ曲がっていく。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

次にノートを開いてみよう。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

さすがに、完全にフラットになるとまではいかないが、この開きのよさは綴じノート、しかもこれだけぶ厚い中では、かなりいい方である。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

4mm方眼の紙面は、どのページを開いても、綴じ込み側の4mm のマス目がキッチリと見えるようになっている。一般的には、ノートの真ん中あたりのページは綴じ込みのそれこそノド元まで開くものだが、はじめのページや最後の方だとその見開き性はやや悪くなることがある。

■ どのページの気持ちよく開く

しかし、このジークエンスではそうしたことはない。どのページでもノド元まで気持ちよく開いてくれる。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

これならノートのどこのページを使ってもA5サイズいっぱいいっぱいまで使うことができる。

■ 完全に折り返せる

そして、いよいよこのノートの最大の見せ場。リングノートのようにノートを半分に折り返す。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

すると、ノートは少しも苦しさを見せずに気持ちよさそうにクルリと折り返せる。一般ににこれだけぶ厚いノートを折りかえそうとすると、ちょうど運動不足気味の私のように途中までいくと、急に固くなったりするものだが、これはそうしたことは全くない。

その様子を横から見てみると、背表紙が完全に折れ曲がり、ピッタリとお互い同士がくっつき合っているのがわかる。すごい柔軟性だ。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

先ほどのページの開きもそうだったがこの折り返しも、どのページでもへっちゃら。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

先程、ノートの表紙がとてもソフトと申し上げたが、背表紙にいたるまでそのやわらかさは貫かれている。まさに360°折り返せる。これが、商品名の「360」ということなのだろう。

よくよく見てみると、このやわらかさは表紙のソフトさだけのせいではなさそうだ。綴じ込み部分を見てみると、そこには一切の隙間もない。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

一般のノートや手帳だと、背表紙の内側に綴じ込み部分があり、そこには隙間があるものだ。しかし、これは背表紙の内側にノートが直接綴じ込まれている。綴じ込まれているというよりも、貼り付けられているといった感じだ。この一体感により、あのやわらかさを生み出しているのだろう。

■ 年輪のような小口

この綴じならではの面白いもの見つけた。ノートの小口をやや斜め上の方から眺めてみると、そこには、まるで木の年輪のような模様が見える。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

これは、とりもなおさず先程のノートの綴じが背表紙から隙間なく綴じられているためだ。背表紙は緩やかなカーブを描いていてそのカーブがノートの小口までしっかりと現れている。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

なかなかの作りのよさに感心してしまった。

では、ここでいつものように万年筆の筆記テストを行ってみよう。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

あくまでも私が試した範囲でしかないが、 あまり万年筆との相性は良いとは言えない結果となってしまった。ぎりぎりセーフだったものはラミーのブルーくらいなもので、それ以外は、筆跡にわずかのにじみ、そして、裏ヌケもやや見られた。

一方、ゲルインクでは、ぺんてるのエナージェルやスリッチではOK だった。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンス 360ノート Lサイズ

これはボールペンやシャープペンを中心にして使っていった方がよさそうだ。柔軟性に富んだ今回のジークエンス360ノート。

外観が手帳風ではあるが、これはノートとして、割り切ってガシガシと折り返すなどして使うのが、似合うと思う。完全に折り返せるので立ったままの筆記にもよさそうだ。

ジークエンス 360ノート Lサイズ

ジークエンスの各種ノーは、こちらで販売されています。

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