文具で楽しいひととき
■ 「ジェットエース 第5世代」 ダイゴー ジェットエース


 


□私たちが日々行っている
 「書く」という行動。

 これを場所別に考えてみる。

 まず、机の上で書くという場面がある。

 この時は、
 私はノートや原稿用紙に向かうことが多い。

 そしてもう一つは、
 その机がない時だ。

 この時の私の「書く」を
 一切合切受けとめてくれているのが、
 小さな手帳のジェットエースだ。

 電車に乗ってる時、犬の散歩をしている時、
 ソファーに座ってテレビを見ている時、
 そしてスポーツクラブで走ってる時などなど、
 ジェットエースの出番は日々の生活の中で結構たくさんある。

 外出する時
 携帯電話を忘れても家に戻ったりしないが、
 もし、ジェットエースを忘れたら
 いちもくさんに戻るだろう。

 ところで、
 この「いちもくさん」という言葉。

 私のイメージでは、
 やや体を後に傾けて(垂直よりもやや後ぎみ)
 膝を必要以上にあげて走っているというスタイルが頭に浮かぶ。

 速く走るという点では、
 全く非効率な動き。

 急いでいるけど、
 慌てて後傾姿勢になっているイメージだ。

 話が脱線してしまったが、
 まっ、それくらい
 私にとって慌てて取りに帰るものなのである。

 そのジェットエースも使い続けて
 今は、
 18冊目を迎えている。


 


 毎回ご覧なっている方は、
 またジェットエースな話か…と思われることだろう。

 いや私だって、もうジェットエースのことを
 ここで書くことはないだろうと思っていた。

 何しろ今回で5回目なのだから。

 でも、
 今使ってるスタイルが
 この前の第4世代とかなり違うものになってしまっている。

 ここはちゃんとみなさんにご説明しておいた方がいいのではと思い、
 第5世代としてお話をしてみたいと思う。

 たぶんこれが本当の最後だと思うので、
 おつき合いいただけたらうれしいです。


□第5世代。

 それは……
 と、もったいぶって言うことでもないが、
 実は、素のままのままのジェットエースとして使っている。


 


 すなわち、
 ペンは結局標準で付いている鉛筆に戻り、
 表紙に貼り付けていたパーマセルテープもやめて、
 基本そのままというものだ。

 まず、
 鉛筆からご説明させていただきたい。

 これまで伊東屋の手帳用ボールペンから始まり、
 オートのルーク万年筆、
 そしてフィッシャースペースペンのリフィルと
 いくつものペンが代わる代わる
 ジェットエースのペンホルダーを
 通り過ぎていった。

 ある日、
 ジェットエースを買って
 付属されている鉛筆を取り外す作業を行っていた。

 なんとはなしに
 いっちょこの鉛筆で書いてみるかと
 試してみると、
 これがとても滑らかだった。


 


 そもそも私が付属の鉛筆を使うのやめた理由は、
 芯が H くらい薄く、書き味も硬いものだったので、
 その書き味がどうしても馴染めなかったからだった。

 しかし、
 改めて書いてみると、
 これは B くらいの柔らかさ、
 そして濃い書き味になっていた。


 


 後日、メーカーのダイゴーさんにお聞きしてみると、
 付属している鉛筆の芯の硬度には
 多少ばらつきがあったとのことだった。

 私が初めて使ったものが
 そのばらつきの中でややH によっていたということなんだろう。

 おかげで
 様々なペン選びの旅を楽しませてもらうことになった。


□鉛筆がB並に柔らかいということは
 芯の減りが早いということでもある。

 実はダイゴーからは、
 このジェットエースなどの細い鉛筆専用の
 小さな鉛筆削りが販売されている。


 


 これを使えば
 キリリとした書き味が楽しめる。


 
    左がジェットエース1冊を使った鉛筆、右側が新品の鉛筆

 
 短くなった鉛筆を手にすると、自分がガリバーにでもなったかのような気分になる


□そしてもう一つ表紙について。

 これまでずっと
 パーマセルテープを表紙に貼っていた。

 こうすると手触りも少しザラザラとして、
 見た目にも革っぽくなって
 格好よくなる。

 その点では大いに満足していたのだが、
 一つ問題があった。

 私は常時4〜5冊のジェットエースを
 ストック用に買い置きしている。

 それらはいつ出番が来てもいいように
 予め表紙にはパーマセルテープを貼っていた。

 そしてある時、
 そのストックからいざ使おうと取り出した時、
 驚いたことに表紙がクニャクニャと反り返ってしまっていたのだ。


 
  これは、そのパーマセルテープをはがしたところ。反り返りはご覧のとおり。


 どうやらパーマセルテープが伸縮したせいで、
 こうなってしまったのだろう。

 格好よくしようと思ってやったのに
 表紙が反り返ってしまっていては話ならない。

 仕方なくそれ以降は
 パーマセルテープを貼るのはやめにした。

 ただ、
 個人的に「 Jetace 」というロゴは
 ブラックアウトしたかったので、
 油性マーカーで消させもらった。


 


 つまり、
 鉛筆もそのまま、
 表紙にマーカーで塗っただけというのが
 第5世代という訳だ。

 しかし、
 これまでやってきた試行錯誤は
 決して無駄ではなった。

 色々なペンを使ってみてやっぱり鉛筆がいい、
 表紙も
 やっぱりそのままの方が使いやすいと、
 今は心の底から思えるようになった。

 もっとこうだったらいいのにと、
 何か不満を感じながら使うのではなく、
 色々な経験をしたゆえに、
 今は
 これでいいんだという
 潔い心もちで使えるようになっている。

 こういう心境になれないと
 落ち着いてメモも書いていられない。


□実は第5世代には
 ちょっとしたおまけの話がある。

 昨年末のとある忘年会で、
 ダイゴーの商品企画の方とお話する機会があった。

 その方は
 私がかねてよりジェットエースをこねくりまわすように、
 色々とカスタマイズしてるのほほえましく見ていてくれたようだった。

 いい機会とばかりに
 ジェットエースに求めることを
 私なりに色々とお話をさせていただいた。

 一番のポイントは、
 表紙の素材を
 もう少し上質な質感にして欲しいということだった。


□後日、
 私の仕事場に一つの小包が届いた。

 開けると
 数冊のジェットエースらしきものが入っていた。

 サイズはジェットエースと同じだが、
 表紙の質感が全然違う。


 


 表紙にはやや艶やかさがある。


 


 どうやら
 これは P U (ポリウレタン)のようだ。

 手にした時のクッション感のある
 優しい質感は格別。

 そして
 小口には豪華な金箔まで施してあるではないか。


 


 同封されていた手紙によると、
 工場で PU を使って試しに作ってみたので、
 使って欲しいとのことだ。

 今度はダイゴーさんが
 カスタマイズをしてくれた訳だ。

 現在、このPU版ジェットエースを
 実際の生活の中で
 ズボンの後ポケットに常に入れて使用している。


 


 上質なカバーの触り心地、
 ページを開く度見える金の小口など
 使い心地は上々だ。

 この金箔小口のおかげで、
 1ページ1ページがシャキッとした
 ハリが生まれているようにも感じる。

 このPU特別版を使っていて
 気づいたことがある。

 それは
 鉛筆のさし心地がとても快適になったということだった。

 付属の鉛筆のエンドには
 ねじのような突起がある。


 


 ペンホルダーにセットする際、
 この突起があることによって、
 ホルダーにピタリと固定できるようになるのだ。

 柔らかいPUが
 鉛筆の突起を優しく受けとめてくれる。


 


□この PU 版ジェットエースを
 もし実際に販売するとしたら、
 1,000円くらいにはなってしまうという。

 通常盤は473円なので、
 およそ倍だ。

 しかし、
 冒頭でも触れたが、
 机のないところでメモをとるという場面は
 日々結構ある。

 そうした何気なく書きとめたメモが、
 後々になって大きなビジネスを
 生み出すということもあるものだ。

 そう考えれば、
 1,000円は決して高くない。

 私は喜んで払うと思う。


 



(2013年7月9日作成)


  ■ 通常のダイゴー ジェットエースは、こちらで販売されています。


 



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