■「カチカチと芯が出てくる芯ホルダー」
UCHIDA DRAWING HOLDER S
682円
UCHIDAのロゴマークを見て、私が真っ先に思い出すのが灰色のいかにも重そうな事務机。
かれこれ15年も前になるが、新卒で入社した会社でこの机を使っていた。
席替えが結構あって、当時、若手(今はそう呼ばれない)だった私はこの事務机をもって運ぶ仕事をよく任命されたものだ。
ずっしりと手にのしかかるその重みは今もしっかりと私の手が覚えている。
いきつけの文具屋さんで久しぶりに「UCHIDA」のマークを見てとても懐かしい思いがした。
手には、あの時感じた重さが一瞬よみがえった。まるでパブロフの条件反射のようだ。
UCHIDAのマークがついているそのペンを手にしてみると、今度は、当然軽かった。
今回ご紹介するのはUCHIDAさんの芯ホルダー。
この芯ホルダーの最大の特徴は、カチカチとノックをすると芯が出てくるところ。
「そんなの珍しくないよ」とあちらこちらから聞こえてきそうだが、芯ホルダーと言えば、ノックを押すと芯がスルスルと滑り出てくるもの。
「カチカチと出てくるなら、シャープペンと同じだよ。」とこれまた聞こえてきそうだが、シャープペンは0.5mmを中心とする細い芯を入れたペンで、芯ホルダーは鉛筆並みの2mm級の太目の芯をホールドするペンと私は勝手に定義している。
そういう意味で芯ホルダーのノック式というのは個人的には面白い試みだと思う。
この芯ホルダーをあえて名付けるなら、「ノック式メカニカル芯ホルダー」というところだろう。
外観はデザインをしていないデザインとでも言おうか肩肘張っていない自然体がかえってすっきりとした印象を与えている。
つや消しのブラックの胴軸には白地で「UCHIDA」と控えめに記されている。とてもシンプルで好感がもてる。
胴軸は鉛筆と同じ6角軸をしていて、太さもまさに鉛筆と同じくらい。芯ホルダーお決まりのギザギザグリップはステッドラーMARS780に比べて多少粗いようだが、握り味はまずまず。
つや消しの黒のボディにこのシルバーの組み合わせがシックな印象を呈している。
ノック部分に目を移すと、そこにはクロームメッキ処理されたキャップがある。黒とシルバーのツートンカラーに、その中間色のクロームがあるおかげで単調になりがちな全体の印象にアクセントを添えている。
あらかじめ付属されている芯が、なんとも滑らかな書き味。
HBと書いてあるが、そうは思えない柔らかなタッチには正直驚いた。
ペン先の芯が出てくる口は、一寸の隙間もなく芯をしっかりとホールドしてくれているので、安定した筆記が得られる。
先ほどの滑らかな書き味は芯のやわらかさだけではなく、こうした精密な機構のおかげもあるに違いない。
芯の太さは、芯ホルダーでよく使われている2mmサイズなので、他社のものを色々と使える楽しみもある。
この芯ホルダーは基本的に、製図や設計のプロが使うことを想定しているせいか、長時間の筆記にも耐えられるよう低重心がしっかり保たれている。
低重心と言葉で言ったところで、説得力に欠けるので、天秤のようにバランスを取って確かめてみた。
確かに、ペン先側に重量が置かれていることが一目でわかる。
カチカチとシャープペン感覚で使えるので、芯ホルダーを通常のペンとして気軽に使いたい方にはちょうどよいペンとなるだろう。
これからはUCHIDAのロゴを見ると、きっとずしりとした重みだけでなく、滑らかな書き味といった新たな感触も私の手は覚えていくことだろう。
(2004年12月15日作成)
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