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■「ペーパーワールド・チャイナ2011 レポート!」


□今年で5年目を迎える上海出張。

まずは、上海到着時の雑感から。

5年前、まだ旅慣れていなかった私は上海浦東空港に到着しても、どっちに行ったらいいのかわからず、キョロキョロとしていた。

そんな私も、今や、案内看板を見なくても空港を闊歩できるようになった。

上海空港を歩いていると、空港の色々なスタッフの人たちが大声で話をしているのに出くわす。

そうした光景をみると、あぁ、上海に来たのだな、と実感するのだが、今回はそうした場面があまり見られなかった。

さらにもうひとつ変化があった。

入国カウンターでの対応も少しばかりフレンドリーになったような気がした。

以前は、指示されてカウンターに行くと、表情ひとつ変えず、無言での手続きであったのが今回は「Hello」という挨拶から始まり心なしかスマイルも垣間見えた。

昨年の上海万博でたくさんの海外の人を迎え入れたからなのだろうか。

それとも、
私が5回目の上海で、私の方が慣れてきたからなのだろうか。

そんなことを考えつつ、スーツケースを受け取りリニアモーターカーの乗り場へ向かった。

みなさんもご存じのとおりちょっと前に中国の高速鉄道で、大きな事故があったので正直、リニアモーターカーに乗るかどうか迷った。

聞くところによれば、この空港のリニアモーターカーはドイツの技術が使われているそうなので大丈夫だろうと乗ることにした。  

なにより、リニアモーターカーは、タクシーよりも時間を1/4くらいは短縮できるので、交通手段としてはかなり魅力的。

このリニアモーターカーは、いつのまに電車がホームに来て、そしていつの間にかに発車している。

日本のように「まもなく電車が入ります」や「発車します」という案内がない。

日本のある意味丁寧すぎる案内に慣れていると、ちょっととまどう。

他の乗客の人たちが一斉に動き出すタイミングを見て、私もそれについて行く。

このリニアモーターカーはその速度が有名。

昨年あたりは時速400kmを超えていた。

さて、今回はどうだろうと社内にある速度計を眺めていると、300kmあたりで巡航してそれ以上のスピードには上がらなかった。

やはり、事故の影響だろうか。

リニアモーターカーを降りて、そこからはタクシーでホテルへ。

ちょうど、フランスから来ていたプレス仲間と駅で会ったので一緒にホテルへ。

タクシーが市内を走り出してひとつ気づいたことがあった。

それは、車のクラクションがあまり聞こえてこないということ。

いつもならすごい数のクラクションが鳴り響いている。

それは、もうアクセルを3回踏み込んだら1回はクラクションをならすべし、という交通規則があるのではと思うほど。

それがほとんど聞こえない。

まったくゼロかというと、そうではないがめっきりと少ない。

こうして1年ぶりに来てみると、じわりじわりと静かに変化している上海というものを肌そして耳で感じることができた。



さて、今回で7回目を数えるペーパーワールド チャイナ。

規模としては、前回のほぼ同じ517社。

使用している展示会場も3ホールと同じだった。

ただ、今回はその3ホールがおおまかにカテゴリー分けされていた。

その中心となるホールには、大手の中国メーカーと海外メーカーがブースを構えていた。

海外エリアにはヨーロッパ、韓国、マレーシア、台湾などが出展していた。

我らが日本メーカーは、今回は少なく、
カール事務器、プラチナ万年筆など5社ほどだった。

もう一つのホールは、中国国内メーカーが出展しているホール、そして3つめがオフィス オートメーション エリア。

いつもながらに驚かされるのは中国国内の文具メーカーの多さ。

毎年出展しているメーカーもあるが、はじめて出展しているところも結構見受けられた。

聞けば、
数年前からメーカーとして創業したというところもあった。

発展のまっただ中にある中国には、文具メーカーが次々と誕生しているようだ。

今回も
なかなか面白い文具を取材することができた。



■上海デザインの勢いを感じた「Paper Works」





ペーパーワールドチャイナの中でひときわ異彩を放っているブースがあった。

一般の中国のブース、とりわけ大きなブースを構えていいるところは、どちらかというと、壁を高々と張りめぐらせて、ブースを囲う傾向が強いが、ここは全くのオープンスペース。

そこには段ボールで作られた椅子やテーブル、棚などが並べられていた。

私は吸い寄せられるようにそのブースに入っていった。

こうした段ボールの家具自体、特に珍しい存在ではない。

これまで日本でも何度となく目にしている。

それなのに、ここブースでは、何かが違うように感じられた。

一言でいうなら、そのデザイン性の高さ。

段ボールを単に箱や板ととらえず、何枚も積み重ね、それを無垢材のようにして
様々なフォルムを作り出していた。

段ボールの家具だけかと思いきやそうではなかった。

よくよく見ると段ボールの棚には、ギッシリとノートが収まっていた。

紙の棚に紙のノート。

なにかこう、紙のインパクトというものが伝わってきた。

ノート単体は、一枚一枚の紙で出来ていて、どこか、か弱さというものがあるが、こうした段ボールの無垢材の棚で囲まれていると、たくさんの味方を得て、いつものノートとは違う力強さというものが感じられた。

その1冊を手に取ってみると、それは以前に見かけたことのあるものだった。

昨年訪れた田子坊というアーティスト系のショップ街で見かけたことがある。

実は、
今回の取材の前日にも上海市内の福州路で立ち寄ったアート系書店でMOLESKINE の隣に販売されてもいた。

何か運命的な出会いを感じてしまった。


ちょうどブースには「Paper Works」の社長兼デザイナーの陳氏がいらしたのでお話をお聞きしてみた。





陳氏はもともと香港で広告のデザイナーとして働いていたという。

香港の広告市場がやや縮小ぎみとなってしまったので、拠点を上海に移し、広告デザインを行う傍ら、5年前に、この「Paper Works」を立ち上げたという。

「Paper Works」には、二つの商品ラインがある。

一つは「思考空間( Space for Thought)」という名で展開されているノートシリーズ。

そして、「優紙生活(Living Wise)」という段ボールの家具。

ノートは糸綴じタイプ、リング綴じ、さらには和綴じのようなものまであり、いずれのノートも表紙に独特な風合いがある。

表紙に手の平を添えると、ちょっとゴツゴツとした凹凸感がある。





所々に何かの塊みたいなものが見受けられる。

この表紙に使われている紙は、日本のものだという。

紙の名前は「稲香綿」というそうだ。

塊みたいなものは実は稲だという。

その独特な表紙を開くと中もクラフト感タップリの凹凸感が少し残る紙になっている。

これは本に使われる紙だという。

ちょっとザラつき感があるので、きっとこれはペーパーバックなどに使われる紙かもしれない。

この紙の最大の特徴はズバリ、軽いこと。

確かにかなり厚めのタイプを手にしてみたが実に軽い。

見た目に重そうなものを、そうとは知らずに手にすると、手のほうが重い物を持つ準備をするので、手にしたとき思わず手が上に上がってしまう。

まるで殿様に何かを献上する時みたいに。

まさにそんな感じになってしまった。

陳さんは仕事柄、常にいろいろな事を考え、それをノートに書き留めている。

陳さんの手にしていた小さなノートを見せてもらうと、中にはビッシリと文字、そしてデザインイラストが描き込まれていた。

「このノートに描き込んでいくと、それが現実のものになっていくんです」と言って手元のノートをパラパラとめくり、一つのデザインイラストを見せてくれた。

そこには何やら椅子のデザインのようなものが描かれていた。

そして、
ブースにはその椅子の実物が展示されていた。

ちなみにこれは人が座る椅子でありながら下のところは本棚になるというものだ。

陳さんにとってノートは、まさに物事を実現させるための「思考空間」ということなのだろう。


「優紙生活」という段ボール家具は、現在の中国の凄まじい発展に伴い、大量消費されている段ボールを再利用したいと思い、考え出されたものだ。

この「Paper Works」は現在、上海のミュージアムショップ、デザインショップをはじめ、海外ではロンドンやドイツでも展開を始めているという。

「日本は?」とお聞きしてみると、「まだ展開していません。日本にはもっといい商品がたくさんあるので」と謙遜していたが、日本でも展開したらきっと人気が出るのではないかと個人的に思った。

今、日本で流行っている紙質にこだわったノートとはまたちょっと趣が違うノートとしてこれはこれできっと受け入れられるのではと感じた。

ブースでは一連のノートがサンプル販売されていたので、私もいくつか買ってきた。

5冊で120元(約1,440円)と中国のノートとしては決して安くはないが、多くの中国人バイヤーが関心を示しサンプルを購入していた。

このシルバー表紙タイプは、よくあるメタルの床材のように凹凸がある。

背は、製本をあえて隠さない仕様。そのため見開き性がいい。






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