
■英雄 礼賛 万年筆
中国の万年筆メーカーと言えば、きっと誰もがあげるであろう「英雄(HERO)万年筆」。
その英雄万年筆が今回は出展していた。
同社は、今なお続いている中国万年筆メーカーの中でもっとも古い歴史を持っている。
そんな有名な英雄であっても、出展スペースとしては、それほど大きくはなかった。中国における万年筆事情をひとつ表しているのかもしれない。
ブースの看板を見ると、気になる文字があった。「英雄 礼賛」となっていた。
「礼賛」は、
「英雄」とは別に2005年より立ち上げられたブランド。
「礼賛」の方が「英雄」よりも高級なイメージ。
「英雄」は主に仕事をする時の実用的な位置づけで、伝統的なデザインであるのに対し「礼賛」のほうは、よりステイタス感があり、デザインもヨーロッパテイストを意識しているという。
礼賛の中でも、もっとも人気があるのが、「礼賛 910」というモデル。装飾的なものがないシンプルなデザインになっている。
「英雄」にしろ、「礼賛」にしろ、中国の万年筆の中でよく見かける特徴は、ペン先が、ほんの少ししか出ていないタイプのものが多いこと。
これは、昔からあるタイプで、ユーザーの間ではこうしたクラシカルなスタイルを望む声が今なお多く、現在も採用しているのだという。
■中国ならではの万年筆を発見!
「英雄 礼賛万年筆」のすぐ隣のブースで思わず立ち止まって見入ってしまった1本のペンがあった。
それは、今年世界中の注目を集めた「北京オリンピック」のペン。
聖火ランナーが手に持つ「トーチ」をかたどった、というよりも「トーチ」そのものだ。
このペンを製造している「上海福士制筆有限公司」は主にメタル製ボディのペンを専門にしているメーカー。
1940年代に今のオーナーの祖父が万年筆製造をはじめ三代にわたってペンを作り続けている。
さて、この「トーチペン」、シルバーの部分は、メタル製。
この加工が大変難しかったと、社長が熱く語ってくれた。
確かに、ボディはまっすぐではなく、緩やかにカーブを描いており、軸の直径もラッパ状に段々と拡がっている。
はじめにまっすぐになっている普通の筒状のメタルをすこしずつ加工して、こうしたカーブ、そして広がりを作り出していくのだという。
私が質問をしようとすると、それを遮って、なおも力説は続いた。
ボディには「トーチ」と同じ赤の唐草模様のようなものがあるが、これは、成形した後に印刷をしているのだという。彼曰く、平面のものに印刷するのは簡単だが、こうした特殊な形のものに印刷するのは、かなりの技術を要するのだという。
ようやく質問することを許され、このペンはどうやって書くのかを聞いてみた。
赤いパーツがキャップになっていて、これをはずすと、ペン先がでてくる。なんと万年筆になっていたのだ。
もちろん、実用的に使うことも可能だという。
このペンは北京オリンピックの公式のもので、2万個限定で製造された。
一般の文具店やデパートなどでは一切販売されておらず、北京オリンピックに関わりのある企業だけに限定して販売されているものだそうだ。
そうそう、
これは余談になるが、オーナーと名刺交換をしたときに、私の名刺をみて「オー、ペンインフォ!」と目を丸くしていた。
彼は私のウェブサイトをよく見てくれているのだそうだ。
中国で私のサイトを知っている方にお目にかかれるとは、とても驚きであるとともに、実にうれしいことだった。