
■「自分だけの万年筆をあつらえる」
ペリカン スーベレーンM800
by フルハルター 52,500円
万年筆のペン先をユーザーひとりひとりに合わせて研いでくれるお店、「フルハルター」さん。
万年筆がお好きな方なら、その名前をご存知の方も多いと思う。私もずいぶん前から、その存在は知っていた。
しかしながら、私はまだ行ってはいけないお店、、みたいな自らがつくってしまった敷居があり、なかなかそれを超えることができなかった。
先日、フルハルターさんで研いでもらったという知人にその万年筆を見せてもらった。その知人のあまりのうれしそうな笑顔に最後の一押しをされ、私も手に入れてみることにした。そして、昨年12月の上旬、フルハルターさんのある大井町へと向かったのであった。
お店の前にたどり着くと、思っていたよりも小さな店構えだった。しかし、専門店という風格はかなりつよく漂っていて、決して気軽に入れるという感じはしない。
ここまで来たのだから、いまさら後戻りはできない、と意を決して「ゴメンクダサーイ」と扉を開けて中に入ってみた。
店の奥から、雑誌でよくお見かけする森山さんが出てこられた。
万年筆が欲しい旨伝えると、どうぞ、お掛けください、と椅子を勧められた。
これまで、万年筆を買いに行って椅子を勧められたということはほとんどなかった。そもそも万年筆は座って書くものなのだから、買うときの試し書きもこうして座ったほうがいいということなのだろう。
あらかじめ、フルハルターさんのウェブサイトで予習しており、これを買おうと心に決めていたものがあった。
ペリカン スーベレーンM400 ホワイト(アイボリー)トートイズだ。
そのことをお伝えすると、
森山さんは、
「あれは、いい万年筆だけでど、キャップのねじ山にインクが付いて汚れてしまうことがあるんだよね。それが気にならなければいいと思うよ。」とアドバイスいただいた。
なるほど、せっかくのホワイトボディが汚れてしまうというのはちょっと気になる。残念だけど、それをあきらめることにした。
そして、色々な万年筆を試し書きさせてもらい、最終的に絞り込んだのが、ペリカン スーベレーンM800とパイロット カスタム845の2本。
この2本を何度も試し書きさせてもらい、あーでもないこーでもないと悩み続け、それに森山さんは、快くご対応いただいたのがとても心地よかった。
最終的に、
まずは今回は(もう、次に買うことをこの時点で心に決めている。。)、吸入式であるペリカンM800に決めることにした。
そのことを森山さんに伝えると、では、名前、住所、電話番号を書くよう一枚の紙を渡される。それを書いているとき一瞬、森山さんの痛いほどの視線を感じた。
その日は、当然万年筆を持って帰ることはできない。数週間かけて、森山さんがペン先を丸く研いでくれるからだ。
すぐに持って帰れないのは少々残念だが、自分用にあつらえた万年筆が出来上がるのを楽しみに待つというのも、これはこれでいいものだ。
そんなことを考えながら、「私の万年筆」にしばしの別れを告げ、大井町を後にした。
家路につきながら
そういえば、自分用に研いでくれるということだったけど、そんなやり取りは全然なかったな。。でも、まぁ、とにかく完成まで待ってみることにした。
年末のあわただしさの中、1日たりと、あの万年筆のことを忘れることはなかった。
まだかまだかと思っていた12月末のある土曜日、森山さんから電話があった。
「私の万年筆」が出来上がったという。
しかかりの仕事を超特急で仕上げ、いちもくさんに大井町へと向かった。
これまで、万年筆を買いに行くというのは、お店の中にあるたくさんの中から、一本を選ぶわけだが、今回は、私のためだけに仕上げられた万年筆が待っていてくれるのだから、これはもう、たまらなくうれしい。
フルハルターさんに着き、前回のような戸惑いはすっかりと消え、今回は、堂々とドアを開け、中に入いることができた。
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